こうの史代 双葉社 (Amazon Kindle版)
映画を見たのが昨年12月の初め頃。その直後にAmazonで、上中下セットで電子版を入手しました。ほぼ同時に「ぴっぴらさん」も入手。会社の子には「楽しみながら読みたいから、電車の中で読んだりしないで、どこかでコーヒー飲みながら、ゆっくり味わうように読みたい」などと話していました。
その直後から身の回りが慌ただしくなり・・といっても、コーヒーぐらい飲む時間はありましたが。それよりも、読み進むうちにだんだんと痛くなってきて、特に下巻の「20年6月」ごろから先はちょっと・・。
先日SNSで友人が「(映画を)上演していたので今頃になって観た。原作も読んでみたい」と書いていたので、これをきっかけに再読、ようやく読了しました。
映画版も時代考証には徹底的にこだわっていますが(監督のブログあり)、そもそも原作者のこうのさんが当時のことを相当調べあげて書いたのですね。映画のほうですが、当時を知る年配の方々からも「あの頃を思い出す」とお墨付きをいただいていたようです。戦国時代など、うんと古い時代設定の場合、作者のファンタジーを受容しやすい(誰も本当のことは知らない)。ですが、写真や動画の残っている時代というのは、その辺が難しいという気がします。
SNSの友人のTLにもコメントしましたが、僕の祖母は戦時中の話をすることを嫌っていました。戦艦大和のプラモデルを買ってもらい、喜んでいたら、苦々しそうな顔をしていたことを思い出します。やはり実際に困窮や恐怖を経験した人は、同じものを見ても受け止め方が違うのかもしれません。笑い事じゃないんだよ、ということでしょうか。
とはいえ、我々がこうして、作品を通じてかつての人たちの苦労を忍ぶことも、我々なりに意義のある事だとは思うし、先ほどの祖母と交流した経験を含め、続く世代の人たちにつないで行くことも大切なことでしょう。
映画ですが、このまま興行成績がよければ、30分拡大版を上映する可能性もあるとのこと。