特定の企業の肩を持つことは筆者の本意ではないのだが,某大手輸入レコード店が展開している「輸入盤千円生活」キャンペーンは,そんな建前を越えて宣伝したくなるような嬉しい企画だ。
子供の教育費が家計を圧迫し,ボーナスも下がる中,頑張って品揃えを充実させているTSUTAYAでも入荷する可能性が低いと思われるような,かなり渋めの旧譜がきっかり千円で手に入るというセールは,音楽愛好家にとっては文字通り「悪魔の . . . 本文を読む
私が普段コンサドーレ札幌の試合観戦や散歩に足を運んでいる札幌ドームは,札幌市が2002年W杯の会場として立候補した1992年当時,サッカー専用スタジアムとして構想されていたという記憶がある。それが1996年に設計コンペが実施される時までには,野球も開催可能な多目的スタジアムとする案が固められ,完成後には当初想定されていた西武の準フランチャイズ球場ではなく,日本ハムの完全ホーム・スタジアムとなった。 . . . 本文を読む
子供の頃から野球をするのも観るのも好きではあったが,周りが巨人のV9に湧く中,好きな選手は平松と松原という,生粋の大洋ホエールズ(現在の横浜ベイスターズ)ファンだった。来る日も来る日も負けてばかりのチームを贔屓にしていたから,という訳でもないのだろうが,何故か昔から「勝とうが負けようが,それでも野球は続いていくのだ」という世界観に支配されていたという気がする。
確かに勝ったら嬉しいけれども,負けた . . . 本文を読む
「エイミー・ワインハウス,ダフィー,リリー・アレンにアデル。ここ数年イギリスの若手が席巻していた女性ポップ・ヴォーカル界に,アメリカ,それもディープ・サウスが満を持して送り込んだ刺客が,このダイアン・バーチだ!」
別に任侠映画のファンという訳でもないのだが,もし私が宣伝担当ならば思い切り力んで,こんな文句の一つも使いたくなるような,26歳のSSW(SINGER SONG WRITER)の素晴らしい . . . 本文を読む
他人のために嘘をつくことは,罪になるのか。その嘘を受け容れる人間もまた,嘘の片棒を担いだことになるのか。
登場人物の台詞一つ一つが,虚実の分水嶺を行ったり来たりする様を見極めるという作業が,時間が経つにつれて次第に快いものになっていく。人間をその分水嶺に立たせることで生まれる緊張感を,研ぎ澄まされた言葉と表情の応酬で描き出す監督の西川美和の腕は,「ゆれる」の時のレヴェルを一段上がったところに到達し . . . 本文を読む
ザ・ドゥルッティ・コラム。1980年頃のイギリスにおけるマイナー・レーベルの動向に,少しでも関心があった音楽ファンならば,特別の感慨を抱かずにはいられない名前だ。
夜明け前の薄明かりの中から聞こえて来るような,リヴァーブとディレイを駆使したギターが持つ独特の響きは,世界のきしみに耐える辛さと解放感の両方を湛え,30年という時を超えて,今も新鮮に響く。
当時,新しい音を模索し続けていた冒険的なレー . . . 本文を読む
今クールのドラマに進出しているジャニーズ勢が総じて一時の勢いを失い,内容的にも視聴率的にも苦闘を強いられている中,唯一人(主に火曜10時枠における)過去の栄光を継承しているように見えるのが,フジ「任侠ヘルパー」の草剛だ。
初回の視聴率17.5%も天晴れな数字だったと思うが,一通り話が落ち着いた第4回に至って,それを凌ぐ17.8%を挙げたことは,快挙と言っても良いだろう。
暴力団を構成する複数の . . . 本文を読む
前作の「アイ,ロボット」が,思いのほか本格的SFの香りを湛えた逸品だったアレックス・プロヤス監督の新作。しかし今回はニコラス・ケイジが,マイケル・ベイの「ザ・ロック」で見せた跪きポーズを再び披露することに象徴されるような,過剰な梱包だけが目立つ,どうにも空疎な作品となってしまった。
主人公がタイム・カプセルに入っていた謎の数字が意味するところを理解して,二つ目の災害を阻止しようとする辺りまでは, . . . 本文を読む
質を語ること自体が意味を持たないようなドラマを連発してきたTBSが,起死回生とばかりに,まだ残っていたものづくりの良心を込めて送り出してきた「官僚たちの夏」が数字を取れないようだ。第2回は,このドラマ視聴者のコア層が関心を持っていたであろう都議選の開票とぶつかったこともあって,前週から5%以上も下げてしまったこともやむを得ないと思っていたのだが,第4回も8.0%とかなり苦しい状況だ。
どんなに中身 . . . 本文を読む