子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ,そして愛された男」:題名に偽りあり

2015年11月29日 12時17分04秒 | 映画(新作レヴュー)
シネコンが定着する遙か前から複数スクリーンで営業してきた札幌の老舗映画館であるスガイ・ディノスのチケット売り場で入場券を買って,ひとつ上の階にある劇場に向かって歩いていると,後から来た老齢の男性がチケット売り場の女性にかなり大きめの声で話し掛けているのが聞こえてきた。「この時間ですぐに観られる映画は何だろ?」これに応えて売り場の女性は「これからですと『ロバート・アルトマン』が5分後に始まりますが… . . . 本文を読む

映画「サヨナラの代わりに」:演技達者同士の見事なワンツー・パス

2015年11月26日 00時03分53秒 | 映画(新作レヴュー)
WASPの典型のような弁護士を夫に持ち,恵まれた生活を送る美しい主婦ケイト(ヒラリー・スワンク)は,難病に罹ったことからやがて車椅子生活を余儀なくされる。介護のために雇ったエミー(エミー・ロッサム)は,大学をドロップアウトして歌手を目指すも,歌うべき対象を見つけることが出来ずに,その日暮らしの生活を続ける自堕落な女だった。二人の間に接点は見出せない,とケイトの夫(ジョシュ・デュアメル)はエミーを雇 . . . 本文を読む

2015年J2リーグ第42節 札幌 VS 栃木【4:1】

2015年11月23日 21時35分48秒 | サッカーあれこれ
前節,下位に沈んでいた水戸に苦杯を喫し,昇格プレーオフへの参入資格を喪失してしまったことで,完全な消化試合となった最終節。しかし冬ごもりに入る直前の札幌ドームには,寒さをおして2万人を超えるサポーターが詰めかけた。 そんなサポーターに札幌は勝利をプレゼントすることは出来た。この日の敗戦で最下位となり,来年はJ3に降格することが決まった栃木相手とは言え,小野の目の醒めるようなパスから堀米が左足で決め . . . 本文を読む

映画「バクマン。」:役者の生身で表現された「友情・努力・勝利」

2015年11月15日 11時28分10秒 | 映画(新作レヴュー)
ピークの発行部数が653万部。日頃,少年マンガにまったく縁がなく,専ら5万部を越えたら超大ヒットとなるような海外ミステリー小説ばかりを読みあさっている私にとっては,想像することも難しい数字だ。 「モテキ」のフラッシュ・モブシーンで私の心を射貫いた大根仁の新作「バクマン。」は,かつてそんな桁違いの数字を叩き出したことのある超人気コミック誌「少年ジャンプ」を舞台に,同誌が標榜するテーマ「友情・努力・勝 . . . 本文を読む

映画「ミケランジェロ・プロジェクト」:”Holy shit!”

2015年11月08日 12時00分56秒 | 映画(新作レヴュー)
本作の終盤,ナチスが連合国軍側から強奪した美術品を焼却する場面が出てくる。戦争とは,主人公のスタウト(ジョージ・クルーニー)が語るように「人類の歴史」そのものと言える貴重な美術品に対する敬意が失われる,許しがたい事態であるというメッセージを伝える重要な場面なのだが,画面からはどうにも激しい怒りが伝わってこない。 同様に,8人の美術関係者で構成された美術品奪還チームのメンバーが,ひとり,またひとりと . . . 本文を読む

2015年J2リーグ第40節 札幌 VS 徳島【2:0】

2015年11月07日 23時22分30秒 | サッカーあれこれ
リーグ戦も今日の試合を入れて残り3試合。前節での信じられないような逆転勝ちの余韻を保ったまま全勝できれば,長崎と愛媛が連敗することが条件とは言え,辛うじて参入戦への参加資格が得られる6位への滑り込みの可能性を残している札幌は,同じく昇格の可能性を残した徳島との一戦に臨んだ。 スターティングメンバーで目を引いたのが右サイドバックに入った3年目の永坂。本来であれば,FWのマーク,カバーリング,キック . . . 本文を読む

映画「さよなら,人類」:深夜に大声で語られる哲学

2015年11月03日 10時34分19秒 | 映画(新作レヴュー)
セルフサービスの食堂で,ビールとサンドイッチの代金を支払い終えた男が心臓発作を起こして倒れる。救急隊員の懸命の救助活動も実らず,男は息絶える。それを傍で見ていたレジの女性は途方に暮れて,食堂にいる客たちに声をかける。「誰か,この人が代金を払ったビールとサンドイッチ,無料でいいから引き取って!」。果たして,男がこの世に残した最後の遺産を引き取る客は現れるのか? そんな死を巡る3つのエピソードで幕を . . . 本文を読む

映画「ナイトクローラー」:優秀な仕事人と犯罪者の境界を周遊する狂気

2015年11月01日 11時56分31秒 | 映画(新作レヴュー)
現代美術家の村上隆が仕事について語った本に,マーク・ジェイコブズと仕事をする前に「彼が何が好きで,何を求めているのかを真剣に探った」という趣旨のエピソードが書かれていた。 個人が単独で完結できる仕事が殆ど存在し得ない現代にあって,仕事の成果を求めるクライアントや購買者の意向を汲んで,最大限その期待に応えようとするのは仕事人として当然の姿勢だ,というのは一つの真理だろう。そういう視点で「ナイトクロー . . . 本文を読む