子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.3:「日本人の知らない日本語」

2010年07月30日 00時01分06秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
「任侠ヘルパー」での,主役コンビを食ってしまうような存在感に圧倒され,後追いで「純喫茶磯辺」に驚かされた身としては,「ヤンキー君とメガネちゃん」のようなやっつけ仕事ではなく,仲里依紗のコメディエンヌとしての魅力をしっかりと打ち出す企画が観たいと思っていたところなのだが,このタイミングで深夜の40分番組が来るとは思わなかった。 しかし,高校教師を目指して外国人に日本語を教える茶髪のギャル,という設 . . . 本文を読む

映画「息もできない」:これまで見たことのない,圧倒的な幕切れが内包するもの

2010年07月26日 22時47分26秒 | 映画(新作レヴュー)
題名に偽りなし。文字通り「breathless」な2時間10分の最後,女子高校生ヨニと兄の眼差しが交叉する時に,全てを悟ってしまう彼女の表情が語るものは,途轍もなく重い。 監督のヤン・イクチュンが自ら演じる主人公のサンフンとヨニとの間に生まれた,微かな温もりさえ帯びた心の交流が,誰も想像できない形で終止符を打つ瞬間を,目を逸らさずに見守らなければならない観客は,映画が持つ残酷なまでの力を再認識する . . . 本文を読む

映画「インセプション」:超絶技巧に彩られたカタルシスなき物語

2010年07月21日 23時19分28秒 | 映画(新作レヴュー)
今はなきヒース・レジャーとのコラボレーション作「ダークナイト」で,作品内容,興行の両面で歴史的とも言える成功を収めたクリストファー・ノーランの新作。主演のレオナルド・ディカプリオの脇にマリオン・コティヤール,エレン・ペイジ,ジョセフ・ゴードン=レーヴィットという正に今が旬という俳優を集め,仕上げに我らが渡辺謙を置いたキャスティングだけを見ても,ノーランの嗅覚の鋭さが伝わってくるが,映像の凝り具合は . . . 本文を読む

映画「ハーツ・アンド・マインズ」:ドキュメンタリー映画における揺るぎない里程標

2010年07月19日 21時59分23秒 | 映画(新作レヴュー)
36年前の作品だが,当時は何故か劇場公開されず,ひっそりと深夜TVでのみ放映された「幻の」アカデミー賞受賞作品だ。当時から一体どんな作品なのか,あれこれと想像を巡らせてはきたのだが,その「実物」は,ドキュメンタリー映画が具えるべき条件を,的確な選択眼と編集技術によってエンターテインメントとして昇華した見事な作品だった。あのマイケル・ムーアが「私が映画を作ろうとカメラを手にしたのは,この映画を観たか . . . 本文を読む

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.2:「鉄の骨」

2010年07月16日 23時40分13秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」をテレビドラマ化したWOWOW作品は,本当に素晴らしい作品だった。仲村トオルを中心とした演技陣のアンサンブル,ミニマル・ミュージックのテイストをまぶした音楽,そして最後まで視聴者を惹き付けて放さない物語の展開。通常のワンクール・ドラマ以上のヴォリュームを,1時間枠5回という限定された時間で捌いたスピード感溢れる演出も見事で,スポンサーへの配慮から民放での制作が難しいという . . . 本文を読む

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.1:「GOLD」「ホタルノヒカリ2」

2010年07月13日 23時37分05秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
私が勝手に「現代ドラマにおける黄金カルテット」と名付けている人気女優のうちの一人,天海祐希の新作が始まった。今回の,オリンピックの金メダリストを目指す3人の子供たちの母親という役どころは,「女王の教室」以来のスパルタ風味を漂わせるもので,新鮮味よりもキャラクターを活かした堅実路線という感じを強く打ち出しているように見える。 だが,主人公のキャラクターをしっかりと立たせるために,野島伸司の脚本と演出 . . . 本文を読む

映画「ハングオーバー」:幼児化する男たちへのえげつない応援歌

2010年07月10日 22時52分00秒 | 映画(新作レヴュー)
監督のトッド・フィリップスが,伝説のジャム・バンド,フィッシュのドキュメンタリー「ビータースウィート・モーテル」を監督し,サッシャ・バロン=コーエン主演の傑作「ボラット」では原案を担当している人物と聞けば,現代アメリカのカウンター・カルチャーのフォロワーにとっては見逃すことの出来ない作品だろう。 だが作品の方は,そういった実績から想起される「ひねり」の部分よりも,結婚式前夜のバカ騒ぎをミステリー仕 . . . 本文を読む

映画「告白」:役者,音楽,編集,全てがダークな輝きを発散している。

2010年07月04日 11時53分43秒 | 映画(新作レヴュー)
生徒の私語が飛び交う教室の中で,静かに「今日でみなさんとお別れです」と話し出す教師の森口(松たか子)のモノローグから物語は始まる。その事務的な口調の中に,時として厳しさを湛えた声が,画面にただならぬ緊張感を与えている。どうやらその源は,単なる学級崩壊に対する教師の覚悟などではなく,淡々と話し続ける森口が漂わせている冷たい感情とそこから生まれた何かの決意のようなものらしい,と気付く時には,既に観客は . . . 本文を読む

サッカーW杯南アフリカ大会NO.10:日本代表VSパラグアイ代表【0:0】森本≒岡野という発想はなかったのか

2010年07月02日 22時57分10秒 | サッカーあれこれ
13年前,イランとの決戦の延長戦開始前。ジョホールバルのピッチの上を,ひとり歩き回った末に岡田監督が出した結論は,野生児「岡野」だった。岡田監督としても,逆転された試合を中田と城のコンビネーションで何とか追い付き,足が止まってきたイランのディフェンスをどうにかしてこじ開けるための策として,代表では結果を出すことが出来ないでいたことには目を瞑って,正に清水の舞台から飛び降りるような気持ちで下した判断 . . . 本文を読む