Finalvent著 ダイヤモンド社。 買ったのはAmazonの電子書籍。
Finalvent氏はブロガーとして有名な方で、「極東ブログ」は1日30万PVに達しているらしい。職業はIT関係で自営されているらしいが、僕はそういう方面のことはつ詳しくないので、具体的にどういう業務なのかはわからない。ブログの内容はそうしたIT関係のことではなく、世相全般の評論や、近年では外国語習得の話などが目立つ。
「考える生き方」は、そんなFinalvent氏の「自分語り」を本にしたものだ。日経新聞の「私の履歴書」みたいなものだ。氏に言わせると社会的に功績を挙げた人や著名な人の生涯を語る本は多いが、自分のような「失敗した」人生を語る本があっても良いのではないか、と思って書いた、という趣旨のことを冒頭に書いておられる。
事前に読んだ世評では、このひと、失敗したと自分でいってる割には、結構充実した人生なんじゃない?という言い方が目立った。
難しいものだが、確かに少してらった書き方をしすぎたと受け取られても仕方ない気もする。結構プライドの高い方のようで、ブログを読んでも確かに文章の切れ味は非常に鋭いのだが、氏が若い頃自分に期待したような人生は送れなかったということなのだろう。
だが、成功したとか、しなかったというのはある程度は主観の問題だ。なんとなく1Q84の天吾の父が思い出されてしまうが、彼は満州から体一つで引き揚げ、NHKの職員になれたことを唯一の誇りとし、それを息子に繰り返し語り聞かせた。天吾の父にとって、それは大変なサクセス・ストーリーだったのだが・・。
それはそれとして、氏の20代、30代の頃の経験談は、それなりに波瀾万丈の世界で面白い。また、沖縄に移住されてからの話は更に興味深い。氏はそうした経歴が、こうして本にして語るに値すると思われたからこそ(そして出版の機会を与えられたからこそ)これを書いたのだろう。その辺が透けて見えるからこそ、冒頭で自分の人生をからっぽだった、と書かれたことに、みんな違和感を覚えるのだと思う。
明日は夏至。