子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2012年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.3:「リッチマン,プアウーマン」

2012年07月22日 23時08分20秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
天才プログラマーにして億万長者のIT会社社長と,東大生で記憶力抜群ながらも就活連敗中の女子大学生。
今季の月9は,タイトルそのままに,若い主人公二人が繰り広げる恋物語(おそらく)なのだが,とにかく設定から役者から編集まで,全ての要素がベタなデフォルメで埋め尽くされている。まるで小栗も出演していた「花と男子」の焼き直しか,韓流ドラマか,というくらい「濃い世界」は,浮き世離れを越えて,ほとんど劇画の世界に突入しているようだ。

小栗旬扮する社長は,人の顔と名前を覚えられないのみならず,人の情や色恋にも関心を示さない,言動だけを取り出すと発達障害気味にも見えるのだが,金とルックスと才能には恵まれている。
一方で石原さとみ演じる頭は良いのに就職に難渋する貧乏学生は,冴えない女の子が仕事と恋に磨かれて華麗に変身する「マイ・フェア・レディ」のイライザか,「プリティ・ウーマン」のヴィヴィアンかという,これまた過去に何度もスクリーンやブラウン管で描かれてきたステレオ・タイプのシンデレラのようだ。

こんな敢えての設定を用意していながら,どうやらドラマを動かすエンジンは,サイレント映画時代の鉄板「瞼の母」ものらしい,というのは,見方によっては新鮮と言えなくもない。
だがこれまでのところは,1枚看板の主役よりもやっぱり助演が似合う井浦新は別として,相変わらず立ち位置を模索し続ける相武紗季や,リアリティの欠片もない総務省事務次官役の大地真央らが構成するサブプロットに魅力がなく,ブリッコが鼻につく石原と,やり過ぎの感が強い小栗の演技合戦だけでは,どうにも牽引力に欠けるというのが正直な感想だ。

浅利陽介と中村靖日という,柄が良く似た役者を並べたキャスティングを活かす工夫も,今のところは特に見当たらず,奮闘する就活生を応援する要素もなくなった3回目以降は,視聴を継続するかどうか悩む視聴者は少なくないと見たが,果たして明日の数字(これまでの平均は12.76%とまずまず)は如何に。


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