ウディ・アレンの新作は,「ヴィッキー クリスティーナ バルセローナ」という原題が持っているリズムそのままに,悩める男女の四角(五角?)関係を軽やかに描いた秀作だ。役者を決めてから物語を紡いでいったとしか思えないキャストのはまり具合は完璧だが,特に途中出場で後半をさらってしまったペネロペ・クルスの存在感は圧倒的。独特の話術やテーマに違和感を持つ人はいるかもしれないが,女優を輝かせる魔術という点に絞っ . . . 本文を読む
飛び抜けた作品(未見のため論評できない「アイシテル」が心残りではあるのだが…)がなかった2009年春シーズンドラマがほぼ最終回を迎えた今週,とうとう「BOSS」が視聴率20%を超えてきた。
今シリーズ2度目となる2話完結の最終回は,犯人役に反町隆史,警視総監役に津川雅彦を配し,野立参事官補佐(竹野内豊)の裏切りというショッキングな筋立てを前面に打ち出したことが功を奏したのか,これまでも何度か超え . . . 本文を読む
鹿島アントラーズ VS FCソウル=2:2(PK4:5)
名古屋アントラーズ VS スウォン=2:1
ガンバ大阪 VS 川崎フロンターレ=2:3
決勝トーナメントに進出したJリーグ4チームのうち,2チームが決勝トーナメント2回戦(準々決勝Q.F)に勝ち上がることとなったが,その顔ぶれは私の予想とは異なっていた。
選手層と経験で評価すれば,鹿島と大阪の勝ち上がりは固いと思われた(私もそう考えてい . . . 本文を読む
古くは「男はつらいよ」という素晴らしい成功例がありながら,ここ数年は単なるビジネス・アイテムとして容器だけを取り繕った,抜け殻のような作品ばかりが目に付くTVドラマの映画化作品群にあって,「ハゲタカ」はきちんと「映画」として自立している,という一点だけを取っても評価に値する作品になっていた。
「映画としての自立」を担保するための最低の条件とは,観客を2時間(本作は134分)という時間,TVドラマ独 . . . 本文を読む
この春,同一名義による「ベースメント・テイプス」と共に,ライヴ盤「Before The Flood(邦題:偉大なる復活)」のデジタル・リマスター盤が発売された。
今はなき札幌のロック喫茶「異間人」で,紫煙漂う空間に弾ける音に聞き入っていた高校生時代を思い出しつつ聴いているのだが,35年を経て聴き直した印象はとにかく「熱い!」の一言だ。
邦題が示す「復活」とは,ボブ・ディランが1966年7月に起こ . . . 本文を読む
巷では村上春樹の新作が凄いことになっているようだ。オリコンで1位を獲得したシングルCDの売り上げが30万枚を越えることが滅多になくなったこの時代にあって,上下で4,000円近いハードカバーがあっという間に50万セットを売り切ってしまったというのは,既に一つの現象と呼んで良いのかもしれない。
だが今年の私の関心は,「世界のハルキ」の新作よりも,一昨年欧米で18年振りに続編が刊行されたというニュースが . . . 本文を読む
数年振りに罹ってしまった新型ならぬ,従来型の風邪で,情けなくもダウンしてしまい,アップが遅くなってしまったが,先週の土曜日に札幌市西区琴似にある「生活支援型文化施設コンカリーニョ」で行われた「パスカルズ北海道上陸大作戦」のレビューを書いておきたい。
農耕民族の血を騒がせるような,陽気で賑やかな楽しさに満ちていながら,どこかもの悲しさも纏った村祭りのようだった。
インストゥルメンタル曲主体のステ . . . 本文を読む
確かに審判はひどかった。ピッチ状態は悪く,ボールは走らず,ウズベキスタン選手の体格にモノを言わせたチャージのいくつかはファウルだったかもしれない。
それでもキリンカップ2試合で見せた日本代表の成熟,とくに前線の選手の流動的な動きと,「きれいな型」よりもとにかく点を決めるんだ,という強い意志が伝わってきた数多くのシュート・チャレンジを観た後では,どうしてこんな試合になってしまったのかと考え込まざるを . . . 本文を読む
今年4月の番組改編で完全な一人負け状態に陥ったと報道されているTBSだが,先週末に劇場公開された映画版「ROOKIES/卒業」は,配給元の東宝が「興行収入90億円が視野に入った」と豪語するほどの猛ダッシュを見せた。その原動力の一つとして,出演者の同時多発投入という,形振り構わぬTBSの大宣伝作戦を挙げることに異論を唱える人は少ないはずだ。
ある意味,読売巨人軍全盛期の日テレを凌ぐほどの「ROOKI . . . 本文を読む