風の谷通信No11-005
かねてより心配していたTPPの危険な面が新聞に掲載された。神戸新聞客員論説委員・松原隆一郎氏による。(神戸新聞2016.01.13)
議論の前提となる「内国待遇」がよくは判らないのだが・・・無様ながら議論の出発点で判らない項目があるとは。とは言え、とにもかくにも走り出そう。
TPPが求めることのひとつは、日本の輸入品に対して『日本の市場では環境や安全、福祉や健康に関する規制の国内基準を米国に合わさざるを得なくなる』・・・という。
ホラ見たことか。この約束がISD条項とどう絡むのか理解できないが良く似ている。つまり、アメリカ資本の都合が二ホンの国としての都合よりも優位に立つということだ。少なくとも輸入品の社会的規制について二ホンの国としての主体性が無視され、アメリカ資本の主張がまかり通ることになる。輸入品の社会的規制については国の主権に関わることなのに、アメリカの経済体制である『グローバル資本主義』が各国の主権に関わる部分に対しても非関税障壁とみなして干渉しようとするもの・・・であると言われる。
これは困ったことだ。(関税を引き下げるという交渉の幾分かは国民に知らされいる。しかし、)関税以外の社会的規制についてはどんな交渉が行われて来たのか、よく知らされてはいない。例えば、環境に関わる軸で、ある成分やその含有量などが日本の国情に合わせて厳しく規制されているところを、アメリカ資本の都合に合わせて『骨抜き』にされてしまうかも知れない。遺伝子組み換え作物の表示がアメリカ国内並みに緩められて、いままで水際で防いできた該当作物がフリーハンドで日本の食卓まで直行するかも知れない。(遺伝子組み換え大豆が、何の規制もなく二ホンの豆腐や納豆や味噌や、あるいは家畜飼料などに入ってきて、しかもその使用の事実が公表されない・・・といった事態が考えられる。)化学合成品の使用基準を緩めることはアメリカが一番求めることかも知れない。特殊な分野では、ある種の色素(例えば食品添加物)が、日本の規定を無視して使用可能とか使用禁止とかになるやも知れない。古い話だけど、アメリカは右ハンドルの日本車の輸入を禁じたけど、左ハンドルのアメ車を二ホンへ輸出する権利を確保した。まあ、こんな我儘はこれからも続くだろう。
こんな一般国民には隠された情報を明らかにしてくれるマスコミの力はまことに有り難い。アベさんに招かれてセレブの夕食を楽しんだお返しに〈ヨイショ〉だけやっているテレビのボスたちよりはずっと報道人らしい。
乱暴かつ簡単に言えば、このクニの規制の構え=政治の枠組み=が無視されてしまい、グローバル資本の腕力のままに屈服させられるだろう…と言える。それでもアメリカのTPPに参加しようとするのがアベ政権だ。バカか気違いか?もう一度乱暴かつ簡潔に言えば、アベ政権はこの国をアメリカに売り渡し、この国の/国民の蓄積した資産を差し出し、郵政の蓄積を進呈し、年金積立金までも証券市場に提供してアメリカ証券会社の手に送り込もうとしている。
彼こそはまこと売国奴、この国の破壊者である・・・と識者がおっしゃっています。賛成。
次はこの国土の問題も考えてみたい。あははは・・・、いろんな素人議論ができるのでたのしみです。
