60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

口で言うより手のほうが早い

2007-12-29 22:32:58 | 文字を読む

 図の①の例はスクリーンに文字が表示されたとき、上に表示されたときは「上」と答え、下に表示されたときは「下」と、文字ではなく表示位置を答えるというテストです。
 このとき文字が上に表示されて「上」と答えるというように、文字の意味と位置が一致しているほうが速く答えられ、また間違いも少なくなります。
 また文字の位置を答えるのではなく、表示された文字が何かを答えるいうテストをすると、こちらのほうが応答時間は短くなります。
 文字の位置を答えるほうが文字の読みを答えるより応答が遅れるのは、文字の読みが自動化されていて、位置を答えるよりも速く反応するためと考えられています。
 
 ところが、ボタンを二つ用意しておき、文字が上の位置に表示されたときははAのボタン、下に表示されたときはBのボタンを押すということにしておくと、ボタンが表示されたときに位置を答えるより、ボタンを押すほうが速くなります。
 つまり「口で言うより手のほうが早い」のです。
 文字の読みが自動化しているで速いというのは、位置を口で答えるより速いということで、言葉を使った場合についての比較です。
 これは上下の場合だけというのではなく、②のように位置を左右にして答える場合も同じです。
 さらに③の場合のように色を答える場合も同じです。
 文字の意味でなく文字の色を答えるほうが応答が遅くなり、間違いが増えるのですが、文字の読みを答えるより、文字の色をボタンで答えるほうが速くなります。

 また、たとえば「鳩、すずめ、鷹」といった鳥の写真のカードと、文字だけを表示したカードを見せて答えるテストをすると、写真を見て鳥の名を答えるより、文字を見て答えるほうが応答時間が速くなります。
 つまり言葉のテストは文字を読むほうが、写真や実物を言葉で表現するより速いのです。

 上下の位置をボタン押しでで答えるほうが、口で答えるより速いのですが、上下の読みをボタンで答える場合と比べるとどうでしょうか。
 口で答える場合は、読みを答えるほうが位置を答える場合より速かったのですから、読みを答えるほうが速いと思うかもしれませんが、そうではありません。
 文字の位置を判断するほうが、文字の意味を判断するより速いのです。
 これは③の場合の色の判断の場合も同じで、色の判断のほうが文字の意味の判断より速いのです。
 つまり文字の意味の判断は自動的ではない(読みが自動的でも)のです。
 文字を見て意味をすばやく読み取れるようになるためには、字面を読み取るだけでは不十分なのです。


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