子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「コッホ先生と僕らの革命」:あまりにもナイーヴなドイツ・サッカー事始めの巻

2012年10月28日 16時26分23秒 | 映画(新作レヴュー)
W杯,欧州選手権ではベスト4の常連。プレミアからリーガ・エスパニョーラまで,ビッグクラブに中心選手を供給し続ける一方で,自国リーグ(ブンデス・リーガ)の平均観客数は世界一。今や文字通り,世界有数のサッカー大国となったドイツ。 そんなドイツだが,1870年代に英国(イングランド)に留学していた一教師が,初めてサッカーを自国の教育に取り入れようとした時には,苦難の道程を辿らざるを得なかった。そんな歴史 . . . 本文を読む

映画「ぼくたちのムッシュ・ラザール」:モントリオールの冬の寒さを溶かすラザール先生の真心

2012年10月24日 23時47分52秒 | 映画(新作レヴュー)
牛乳パックの入ったコンテナを抱え,誰も居ない廊下をやって来た少年が教室で起こった悲劇を目撃してしまい,教師にそれを伝えるために廊下の先に向かって走り出す。その間に始業のベルが鳴り,校庭で待機していた教師が教室にやって来て,何が起こったのかを確認し,慌てて児童を校庭に戻そうとしている間にもうひとり,少女が教室を覗いてしまう。 この間の出来事をワンカットで切り取った,冒頭のシークエンスの緊張感が映画の . . . 本文を読む

映画「最強のふたり」:E.W.&Fに合わせて,フィリップが立ち上がるのかと思ったのだが…

2012年10月13日 21時16分15秒 | 映画(新作レヴュー)
批評家受けと興行的な成功とは別物と思われている現代にあって,東京国際映画祭でグランプリを獲得した上に,母国フランスでは昨年の興行成績第1位に輝いたという,まさに奇跡のような作品。フランスでのヒットの勢いは,1年遅れて公開されたここ日本にも及び,近年衰退が著しいと言われるミニシアター系の作品の中でも屈指の成績を上げているようで,札幌での上映館となっているディノスシネマでも普段はやらない「座席指定」を . . . 本文を読む

映画「プロメテウス」:ラストカットの生物が続編を示唆。商売の巧さはエイリアンの生命力以上か

2012年10月08日 15時18分21秒 | 映画(新作レヴュー)
「人類の起源」という壮大なテーマを前面に出した宣伝が繰り広げられていた,リドリー・スコット監督の最新作。 内容は明らかに「エイリアン」のプリクエル(前日譚)なのだが,宣材は勿論のこと,予告編を観てもそれとは分からない作りになっているのは,果たして興行成績にどんな影響を与えたのだろうか。内容もさることながら,洋画離れが著しい興行レースと宣伝活動の関係を考える参考になるのではと思い,調べてみた。 す . . . 本文を読む

映画「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」:高い志とお下劣度合いは変わらず

2012年10月07日 11時34分32秒 | 映画(新作レヴュー)
ドラマとドキュメンタリーの境界線上で,高邁な批評精神と下ネタ中心のギャグを駆使して,文字通り命がけの映画づくりを続けるサシャ・バロン=コーエン(出演・脚本)とラリー・チャールズ(監督)が組んだ第3作は,リビアのカダフィー大佐を下敷きにしたと思しき独裁者ネタで来た。 「金正日の思い出に」というクレジットから始まる作品は,これまでの2作「ボラット」と「ブルーノ」からフォーマットが変わったことによって, . . . 本文を読む

映画「テイク・ディス・ワルツ」:「切ない想い」の裏側へ

2012年10月04日 22時58分36秒 | 映画(新作レヴュー)
これまで一般的に使われてきた(と思ってきた)「女流監督」という呼び名のうち,「女流」という部分は,実は「従来男性が一般的に就いてきた職業や地位に関わる女性」という含意があるらしく,差別用語とみなされるケースがあるので注意が必要(はてなキーワード)ということなのだが,元女優の「女性監督」サラ・ポーリーは,おそらくそんなことには頓着しない「女性」であろうという気がする。アトム・エゴヤンの「スウィート・ . . . 本文を読む