ハハ様の精神状態が不安定だ。ご機嫌だったり、不機嫌だったり、その日に又、時間によっても違う。時に私に暴言を吐いたり暴力もふるうことがある。
先日のあずみ苑のショートステイも、不機嫌な状態でスタートしたのでとても気がかりだった。
3日の土曜日から始まるショートは急遽、迎えが10時と言われ、私は気にしつつオットに任せてサークルに出た。
サークル活動も終わり、駅で電話するとすんなりとショートに行ったと言う。
何故? 私が海外に行っている間もオットは難なくショートから帰るハハ様を迎え、その後の3回のデイも無事に済ませたと言っていた。
何故!! 私の時はゴネるんだぁ~~??
今回、ショートから帰った時も何故だかとても機嫌が良くなって帰ってきたから不思議だった。
送ってきた責任者の〇〇さんに、ショートの様子を手短に聞き、お礼を言って帰ってもらった。
家を4日ほど空けていたハハさまは帰るなり、ショートでの話を興奮気味に話していた。
私 『おばあちゃん、いつもゴネるのに何故、お父さんだとスムーズに出かけるの?』 と、私もご機嫌なハハ様の様子についでに聞いてみた。
ハハ様 『だって、お父さんは何も判らないじゃないの・・・。でもね、あの人、マメだよねぇ。よく動いてくれるから言ってはダメだよ。』
私 『・・・・・・・????』 オットは何も判らないしそう言う人を相手しても仕方ないからとハハ様なりの説明をしている。何だか全て承知しているような気がして私は苦笑いをした。
ハハ様のご機嫌は夜遅くまで続いた。私はちょっとこれも心配なのだ。
いつものパターンだと、ご機嫌→興奮→疲労 その次は・・・ふさぐか切れる・・・・。
ハハ様のおしゃべりは続く、
ショートでの、寝ている部屋の出来事を2つ言ったのが気がかりだった。
一つは、小さな子供が病気で寝ていて、親らしい人が絶えず部屋を出入りしていて、子供を心配していた。翌朝はその子の姿がなかったから、朝方に亡くなったらしいと。
もう一つは、話す前に前置きがあって、ほかの人に言ったらダメとのこと。
夜、遅くに20歳くらいの女の子が隣のカーテン越しのベッドで寝ていて、誰か男の人に乱暴され泣いていたと。可哀そうに、あの娘(こ)は嫁入り前だろうにずっと泣いていたよと夢中で話すハハ様。
私、 『が~~~~ん!!』
ハハ様 『他の人に話すと今度、あんたが危ないから絶対に言ってはダメだよ。私、もうあんな気味悪い所には行かれないからね。』 『私たちが言わなくたって、悪いことは誰かの口から必ずばれるし、あんた絶対に言ちゃぁダメだよ。』
真剣にこのような気持ちの悪いことを話すハハ様に、これは現実のことでないことを知った。それにしても言い方は認知症を患っている老人の話し方とは思えないし、何も知らない人は本気にするかも知れない。
その晩、遅くニィニィが食事をとるために家に寄った。
私とニィニィ話しているのを聞きつけてハハさまが部屋から出て来た。
そして、二人にいつものように突っかかる。訳の分からない言い方をしてからんでくる。
ニィニィは仕事でもいろいろな人と接触があるらしく、ハハ様のようにボケ老人も相手することもあるらしい。上手にかわして話をはぐらかしハハ様は自分の部屋に戻った。
こんな場合、私とハハ様だけだといつもとんでもない方向に向いてしまう。ニィニィもずいぶんと成長したものだと私も頼もしく思えた。
息子が帰り、ハハ様の部屋の様子を伺うと、布団の上に座ったままボーッと魂の抜けたような様子をしている。言葉をかけると、『私、もう死にたい。医者で薬をもらってきて。』と言う。後は泣きだし、私もどうしたらよいか分からなくなる。
翌日は、何事もなかったようにケロりとした様子で部屋から出て来た。一体、昨日の騒ぎは何だったのだろう?
ケアマから、訪問の電話があったので、この件を伝えた。そしてホームドクターの井〇先生に相談することになった。
ハハ様の、状態は作話と言って認知症特有の症状の一つであり、夢やドラマで見たことが現実となり、まるで本当にあったことのように本人は感じることだと言う。人によっては幻覚も見る人もいるとか。漢方薬、ツムラの 抑肝散 が処方された。ハハ様のように虚弱な体質の患者に処方され神経を落ち着かせる効果があるらしい。
効果がなかった場合は神経内科のような病院を紹介するとドクターは言った。