子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2012年J1リーグ第21節 コンサドーレ札幌 VS 仙台【2:1】

2012年08月11日 20時58分53秒 | サッカーあれこれ
移籍解禁期を待って加入した3人の外国人,ハモンとテレ,そしてキムが揃って先発したコンサドーレは,それまでとはまるで違うチームのように変身していた。
決勝点はオウン・ゴールだったが,4分あったロスタイムが終わるまで全員が足を止めることなく前を向いて走り続けた結果として生まれた得点だった。
10年振りのJ1ホーム2連勝と言えども,依然として残留のために必要な勝ち点30弱を残り13試合で稼ぐことは,限りなく不可能な状況であることは間違いないが,このサッカーを続けるのならば,最後まで声援を送り続けようという気にさせるような,内容のあるゲームだった。

テレは頭で合わせたシュートを除けば,シュートチャンスに持ち込むことも出来てはいなかった。くさびとしてきちんと機能していたかと問われれても,まだ全然物足りないと言わざるを得ない。しかし身長があるだけでなく,バックスタンドから双眼鏡で観ても分かるくらい胸板が厚いが故に,「本来のFW」という雰囲気を充分に漂わせていたことは確かだ。
ハモンは予想していたよりも,「守備をしない代わりに,キープと一発のパスで試合を打開する」言わば昔気質の司令塔タイプのMFだった。時間帯によっては2列目と言うより,テレと2トップを形成するような位置取りをしていたが,特に前半ほとんどのボールが彼を経由することによって,攻撃にタメとリズムが出来ていたのは明白だ。

一方で,それだけ見ると残りの選手の,特に守備の負担は増し,ボールを奪いに行くためのプレスも1枚,もしくは2枚減ることによって迫力が減じるかと思われるところだが,実際は全く逆だった。
残った選手の運動量が増えたことは確かだが,攻撃のシナリオ,もっと言えば,選手個々人の役割分担が明確になったことによって,ゲームを進めるための戦略とも呼べる1本の芯が生まれたという印象を受けた。これまでの試合を観る限り,セカンドボールへのプレスのかけ方と奪った時のターゲットという,今季のコンサドーレでは約束事として共有されていたとは思えなかった事柄が,選手が替わる(≒守備を担当する人数が減る)ことで自然と浮き彫りにされていた。そしてその約束事を選手たちが愚直に繰り返した結果,首位いじめという結果に繋がったことは,今日の戦い方こそが正しい道だと選手たちに信じさせるに充分なものだった。
逆に観ると,開幕からしばらく採用されていた前田をFWに置いたゼロトップに近い戦術は,今のコンサドーレの若い選手たちにとっては,まだまだ複雑で曖昧で咀嚼不可能なものだったということが,結果的にはっきりしてしまったとも言えるのだが。

得点を挙げた日高が初のヒーローインタビューに応えていたが,MVPはサイドに流れてその日高に正確なクロスを上げるだけでなく,縦横無尽なポジション取りとミドルシュートで攻撃陣を鼓舞し続けた山本だ。相変わらず何も貢献できなかったにも拘わらず監督の偏愛のおかげでまたしてもフル出場を果たした宮澤は,彼のプレーから多くを学んで欲しい。


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