Lucky☆Sardonyx

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「法理の火」途切れる

2011-01-08 23:51:39 | コメント
 天台宗の宗祖・最澄から805年に授かった火とされ、福岡県新宮町の旧家、横大路家が代々燃やし続けてきた「法理の火」が、第44代当主(故人)の妻千鶴江さんが昨年8月に87歳で死去したのに伴い、同家から移されたことが8日、関係者の話で分かった。

 千鶴江さんは2008年に夫を亡くした後、国の重要文化財「横大路家住宅」に1人で暮らし、かまどで火を守ってきたが、約1200年前にさかのぼる言い伝えが途切れた形になった。

 千鶴江さんの死後、最澄由来の火を残そうと同宗の長寿寺(熊本市)と西巌殿寺(熊本県阿蘇市)が引き取った。両寺は、秋までに福岡県太宰府市の妙香庵にある最澄像の近くに移す予定。横大路家側の希望があれば返還するとしている。

 横大路家に伝わる話では、火は遣唐使の最澄が持ち帰った。帰国直後に新宮町に寺を建立した際、家に泊めてもてなした同家の先祖に、横大路の姓とともに火を分け与えた。最澄は、火を守れば末代まで繁栄すると伝えたという。織田信長が比叡山を焼き打ちした際に延暦寺の「法火」が消え、同家から運んだとの説もある。

 火を守ってきた千鶴江さんは生前「一日たりとも家を空けることができず、旅行にも行けなくて大変よ」と、笑いながらこぼすこともあったという。

 横大路家の45代目は中国地方に在住。取材に対し「先のことは分からない」と話し、仕事や家庭の事情などで当面は火を継ぐことができないとしている。

 横大路家住宅は江戸時代初期の建築ともいわれ、千鶴江さんは観光客を家に招き入れ、火の由来を説明してきた。この火を題材に映画や舞台が作られたこともある。