子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」:R-15と聞いて,官能的なるものを期待した私がバカでした

2011年10月29日 11時39分47秒 | 映画(新作レヴュー)
マルコ・ベロッキオという名前を聞いて,間違いなく聞き覚えがあるのに,どうしても作品が思い出せないと思って作品のHPを見たら,ほぼ四半世紀前に観た「肉体の悪魔」の監督だということが分かり,全てが腑に落ちた。あの時も今作と同様に,美しい女優と題名に誘われてフラフラと劇場に入ったまでは良かったのだが,期待した官能的なるものはスクリーンの何処にもなく,ひたすら人間の孤独と世界の理不尽が観念的に繰り広げられ . . . 本文を読む

2011年TVドラマ秋シーズン・レビューNO.1:「私が恋愛できない理由」「家政婦のミタ」

2011年10月28日 22時15分23秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
今シーズンのドラマ群は,ここ数年にないスタートダッシュを見せている。キムタク入魂のTBS大河(っぽい)ドラマ「南極大陸」の20%超えを筆頭に,「妖怪人間ベム」の初回18.9%,本屋大賞受賞作のタイムリーなドラマ化作「謎解きはディナーのあとで」の平均17.22%と,「鈴木先生」の10倍近い人たちが視聴している作品が目白押しだ。ドラマの質が突然向上したのか,震災後の時間の経過と共に視聴者側にドラマを楽 . . . 本文を読む

映画「人生,ここにあり!」:「やればできるさ」という原題が,素直に心に響く秀作

2011年10月27日 23時12分31秒 | 映画(新作レヴュー)
まだ若かりし頃フェリーニの映画を観て,それまで馴染んでいたハリウッド製のアメリカ映画と根本的に何が違うのか考えたときに,一番に感じたのが女優がふくよかであるということであり,二番目がいろんな顔の役者が出てくるということだった。設定の特異さがあるとは言え「人生,ここにあり!」に出てくる役者を観ていると,やはりイタリア映画の強みのひとつは,この世を構成しているたくさんの要素を凝縮したような,とりどりの . . . 本文を読む

映画「猿の惑星 創世記」:猿が空を跳び,カメラは自由自在に回転し飛翔する。

2011年10月18日 23時24分22秒 | 映画(新作レヴュー)
猿が知性を持って,感情をコントロールするようになる過程を撮りたい。巨木を駆け上がり,空を舞う猿の群れを,自由自在にカメラを動かしながら撮りたい。そして,霧に包まれたコールデンゲイト・ブリッジの中から現れた一頭の馬を駆る猿の姿を撮りたい。 これまで多くのクリエイターたちが頭の中に描いてきたであろうイメージが,最新のコンピューター・グラフィックスの力を得て,鮮やかにフィルムに焼き付けられている。猿たち . . . 本文を読む

映画「リミットレス」:ロバート・デ・ニーロはもう主役を張れないのだろうか?

2011年10月15日 22時21分59秒 | 映画(新作レヴュー)
平凡だったり精神遅滞だったりする男(女)が,薬物や外科治療もしくは新たな病気によって飛躍的にその知力を向上させるが,治療による副作用は確実に被験者を蝕んでいく。ダニエル・キイスの名作「アルジャーノンに花束を」を嚆矢とする「アルジャーノン」ものの新作「リミットレス」は,お決まりの設定の下で粛々と物語が進んでいくが,映像面での先進的なトライと謎を封印したまま突っ走る話術の冴えが相まって,緊張感に満ちた . . . 本文を読む

2014年W杯アジア地区3次予選 日本代表対タジキスタン代表【8:0】

2011年10月11日 22時45分39秒 | サッカーあれこれ
8対0。得失点差で,北朝鮮を退けたウズベキスタンをかわしてC組の首位へ。結果だけを見れば充分に評価できる試合だったが,それにしても…。 プレッシャーの全くない広いサイドから闇雲に放り込まれ,誰にも拾って貰えずに逆のサイドに流れたクロスの数は一体何本あっただろう。 この試合が日本にマイク・ハーフナーという真のワントップ足り得るターゲットが誕生した試合として長く記憶されるためには,その頭を目掛けて供給 . . . 本文を読む

映画「ステイ・フレンズ」:フラッシュ・モブにも負けないミラ・クニスの眼力

2011年10月09日 23時12分39秒 | 映画(新作レヴュー)
本業の音楽から離れ「ソーシャル・ネットワーク」でザッカーバーグの脇を渋く固める役で光ったジャスティン・ティンバーレイクと,「ブラック・スワン」で主役のナタリー・ポートマンを食う存在感を見せたミラ・クニスが組んだ,近頃珍しい艶笑劇。アメリカでもお子様が映画興行における主役の座について久しいが,R(年齢制限)までは行かないが,PG-12(子供は親同伴が望ましい)くらいで留める程度のきわどさを売りにする . . . 本文を読む

映画「ちいさな哲学者たち」:3歳児の哲学と愛と嫉妬は間違いなく世界の一部なのだ

2011年10月06日 23時44分14秒 | 映画(新作レヴュー)
言葉を覚えたての3歳児が,真剣な顔でローソクの火を見つめながら,「リーダー」「愛」「自由」について考える。彼らの頭に浮かんだであろう様々な考えを,あちこちから集めてきてひとつの樹形にまとめ上げる作業工程が,ものの見事に映像化されている。手垢にまみれた物語を,何の疑問も持たずに再生しようとする凡百の作品は,裸足で逃げ出さざるを得ないような,リアルなドラマが繰り広げられる。タイトルには「哲学」が冠せら . . . 本文を読む

映画「ミケランジェロの暗号」:緊迫感は薄いが,一定の力で引っ張り続ける職人技が冴える

2011年10月03日 20時26分21秒 | 映画(新作レヴュー)
日曜日の朝の回,客席は7割方埋まっていた。そんな話題作だったのか,とかなり驚いた。平均年齢はかなり高かったが,男女の比率はやや男性が多いくらいで,戦争物にしては例外的に女性の姿が目立つような気がした。果たして作品の方も,あらゆる意味でバランスの取れた優等生的な仕上がりだったが,「過不足ない」という評価を肯定的に使える希有な例であることは間違いない。 アカデミー外国語映画賞を受賞した「ヒトラーの贋 . . . 本文を読む

XIMENA SARINANA「XIMENA SARINANA」

2011年10月01日 19時31分20秒 | 音楽(新作レヴュー)
The Bird And The Beeのグレッグ・カースティンとTV ON THE RADIOのデヴィッド・シーテック。普段ならどうにも共通点を見つけられそうにないこの二人の名前が,プロデューサーとして並んでクレジットされているCDをタワーレコードの試聴コーナーで見つけて聴いてみたところ,あっという間にノックアウトされてしまった。 メキシコ出身の25歳の女性シンガー,ヒメナ・サリニャーナは,この . . . 本文を読む