ザ・名も無きランナー

50才から始めたマラソン。こころと身体が一つになって燃焼している感じが好きです。楽しんで走っていきたいと思っています。

第19回フルマラソン挑戦会

2007年11月04日 | 完走記

 ビジネスホテルに前泊した。朝6時に起床。背中に背負って走る給水用のスペシャルドリンクを作りplatypusに詰める。おにぎり二個とパンを二つ、簡素な食事を摂る。入念にトイレを済ませ、部屋の床でいつものストレッチを実施。7時半、ホテルを出る。晴れだ、寒い。路線バスも通っていない初めての場所なのでタクシーを探すが、休日の朝は車通りが少ない。向かいの大層立派なホテルの前に待機中のタクシーが1台いた。ラッキー、これで荷物を背負って駅まで10分歩かずに済んだ。

 約10分で現地到着。地元の運転手さんも知らない大会だったが、会場の駐車場には自家用車が集合し、人もずいぶん集まっていた。運転手さんも驚いていた。受付でナンバーカードをもらった。見たことのあるナンバーだった。184、「いやよ」と読める、携帯の非通知設定の番号だ。縁起も何も考える必要はないと、クールに割り切る。ジンギスカン小屋に陣取り、ゼッケンをピンで留め、命綱のバックパックを準備し、靴を履き替え、周辺を7分ほど大股で散策。下草は露に濡れ、吐息が白かった。8時10分、予定通り説明会が始まる。最初に人工池を2周し2.195キロを走ってから、10キロの周回コースに出て行き、これを4周してゴールとのこと。周回コースでは5キロごとに本部前を通過することになるようだ。地図を見てもさっぱり分からなかったが、どのみち付いて行くだけだから心配は無用。注意事項等の説明が終わると、10分後にスタートとの案内、ひえ~っ。トイレに急行し、ウィンブレを脱いで、ガーミンセンサーを胸に着け、バックパックとウエストポーチを装着。ガーミンのスイッチを入れるが、初めての場所なので探知に時間がかかる。そのうちに8時30分の出発時刻となる。出走地点は池の対岸だ。まだそちらに走って向かっている人がたくさんいる。私もその後に続いた。申し訳なく後方横の外れに並んで遅まきながら屈伸を繰り返す。参加者は200人くらいだろうか、スタート時のタイムロスはほとんど無いと思われた。

 と突然なんの前ぶれもなく号砲、8時33分過ぎだった。いつものように暫くは団子状態が続くが、それほどペースが遅いわけではないので、少しずつ前に出ながら流れに沿っていく。しかし周回コースに出ると完全なる一本道となり、強制的に1列縦隊をとらされる。これには度肝を抜かれた。それでも前のランナーのペースが遅いと見るや抜きに出て、後ろの速いランナーには抜かされた。それを次から次と繰り返すのである。途中折り返し地点が2カ所ある。その後池の外周に戻って、本部前を通過した。ここが7キロ過ぎ地点と思われ、ラップを確認した。<7キロ:38分30秒、5分23秒/km、154bpm>

 時間の感覚がいつもと違うので分からないが、ペースも心拍数もまあまあと判断。次の5キロは公園内の歩道であった。こちらは前半よりもいくらか歩道の幅が広い。ここでも順位の入れ替わりはあったが、ランナーはだんだんとばらけていた。ここでも折り返し地点が2カ所あった。最後に土の路面のコースがあってゴール地点となる本部前にさしかかった。どうやらこれを繰り返すようだ。<12キロ:1時間04分02秒、25分32秒、5分18秒/km、157bpm>

 スタート時にはロンタイに長袖Tシャツに半袖Tシャツを重ね着していたが、朝の説明会で最高気温13℃の予報と聞いたとおり日向はかなり暑く、たまらず袖をまくった。よく見ると最初からランパン、ランシャツの強者もいる。朝には霜が降りて真っ白だった芝生のコースは踏みしめられてすっかり濡れていた。給水対策は万全であったが、レースとなるとなかなか補給のタイミングがつかめなかった。というか私のようなバックパックを背負って走っている人は他にいなかった(ので、多少気恥ずかしい思いもあったのかもしれない)。<17キロ:1時間30分42秒、26分39秒、5分23秒/km、156bpm>

 練習の時はこの位の距離の時が一番気持ちよく走れていた。しかし今日はそんな軽快な感じが無かった。なんか重い体を移動させている感じであった。ペースが速いのかもしれない…という気がした。でも洞爺湖の時ほどには飛ばしている実感はなかったし、心拍数もそれほど高くはないようだったので、そのまま行くことにした。途中、マウス部分を落下させ、ちょっと戻って拾うという失態を演じた。20キロすぎと思われるあたりで、アスリートソルトを1粒口に含んだ。<22キロ:1時間56分14秒、25分32秒、5分20秒/km、159bpm>

