リドリー・スコットの「ブレードランナー」は、人間と人造人間の対立と融和という正統派SFがそれまでに幾度も挑んできた物語に、パンクとエスニックの要素を持ち込むことで「ハードSF」というフィールドを軽々と飛び越えるような高い飛翔を記録した名作だ。
そこから始まったガジェットだらけのカオスに満ちた未来社会、というヴィジョンに新鮮さを持たせることが困難な時代に、カナダの俊英ドゥニ・ヴィルヌーヴがその続編に . . . 本文を読む
まさかの結果だった。ボール支配率が43%だったことはさておき,シュート数で11対5と圧倒的な差を付けられながら,放ったシュートの6割がゴールネットを揺らす結果となろうとは。
ジェイの決定力,シュートは打たせても,最後にコースへ足を出してギリギリでシュートを枠からはみ出させ続けたディフェンス。ここで得た勝ち点3は,残留争いの終盤戦に向けて,限りなく大きな力をコンサイレブンに与えることになろう。
伊 . . . 本文を読む
この作品を観る前日,毎年この時期に開催されている札幌国際短編映画祭に出掛け,世界中から集まったショートフィルムを鑑賞した。独自のアイデアやヴィジョンを誇る幾つもの作品を観ながら,改めて「頭の中のヴィジョンを具体化するための技術」の重要性に気付かされる結果となった。「商業主義」や「娯楽性」という,一見ネガティブなイメージを纏うレッテルの下に隠された高度な作劇術を最大限に発揮した作品に接することもまた . . . 本文を読む
毎日歩いて仕事場へ行き,何故か双子の乗客が多い路線バスを運転し,手書きで詩を書き,週末のバザーで売るカップケーキを作る妻に「おはよう」のキスをする。観客を画面に釘付けにするような事件や事故は,何も起こらない。アクシデントといえば,バスが電気系統の故障を起こして止まってしまうことと,詩を書き溜めていた大切なノートを失ってしまうこと。詩の喪失は町と同じ名前の主人公,パターソン(アダム・ドライヴァー)に . . . 本文を読む
サイモン・ペッグとニック・フロストの二人と組んだ「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ」の2作で,あっという間に私のフェイバリット監督となったエドガー・ライトだが,前作の「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う」は久々の「トリオ」揃い踏みへの期待と高い世評に反して,展開の強引さとユーモアの不足に正直肩透かしを食らった思いだった。
こうしてライトのフィルモグラフィーを見直してみると,彼の作 . . . 本文を読む