画面の右側に水車が見えるところから,どうやらオランダの田園地帯と思われる川縁の道が,柔らかな黄昏の光に染まっている冒頭のシーンですべては決まってしまったような印象だ。
映画の後半で,イギリス女王が「汚らしい」と吐き捨てるような言葉で切って捨てた,ターナーの目に映る光があやなす世界を,現代のスクリーンに鮮やかに再現した監督のマイク・リーと職人たちの素晴らしい仕事に心から敬意を表したい。
脚本に頼ら . . . 本文を読む
世界中で人気を博しているという原作およびアニメーション作品には,これまでまったく触れたことがなかった。故に「原作とは空気感が違う」「出演者が全員日本人なんて」等々の批判については,当然論評できる立場にはない。その代わりに昭和の怪獣映画に育てられた世代の私が「巨人が人間を襲う」という設定から咄嗟に思い浮かべたのは,本多猪四郎が昭和41年に創り上げた東宝特撮の最高峰「フランケンシュタインの怪獣 サンダ . . . 本文を読む
ピーター・チェルソムが監督した「しあわせはどこにある」は,「幸福とは何か?」を研究するため旅に出た精神科医を主人公に据えた,一種の自分捜し劇なのだが,小さなバジェットの作品とは思えない程,出演者が豪華だ。アフリカの麻薬王にジャン・レノ,中国で主人公に一夜の夢を提供する資本家にステーラン・スカルスガルド,それに主人公の脳波を分析する学者にはクリストファー・プラマー。
大ヒット作を持っているという訳で . . . 本文を読む
札幌市内の小学校や高校は夏休み最後の週末となったお盆の土曜日,札幌ドームには1万人を超える観客が詰めかけた。
四方田体制になってから4試合目。勝利から見放され続けても応援してくれる熱心なサポーターに応えるべく,負傷明けのナザリトを起用した新しい布陣で臨んだ岡山戦だったが,残念ながら夏休みの思い出として記憶されるようなスペクタクルな攻撃は,この試合でも観ることは出来なかった。
監督が替わろうが,負 . . . 本文を読む
スターウォーズ・シリーズの復活に先駆けて,1970年代末期に忽然と現れてオーストラリア映画の底力を世界に知らしめたシリーズが,30数年振りに復活した。
しかも監督はオリジナル・シリーズ3作をすべて手掛けたジョージ・ミラー。御年70歳の大ヴェテランは,この間の技術的な長足の進歩があったにせよ,まさにインクレディブルな力溢れる映像の連打で,並み居る若いクリエイターたちを踏みつぶしてしまった。これは凄い . . . 本文を読む
これまでに本州に旅行する度に,何度かJリーグの試合を観てきた。横浜国際,神戸,万博等々。試合を観戦することは勿論,競技場周辺の屋台やホームを応援するサポーターの雰囲気を肌で感じて,チームごとの違いを楽しむことが出来るというのは,Jリーグが四半世紀を賭けて全国各地に根付いたことの何よりの証左だろう。なでしこのキャプテンだった宮間あやが,W杯以後様々な場面で「女子サッカーを文化に」と口にしてきたのは, . . . 本文を読む