湯島聖堂の大成殿の屋根には、龍生九子の次男「螭吻(ちふん)」と思われる「鬼犾頭(きぎんとう)」とともに、鬼龍子(きりゅうし)あるいは騶虞(すうぐ)と呼ばれる霊獣がいます。
狛犬に似た感じですが、前肢を大きく開き、肉球は大きく、虎のような顔をしています。胴体は縞々模様。
ご近所の神田明神本殿には、狛犬を配するであろう位置に、よく似た霊獣がいます。胴体は筋骨隆々。
そして、築地本願寺には、本堂の前に虎か獅子のような霊獣が配されていて、こちらは有翼であることが特徴です。前肢を開くことなく揃えています。
「鬼龍子(きりゅうし)」は、獅子とは限らず、麒麟や鳳凰、龍などをベースとした魔除け一般を担う霊獣なので、ある意味、一般名詞であり、固有名詞としては虎に似ていて仁徳をもった君主が現れたときに姿を見せる瑞獣と言われる「騶虞(すうぐ)」と呼ぶことが適当なようにも思います。
龍生九子の四男「狴犴(へいかん、げいかん)」は、虎に似た姿で、罪を憎み、非常に正義感が強い。門上の装飾として用いられ、その勇ましい姿で悪いものが入ってこないよう見張ってくれるということなので、着想は近いと言えます。
どうやら、既存のイメージに当てはめることは難しいようです。いずれの建築物も関東大震災罹災後、昭和初期に設計されており伊東忠太が深く関与していることから、彼の想像力と創造力の賜物なのでしょう。中国やインドのみならず、場合によっては西欧のガーゴイルからも感化されているかも知れません。
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