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ウリパパの日記

自由気ままに・・・

新国立劇場 タンホイザーを見て

2007-10-14 22:32:51 | オペラ
新国立劇場が早くも開場10周年を迎え、ワーグナーの『タンホイザーとヴァルトブルグの歌合戦』の新制作で幕を開けました。今日は義父と二人で新国立劇場で鑑賞してきました。
私はこのオペラに接するのは2回目で、前回は1996年のハンブルク国立歌劇場日本公演でした。ハリー・クプファーのスリリングな演出と言葉の力で迫ってくるルネ・コロの歌唱力に圧倒されたことを思い出します。さて、今回は・・・

結果は期待通り、ワーグナーの世界に酔いしれてきました。でも、予想以上の驚きは無く、前回の「バラの騎士」ほどの感動は得られませんでした。
まずはペーター・レーマンによる演出。流行の時代読み替えは行わず、極めてオーソドックスで安心して音楽に集中できます。ヴェーヌスの歓楽世界(ヴェーヌスブルク)とエリザベートの精神世界(ヴァルトブルク)が色と映像によって表現されていました。でもヴェーヌスブルクの映像はちょっとグロテスクでしたね。それと全体的にちょっと暗かった印象です。

フィリップ・オーギャン指揮する東京フィルと新国立劇場合唱団はいつもながら素晴らしい出来栄え、合唱はワーグナーの魅力たっぷりで最高でした。
問題はタイトルロールのアルベルト・ボンネマ。10年前のローエングリンでも急遽代役でタイトルロールを務め、そして今回も。何か新国立劇場と縁があるようです。過去2回の公演でいろいろ叩かれているようですが、何と表現していいのか。でも悪くはありません。2つの世界をさまよう主人公の精神的な弱さを見事に演じています。ローマ語りも素晴らしいかった。でも、テノールにしては音域がやや狭く、f以上の高音がとても苦しい。音程が安定せずヘルデンテノールというよりはヴェリズモオペラを聞いている感じ。高音は、指輪のミーメに相応しい声でしたね。でも一番気になったのは体型。ポッコリお腹は何とかしてほしい~!
ヴォルフラム演じるマーティン・ガントナーは品格ある歌いぶりで好感持てました。昨年のドンカルロでのロドリーゴ役ではイタリアオペラとの相性に違和感を感じましたが、ドイツ物で本領発揮でしょうか。そして領主へルマン演じるハンス・チャマーのようなベテランは舞台を引き締めてくれます。
一方の女性陣はエリザベートのリカルダ・メルベートが素晴らしかった。さすがバイロイト音楽祭で活躍するだけあります。透明で美しい歌声には鳥肌がたちます。歌合戦の挙句抹殺されそうになったタンホイザーをかばう2幕の後半、そして3幕の"エリザベートの祈り"には本当に涙が出てきました。
ヴェーヌスのリンダ・ワトソンはベテランの貫禄。でも東京リングのブリュンヒルデのイメージが強く、ちょっと違うかな?と感じましたが・・・


ワーグナーの世界に酔いしれた4時間でした。終演後は、オペラシティ53階の展望レストランで天ぷらを食べました。終演後のオペラ談議も楽しみの一つです(いつもご馳走さま!)。父によると、楽劇なのだからもっと舞台に変化を持たせて欲しかったとのこと。なるほどー。でも、登場人物がネクタイしていないだけマシだったかな?アイゼナハはヴァルトブルクのお城で知られていますが、バッハ命の父によるとバッハ生誕の地とのこと。バッハだのワーグナーだので盛り上がりました。 

今週水曜日は、いよいよベルリン国立歌劇場のトリスタンとイゾルデです。またまたワーグナーに陶酔してきます~
コメント (1)
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