どうやら世の中は子役ブームらしい。その最初の狼煙は「崖の上のポニョ」の主題歌を歌った大橋のぞみと,子供なのに店長になってしまった加藤清史郎あたりが上げたものと思われるが,今の「達者でなくては子役ではない」ブームは,「Mother」の芦田愛菜が作り上げたと言っても過言ではないだろう。喜怒哀楽の輪郭は明瞭かつニュアンスは豊かながらも,どこか儚げという,百戦錬磨の役者ともガチで渡り合えるような演技と佇ま . . . 本文を読む
先週「(ニュー)ミュージック・マガジン」の創始者である音楽評論家中村とうようの自殺と並んで衝撃を受けたのが,俳優原田芳雄の訃報だった。
昭和から平成までひとときも立ち止まることなく映画に出続け,押しも押されぬ名優と賞賛されながらも驕ることのない骨柄は,器用だが小粒な今の日本の俳優群の中で,正に傑出していた。時折出演したTVドラマでもそのユニークな存在感は際立っていたが,やはり役の大小に拘らず,本編 . . . 本文を読む
積雪寒冷地に住み冬の苦労を知る人間は,歩道上に積まれた雪がスクリーンに映し出されるのを見た時に,程度の差こそあれ何某かの共感を覚えてしまうという経験が,大なり小なりあるのではないだろうか。
アトム・エゴヤンの新作「クロエ」は,トロントのそんな冷え冷えとした光景をバックに,夫婦の間に存在する本来なら親密なはずの空気の温度を,美しくも妖しい娼婦を使って測ろうとした妻の姿を描いたスリラーだ。
その妻に . . . 本文を読む
生きている間に果たしてW杯の決勝に日本が出る,更には優勝するという可能性は,どのくらいあるのだろうか?という議論をしたことがあるが,まさかこんなに早く,しかも女子の手によって,否,足によって成し遂げられるとは思わなかった。
正に日本のサッカー史に刻まれるべき試合は,しかし既に2度カップを手にしているアメリカの王者としての威厳と気迫に圧倒される展開となった。
スリッピーな芝を問題にしない,速くて正 . . . 本文を読む
本家の「X-MEN」シリーズは,ここまで何作が作られたのか分からないが,残念ながら当方は2作目で挫折してしまった口。そのたった2作に関してすら,物語の骨格も,ヒュー・ジャックマン以外のミュータントの白黒も,共に覚束ないという有様で観て楽しめるものだろうか,という危惧があったのだが,マシュー・ヴォーンの新作であるということ,更にひと月で公開終了という情報を知り,劇場に滑り込んだ。
果たして鑑賞前のそ . . . 本文を読む
一時は観月ありさと天海祐希と共に,芸能界の長身3バックを組んでいた江角マキコが,久方ぶりに連続ドラマに戻ってきた。
脚本は「不毛地帯」や草剛の「僕シリーズ3部作」等,主にフジテレビを舞台に活躍してきた橋部敦子。
すっかりバラエティ番組のMCが天職となりつつある江角が,おちゃらけを封印して,推理劇の要素も含んだシリアスなストーリーに挑むの巻となったが,初回を観る限り,「死因の究明」ならぬ,自立する . . . 本文を読む
大きくて強くて,長いボールを使うチームに対して,ボールは持てても試合に勝てない。それは性別に限らない,日本の伝統なのだろうか,と思わせるようなイングランド戦の後遺症が心配されたが,一方でW杯2連覇中という正真正銘の世界トップとガチンコ勝負が出来るということで,開き直った好ファイトが期待されたドイツ戦。
男子と同様に速く正確な縦パスを通してくるドイツに対して,岩清水と熊谷のCBを中心に,ペナルティ・ . . . 本文を読む
話題となった「LOST」は未見。「ミッション・インポッシブル3」はどっち付かず。制作に回った「クローバーフィールド」には落胆。人気シリーズのプリクエル(前章)だが特に期待はしなかった「スタートレック」は,弾けるようなアクションが詰まった瑞々しい快作だった。
「ヒット・メイカー」としてのブランド力はほぼ磐石と言って良いJ.J.エイブラムスだが,さてクリエイターとしても信頼が置ける監督なのか否かを判断 . . . 本文を読む
春シーズンのドラマの殆どは,先週から今週にかけて最終回を迎えつつある。
話題を呼んだ「JIN-仁-」は,前評判通り最大26.1%(最終回),平均でも21.28%と,久方ぶりの「平均でも大台」をキープした作品となった。特に今回は舞台が京都ということもあって,関西で数字を取ったということが特徴だったらしいが,第1シーズンからタイム・パラドックスお構いなしの展開に付いていけなかった当方としては,子役の主 . . . 本文を読む