 約半分経過した。体は重く、いつまでもつのか不安になる。ここでパワージェルでエネルギーを補充した。今回は少しずつゆっくりと味わうように摂取した。だんだんと折り返し地点での折り返しが負担になってくる。ほとんど一直線でコーンの周りをUターンしてくるというのは、スピードをいったん緩め急なターンの後でまたすぐにスピードを上げるという作業の繰り返しになり、なかなかきついものである。<27キロ:2時間23分02秒、26分48秒、5分27秒/km、158bpm>

 いよいよ第一の壁、30キロがやってきた。ここまでくると流石に体は疲れていた。これからが勝負の時となる。前から落ちてくるランナーが次々と現れてきた。いつ私の番になるのか分からなかったが、重い体をなんとか引きずって走った。向かい風がだんだんときつく感じられた。思い出したようにアスリートソルトを1粒噛んでたっぷりと水を補給した。<32キロ:2時間49分39秒、26分36秒、5分35秒/km、159bpm>

 あと1周だ。時間的にはなんとかなりそうに思えたが、洞爺湖の時もそうだったから、結果については何も考えないようにした。第二の壁35キロがやってきた。きつかった。そろそろエンストだと気づいてパワージェルを1本摂った。股関節が軋んできていた。思うように足があがらない。本当に折り返しがきつく、ターンしたら前のランナーとの差が広がっていた。ペースが落ちてきているのが分かった。ただただ自動機械のように走るしかなかった。<37キロ:3時間19分49秒、30分09秒、6分10秒/km、156bpm>

 前のランナーとの差が開くだけでなく、後ろからのランナーにも抜かれるようになってきた。いよいよ私の番がやってきたのだ。ガーミンをチラッと見たとき、ペースが7分を示していた。「ああ~駄目だ」、と力を抜いてしまいたい衝動に駆られた。「力を抜いたら楽になる」。その瞬間「また辛い1年が始まる」との思いが頭の中を突っ切った。途端に私は必死になっていた。確かに足は十分に上がってはいなかったと思う。なぜならやはり何人かのランナーに抜かされたから。でも気持ちは前に向いていた。スピードが続かなくても何度も諦めずにスパート繰り返し、決して自らスピードを緩めようとはせずに走り続けた。最後の土のコースでは歯を食い縛り、くしゃくしゃの顔でスパートした。心不全で倒れそうだと頭が感じていた。後で確認したらこのレースで最速のスピード3分26秒/kmを記録していた。そのままゴールを通過。係員に「ここでゴールですからもう走らなくていいですよ~」と声をかけられた。<ネット記録:3時間50分14秒、30分25秒、6分21秒/km、154bpm>

 ジンギスカン小屋に戻ってしばらく休憩した。寒くて体がブルブルと震え、気持ちが悪かった。本当に必死でがんばるというのはこういうことだったのかと思った。これまではずいぶん簡単に諦めていたのかもしれない、とかちeRCで取り組んだオクトーバーランが効果的だったのかもしれない。主催者側が用意してくれた温かいココアを飲みパンをゆっくりと食べながら、呆然とあたりを眺めながら、とりとめなく考えていた。後でチェックしたらバックパックの水は半分しか減っていなかった。そのせいか案の上、レース後の排尿は赤みを帯びていた。飲水の要領は最後まで掴めなかったということだ。

 ネットで見る限りこのレースの距離はいくらか短いのではないかという噂がある。確かに私のガーミンのGPSによる計測では約1キロ少なかった。しかしこのコース、折り返し地点が4カ所ある(うち1カ所は信号機の真下)。だから完走までに16回の折り返しを行うのである。経験的にGPS計測は折り返しの距離測定に弱くて短く出る。そして信号機の近くで飛んで短縮する。ガーミンで距離が短く計測されのは仕方のないことだと思う。実際の距離に関して異議を唱えるのは、主催してくれた苫小牧トライアスロン協会に対して失礼に当たるので、私にはこれ以上のことは何ともコメントのしようがない。しかし距離に多少の誤差があったとしても、この時期にこうした大会を主催してくれた苫小牧トライアスロン協会の皆様方の努力にはこころから敬意と感謝の意を表したい。そしてこのフルマラソン挑戦会は、これからも私にとっては忘れられない大会となった。何故ならそれは私が初めてそして唯一サブ4を達成できた大会だから。苫小牧トライアスロン協会の皆様方、大会を主催してくださって本当にありがとう。



