joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

“Managing in the Next Society ”

2006年10月12日 | Audiobook


オーディオブック“Managing in the Next Society ”を聴きました。ドラッカーの『ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる』の原書をプロのナレーターが朗読したもので、CD3枚の要約版です。

内容的には“Management Challenges for the 21st Century”をコンパクトにした感じで、このCD自体に特別オリジナルな内容は無かったような印象をもちました。

一つ気づいたことは、ドラッカーはこれからNPOボランティアが社会の主要な組織形態になると考えていて、それ自体は特別珍しい考えではないと思いますが、彼がNPOが社会の主流となると考えた理由は、“knowledgeable worker”が労働世界で主流となると予測したことと密接に結びついていると言うこと。

“knowledgeable worker”(「知識労働者」と感触は同じかな?)の特徴の一つは、自発的に活動できる範囲を与えられることを求められること。おそらく単なる「従業員」とは異なり、与えられたことをこなすのではなく、自分のする仕事を自分で決める自由を求める人々のことです。その意味で、“knowledgeable worker”は“デスクワーク”と同じではありません。

そのような“knowledgeable worker”にとっては、仕事の魅力はお給料だけにあるのではなく、むしろ自分の仕事にどれだけ満足感を見出すか?どれだけ自分からやる気の出る仕事をできるか?という要因が彼の仕事の決定において大きな意味を持ちます。

このような“knowledgeable worker”が主流になることは、組織の形態が、partnershipに基づくallianceになるということです。allianceを英英辞典で引くと、an agreement between countries, political parties, etc. to work together in order to achieve sth that they all wantとなるそうです。

要するに、対等な立場の“knowledgeable worker”による合意が社会の核になるということですね。そのような合意は“knowledgeable worker”たちがどれだけ自発的にその契約にコミットできるかがキーになります。

このような自発性が核になる社会では、まさに文字通りNPOなどのボランティアが社会の主要な構成要因となってきます。もはやお金だけが労働者を動かす原因にならないからです。

ドラッカーはこのCDで、これまで教育とは若者が受けるものを意味したが、これからは生涯にわたって人々は教育を受け続けると述べています。少なくとも経済先進国ではその通りになり、あらゆる労働者がつねに知識をヴァージョンアップするために“勉強”していますね。大学院社会の到来です。

このように生涯にわたって“勉強”をすることは、もはや“勉強”とは「いい学校に行くためのもの」ではないことを意味しているのかもしれません。

もちろん多くのビジネスマンが“勉強”しているのは(べつにドラッカーは“study”という言葉を使っているわけではありませんが)、多くの場合はより収入を増やすためという側面をもっているでしょう。

しかし同時に、生涯にわたって“勉強”するとき、その“勉強”は必然的に、「これは何のためにしているのか?」という問いを人々に意識させる筈です。

若いときであれば思考をストップさせて、とにかく目標の点を取るために勉強することができるかもしれないし、また人生の一時期にそのように一つの目標にコミットすることはポジティブな意味を持ちうるかもしれません。

しかし生涯にわたって勉強する際には、「いい点をとるため」「スキルをあげるため」「収入を増やすため」という目標と同時に、「これをすることは自分にとって何の意味があるのか?」「どんな勉強が自分には本当に必要なのか?」ということを意識させるのではないかと思います。

つまり生涯にわたって勉強する際には、その人の自発性は何に向かうことを求めているのか、その人自身が反省することを強いられるように思います。ドラッカーは“knowledgeable worker”にとって大事なことは、「自分の強みとは何か?」という問いを自分に投げかけることだと述べています。

そのように人々が自分の強みを問い、自分の自発性の源泉を掘り起こすとき、その人は従来の企業だけではなく、より自由に、たとえばNPOなどの組織で活動することを求めるのかもしれません。


このCDは3枚組ですが、一枚一枚の最初と終わりにピアノによる音楽が少し流れるのですが、それがちょっと冷たい感じがするのが印象的でした。たしかにドラッカーは必ずしもばら色の世界を予測しているわけではないし、そもそも未来を正確に予測することはできないと述べているのですから(それは出生率をコントロールできないことと結びついています)、その冷たい感じの伴奏と内容とはマッチしているのかもしれません。しかし、やはり私としては未来は明るくあって欲しいので、もう少し違う音楽でもよかったのでは、などと(どうでもいいことを)思ってしまいました。


参考:「ネスクト・ソサエティ ~ Managing in the Next Society by ドラッカー」 『CD、テープを聴いて勉強しよう!! by ムギ』

“Management Challenges for the 21st Century”by Peter F. Drucker 2 “joy”

“Management Challenges for the 21st Century”by Peter F. Drucker 1 “joy”


最新の画像もっと見る

post a comment