うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

嬉しうて、そして・・・

2019年03月15日 | 本と雑誌

城山三郎 文春文庫2010 単行本は2007年8月発売

買ったときも読んでいるときもずっと気づかなかったが、8年前に一度読んでいたらしい。転居のとき、城山作品の多くは手元に残さなかったようで(いつでも買えると思ったのか)、ざっと書棚を見たが見当たらない。・・買ってから気がつくってのはあったけど、読んでもわからないってのは・・困ったもんだ。

帯に「今こそ、私たちは城山さんの言葉を必要としている」とある。城山氏晩年の、かなり辛口の社会批評を含む随筆集である。

城山三郎氏の小説は学生時代、そろそろ社会に出る準備を始めたころに盛んに読んだ。随筆では「打たれ強く生きる」などは、何度も繰り返し読んでいる。昭和50年代~平成にはいるぐらいの頃に最も活躍された方で、ビジネス誌などを読むとしばしば城山氏の文章を目にしていた気がする。そのころの政財界の人たち、平岩外四氏や本田宗一郎氏、大平正芳氏などは、城山氏の文章を通じてその生きざまを知ったようなところがある。うぶな学生で、社会というものがどんな恐ろしいところなのか戦々恐々としていた身には、とても心安らかにさせてくれる存在だった。

城山氏の視点は、まるで少年のように純粋で清らかだ。というか、今日的な目で見れば、青臭いといってもいいほどの純粋さだ。今のビジネス誌がどんなことを書いているのかわからないが、たぶん今時のライターはこんな率直な書き方をできるひとはいないと思う。青年時代に戦争という過酷な経験を経た人だからこそ書けるのだろう。

ときどき城山氏の文章が懐かしくなって読む。きれいごとで残らない文章なのかもしれないけど、皆がそれを求めていた時代が懐かしい。高潔なリーダーたちに憧れ、自らもそうありたいと思っていた時代が懐かしい。

・・あれですね、ツイッターの論調が少しずつ変わってきていますね。話飛びますけど。

 

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