子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2012年ロンドン五輪 女子サッカー 決勝トーナメントS.F 日本VSフランス【2:1】

2012年08月07日 22時39分10秒 | サッカーあれこれ
阪口がPKを取られた時点で,北京から4年越しとなる「なでしこ」のチャレンジは終わったかに見えた。
前半途中までに見せていたW杯時を彷彿とさせるようなパスワークは完全に影を潜め,さして運動量があるとは思えないフランスからボールを奪うことが出来ないままシュートを打たれ続けていたなでしこに,再びフランスを突き放すような余力が残っているとは思えなかったからだ。
しかし勝利の女神は,力強いアタックを繰り返しながらも決定力に欠けたフランスよりも,最終ラインを形成するCB二人の連携によって,怒濤の攻撃をひたすら耐え忍んでいたなでしこに微笑んだ。なでしこは直近の2試合を経て,美しくはなくとも結果を残すという,現実主義の実力国の仲間入りを果たすチケットをゲットしたように見える。

テストマッチを観ていなかったばかりに,フランス戦もブラジル戦同様にボールを持たれる展開になると予想したのだが,想像以上に足が重かったフランスは前半,前線からの積極的なプレスを仕掛けては来なかった。テストマッチとは違う感触を感知したに違いないなでしこイレブンは,時折今大会に入って初めてとも思えるような細かいパス交換によって相手陣内に攻め込むが,フランスと同様に中盤の運動量が十分ではなく,FWをサポートする動きがなかったためにシュートまでは持って行けない。
結局,試合を通じて4本しかシュートを打てなかったのに,そのうちの2本がゴールネットを揺らすという僥倖に恵まれたのは,「止まっているボールを蹴るのは上手い」宮間の技術のおかげだ。敗れたフランスのGKが「日本が素晴らしかった訳ではない」と語ったそうだが,それは全くその通りと肯定するしかないだろう。

ニッカンスポーツのweb版によると,名古屋のストイコビッチ監督は「熊谷がNO.1だ」と絶賛しているようだが,この試合に限ってはセントラル・ディフェンダー二人と澤,そしてGKの福元が,勝利の立役者であることは間違いない。
両サイドからの攻撃は迫力を欠き,特に選手同士の距離が遠く隔たってしまった後半は,なすすべもなく守るだけという試合展開にも拘わらず,失点シーン以外はマークを外すことなく集中力を保持し続けた上記4人は,紛れもなく決勝戦においてもキープレーヤーとなることだろう。
彼女たちがラピノー,モーガン,そしてワンバックという強力なアタッカー陣を2点以内,出来れば1点以内に抑えることが,勝利のための必須条件となるはずだ。

急激にコンディションを下げてしまった感のある川澄,オーバーラップを封印してしまったとしか思えない両サイドバック,そして「動いているボールを蹴るのは不得意になってしまった」宮間など,心配は数々あるが,ここまで来たらとにかく倒れるまで走り続け,最後は岩渕のドリブルでDFラインを切り裂いて決勝点,というシナリオを成就して欲しい。
夢に見た五輪のファイナル。失うものは何もない。思う存分暴れて,帰国便のファーストクラスのチケットを勝ち取って欲しい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。