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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ワンダフォ~ (yotti)
2007-11-06 05:08:43
とうとうシーズン最後の大会で目標のサブ4到達ですか!しかも大幅自己記録更新に10分のお釣り付き!素晴らしいです。なんか嬉しいです、努力が実を結びましたね。今年は目標達成のためフル三昧でしたね。祝杯を挙げてゆっくり休んでください。
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疲れました~。 (北の大地)
2007-11-06 07:05:08
今期最後の大会はがんばりました。今更ですが、頑張るということはこういうことだったのかと思い出しました。性根尽き果てヘトヘトでした。なんとか目標が達成でき、今は満足しています。少し休養がほしいです。応援ありがとう!
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サブ4おめでとう! (カッチ)
2007-11-06 08:05:10
待望のサブ4達成!おめでとうございます。
走り続けていて良かったですね。
最後にペースアップできるとはすごいですね。
来年の洞爺湖はもっと余裕をもってサブ4達成できると思います、私も洞爺湖の参加を検討します。
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祝サブ4達成 (たしろ)
2007-11-06 11:59:01
完走記を読んで北の大地さんの頑張りが手に取るように分かりました。ラストスパートは圧巻!
「走らなくてもいいですよ~」といわれるまで速度を緩めない無我夢中の姿が目に浮かびます。
周回コースで「飽きる」のではと心配しましたが、完走記にはその辺が書かれていないので集中して走れていたのだなと思いました。
練習で鍛えた体は嘘をつかず、諦めない精神と集中力に呼応して肉体が反応したんですね。
本当におめでとうございます。

それにしても約200人もの参加者がいるんですね。結構大規模な大会なんだなぁ...(とよころのフルより多いかも)
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ありがとうございます。 (北の大地)
2007-11-06 20:28:32
>カッチさんへ

 1年間でフル4本目でした。こんなに走った年は人生初です。ようやくの目標達成ですが、しつこく走ってきて良かったです。毎年最後の最後にならないと目標達成ができず、冷や冷やものです。今年もなんとか安心して年を越せそうです。

>たしろさんへ

 初めてのコースだったので飽きることはなかったです。1周目はコース観察。2周目と3周目はじっくりと走り込み、最後は必死という感じでしょうか。この時期だからこそみんなやる気に満ちていたような気がします。私もすべてを出し尽くしました。
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コングラッチュレーション! (ヒラオカのゲン)
2007-11-06 21:44:48
お疲れさまでした。
現地に着いたのは、残念ながら13時近くとなってしまい、大会はもう終盤のころでした。残念!

あらためて、サブ4達成!おめでとうございます。
フルは耐力・走力とかいわれますが、大事なのは気持ちですよね。途中で諦めない気持ちですね。
来年、洞爺湖は気持ちよくお互いサブ4しましょ。楽しみにしています。
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来てたのですか~ (北の大地)
2007-11-06 22:18:44
>ヒラオカのゲンさんへ

その頃私はジンギスカン小屋で着替中だったかもしれません。根性無しを自認する私ですが、今回ほど大事なのは最後まで諦めない気もちであることを再確認させられた大会はなかったです。しばらく休養が必要なくらいすべてを出し切りました。励ましを本当にありがとうございます。
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おめでとうございます (かくて)
2007-11-06 23:47:35
おめでとうございます。やりましたね。これからまだまだ、面白いように伸びていきますよ。北海道マラソン、いってみますか。
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おめでとうございます! (トン子)
2007-11-07 08:15:06
サブ4の壁突破おめでとうございます!
私もこの壁を突破できたのは第7戦目・・長かった~!
それに北の大地さんとは一緒にサブ4目指そうと誓い合った?仲ですもの♪
大会のたびにブログチェックは欠かせませんでしたよ^^

ジンギスカン小屋、走ってる時、何度も水分補給用のリュックを背負ってる男性を見ました!(いつも近くで走っていたので折り返しのたび見ましたよ)あの男性が北の大地さんだったのですね~ご挨拶できずに残念!次回はお話させてくださいね~☆
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ついに (おやぢ)
2007-11-07 12:38:08
やりましたね!サブフォー。
おめでとうございます!

昨年までは距離短いのでは?という噂があり実際短かったようですが、今年は昨年のコースより距離が長くなっていたというので、距離の問題はないでしょう。自信を持って、胸を張ってサブフォー達成といって良いんじゃないですか。
いや~本当におめでとうございます。

今シーズンの北の大地さんの洞爺、千歳の2連戦、ロング走の実行などを見ていてサブフォーへの執念みたいなものを感じていました。必ず達成できると信じていましたよ。

人の頑張りを見るとなんか自分も燃えてきますよね。来シーズンは私も頑張りますよ~。
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