映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ばるぼら」 稲垣吾郎&二階堂ふみ&手塚治虫

2020-12-13 18:02:55 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「ばるぼら」を映画館で観てきました。

映画「ばるぼら」手塚治虫原作の漫画を映画化したもの、メガホンをとるのは息子手塚眞である。稲垣吾郎、二階堂ふみの両主演に加えて、撮影はウォンカーウァイ監督作品でお馴染みのクリストファー・ドリルの豪華メンバーが揃う。売れっ子小説家がガード下で飲んだくれて倒れている女の子と知り合ってから起こる一連の奇怪な出来事の顛末がストーリーの基調である。


時代設定が漫画の原作当時に遡るわけではない。そこに売れっ子小説家とファンだけど得体のしれない女の子を放ち、劇画から飛び出たような構図の映像がつづく。二階堂ふみや渡辺えりは別として、配役の演技がお遊戯並みに稚拙で期待したほどのものではなかった。それでも、二階堂ふみだけはここでも健在

今ひとつ乗りきれない売れっ子小説家美倉(稲垣吾郎)がガード下で飲んだくれているホームレスのような女の子ばるぼら(二階堂ふみ)を見つける。介抱しようとしたら、雑誌で美原の顔を見たことあるよと抱きつき、気がつくと美倉のマンションへ向かう。体中が臭いばるぼら は家の高級ウィスキーをラッパ飲みして悪態をつき、美倉は追い出す。


その後、女好きの美倉はブティックで豊満なボディの美女を見つける。更衣室に連れ込み、メイクラブしようとすると相手が急に凶暴に急変する。そこを助けたのがばるぼらだった。ばるぼらが叩き倒すとなんと美女はマネキンの化け物だった。そんなことがあり、再度美倉のマンションへ向かい居候するようになる。次第に美倉は前よりも創作活動にノリが出てきた気がするのであるが。。。


⒈手塚治虫
70年代初頭手塚治虫は極度のスランプに見舞われていた。アニメ事業が失敗し1973年虫プロが倒産した。連載漫画も軒並み失速し大手出版社の雑誌から手塚作品が消えていった。70年台前半「ハレンチ学園」が出てきた後は漫画のエロチック化が進む。ばるぼらは1973年7月連載スタートの手塚治虫の作品である。女性の裸を出して世間一般の手塚ファンも驚かせた作品が続く。せっぱ詰まったので金儲け主義に陥ったのであろうか。


実際には失意のどん底の手塚治虫を本当の意味で助けたのは1973年11月から「少年チャンピオン」で連載がスタートしたブラックジャックである。元々医師だった手塚治虫が超腕利きの無免許医師を描いたブラックジャックで復活できた。ばるぼらがビックコミックに連載をされていたのに記憶はない。元々は手塚治虫は映画好きである。年間365本は映画を見たという手塚治虫の影響もあってか息子手塚眞も映画界に進んだ。でもパッとしてはいない。

⒉二階堂ふみ
手塚治虫作品でいえば、ばるぼらブラックジャックにおけるピノコのような存在感か。女性にも嫌われないようにアトムにはウランの存在を残すが如く、売れっ子小説家に対応してばるぼらというハチャメチャなキャラを放つ。色んな役柄を演じるようになった二階堂ふみであるが、元来演じていたキャラには近い。


自分はヒミズでの女子高校生役以来の二階堂ふみファンである。園子温の強烈な演技指導でグッと伸びた。あの衝撃からずっといい女優に育っている。この映画でも周囲の演技力が稚拙な中でより際立つ。今回小ぶりな乳輪のバストトップをさらすヌードタイムが長い。あれ?大学卒業できたんだっけ?後輩だけに気になる。

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キムギドク死す

2020-12-13 07:58:02 | 映画(韓国映画)
韓国映画の奇才キムギドクが亡くなったと報道されている。

今年の映画界の訃報ではいちばんのショックである。朝目を覚めておったまげた。キムギドクラトビアで亡くなったと言うことであるが,詳しい事情はよくわからない。一部報道によると新型コロナウィルス感染とのことだ。なんでラトビアと思ってしまうが,現地に家を買ったとされている。


キムギドクを追いかけて10年以上になる。初めて観たのは「春夏秋冬そして春」である。その映像美に魅了された。それから遡って「悪い男」を観て、その異常な世界に唖然とした。そして追いかけた。

普通のお嬢様を売春窟の世界に落とし込める「悪い男」、留守宅に忍び込み自由に振る舞う「うつせみ」、美容整形をして自分をふった男の前に現れる「絶対の愛」、死刑囚に同情して慰問に訪れる女の異常愛「プレス」、援助交際をした少女とその親をクローズアップした「サマリア」、船の中で少女を育てるロリコン偏愛もの「」などはそのテーマの選択からしてすごい発想である。必ずしもハッピーエンドに至らず抜群の奇抜な発想に魅せられた。

そして「嘆きのピエタ」は数あるキムギドクの作品でも最高傑作といえる。高利貸しの借金取りの前に母親と名乗る女が現れての顛末の話だ。自身がかなりの貧困家庭で育ったという履歴もあるのか、韓国の下層社会を描くストーリーにリアル感を感じる。


比較的近年の「網に囚われた男」や製作脚本に関わった「レッドファミリー」は南北朝鮮の問題に切り込んできた。ただ、以前ほど新作が出ていなかったのは残念だった。女優に手を出したという問題もあり、国際舞台での高い評価と比較すると韓国国内では決して周囲の評価がいいわけでもなかった。これまで楽しまされてくれたことに心から冥福を祈りたい。
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