左の図は左右二つの目で、三つの窓を通して壁の向こうの鉛筆を見ているところで、見ている人にはどのように見えるかという問題で、三つの見え方が真ん中に示されています。
中津幸夫「視覚迷宮」によれば、80名の学生のうちAを選択した人が24名、Bが11名、Cが33名だったそうです。
じつは、この中に正解はなく、右の図のように窓は5つになって見え、真ん中に目標の鉛筆は見えるのというのが答えです。
これは実際に紙を使って穴をあけて見ると右の図のようになることが確かめられます。
頭で考えるだけのときは、窓は3つしかないので当然三つに見えるだろうと考えますから、真ん中の図のどれかという質問に、疑問を抱かないのです。
しかし実際には5つに見えるのですが、よく見ると実際の窓は真ん中が四角なのに、右の図では窓が丸くなっています。
そうすると先ほどの3つの答えのうち、近いのはCだということになります。
80人の学生のうち41%の33名が近い答えだったようです。
両眼で見たときの見え方は右の図のようになるのですが、この5つの窓をa,b,c,d,eとしたとき、左目を閉じると右目にはa,b,cが見えます。
逆に右目を閉じれば、左目にはc,d,eが見えます。
両眼で見るということは右目に見える像と左目に見える像が融合して見えるわけで、cの部分が重なった形で、a,b,c,d,eという風に5つに見えるのです。
cは左目で見た像と右眼で見た像とが融合したものなのです。
両眼で見たときに真ん中に見える像は、まるで両眼の間にもう一つの眼があって、その真ん中の眼で見ているような見え方です。
実際にはそのような眼はないのですが、感じとしてはそのような眼を意識すれば、真ん中の融合した像はよく見えます。
この仮想的な眼はギリシャ神話の一つ目巨人であるサイクロプスにちなんで、サイクロピアンアイというのだそうですが、この真ん中にある目を意識すれば、顔の正中面を意識することが楽に出来ます。
左右二つの図を寄り眼で見て立体視をする場合、左右の眼を意識しすぎると像がなかなか融合しないでうまくいかないことがあります。
このとき左右の眼を意識するのでなく、真ん中にもう一つの眼があるつもりで、その真ん中の眼で見るようにすれば融合がうまくいきやすくなります。
左右の眼のバランスをよくするためには、真ん中の眼があるような意識を持つのが有効で、顔をまっすぐ前に向けて見る場合にも役立ちます。
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