先日何気なくテレビをつけたら、バルテュスを扱ったアート番組をやっていた。そういや駅のポスターで見かけるバルテュス展、いつまでだっけ、と調べたら、もうすぐ終わりそう。
慌てて行こう、と思ったが時間がとれない。ようやく、金曜の夜(この日だけ8時までやっている)に無理矢理時間を作った。
ギリシャ戦の日でもありましたね。ここ(丸の内)も、一応パブリックビューの会場になっているようです。僕は通勤中に、前に座っている人がスマホで実況を見ているのを盗み見していた・。
都心部の駅などではかなり盛んに広告していたが、それにしても場内がかなり混雑していたのには驚いた。
バルテュスを知ったのは彼が存命中のことで、その頃の僕の印象(ちゃんと作品を見ていなかったので、大変失礼な印象だが)は、なんか変なじいさん、という、ひどいものだった。ごめんなさい、って、誰に謝っているんだか。
以前は現代の作家であり、評価も現在進行中、という感じだったが、没後13年を経て、すっかり大家の地位に落ち着いたような気がする。
大胆なポーズをとる少女の絵が今日でもとても衝撃的で印象に残るわけだが、絵を目の前にしてまず感じるのは、古典的な描画手法で描かれているな、ということだ。
僕の西洋画知識には限りがあるが、絵の具を何度も塗り重ねて行く手法は、印象派以前の室内画の伝統を感じさせる。様式的な、やや不自然な形にアレンジされたポーズからも、古典的な印象を強調したいという意図が感じられる。
こうした描法は、これの描かれた1930年代から50年代に人々の目にどう映ったのだろうか?
風景画はまた人物とは別の面を見せる。「窓」などは色調のせいか妙に印象派っぽいし、「モンテカルヴェッロの風景」など、また作風が変わっている。
いろいろ思ったこともあったけど、ここで書こうにもまとまらなさそうだし、この辺で。思ったより、心に残る展覧会でした。
夜8時まで見られるのはありがたいが、それでも後半はちょっと慌ただしかった。
昼の一番長い時期だが、午後8時には日が暮れている。心の底の記憶では、もっと日が長い国に昔いたような感じもする。一度夏の北欧にでも、しばらく滞在してみたいものだ