城生佰太郎「当節おもしろ言語学」によれば、自足100kmの高速運転では1.2の視力は0.6に落ちるそうです。
道路の案内標識もできるだけわかりやすくて頭に入りやすいものがよいのですが、日本人の場合はかなやローマ字よりも漢字の方が認識しやすいそうです。
図のような漢字とひらがな、ローマ字を見せて、どれだけ速く認識できるかを調べたところ、漢字は.06秒,ひらがなの場合で0.75秒,ローマ字の場合は1.32秒かかったそうです。
これは単純に漢字のほうが速く読み取れるということではなく、地名を漢字で読み取るのが慣れているからなのですが、漢字のほうが字形が複雑なのにもかかわらず、圧倒的に読み取り速度が速いのに驚きます。
一文字であればひらがなやローマ字のほうが認識速度は速いのですが、地名など意味を持った言葉の認識では漢字のほうが早くなるのです。
漢字であっても知らない文字とか、知らない単語であればもちろん読み取り速度は落ちますし、知らない単語で、複雑な文字、文字数が4字以上であればそれこそひらがなやローマ字より認識速度は落ちてしまいます。
漢字の場合認識スピードが速いのはあくまでもあらかじめ記憶されている単語の場合で、単語を知らなかったり、まして文字を知らなければ、それこそ読み取りに何秒もかかってしまいます。
ひらがなや、ローマ字の場合は単語を記憶していなくても、文字は読めるのですから記憶している単語との読み取り速度の差は漢字の場合ほど多くはありません。
漢字が読み取りやすく、漢字かな混じりの日本の文章が速く読めるということが言われたりしますが、それは長い時間をかけて漢字を習得して読みなれた人の場合についていえることです。
ひらがなやローマ字に比べ文字数が多いので覚えるのは大変ですが、意味と結びついて記憶されている場合はかえって認識スピードが速くなります。
漢字のほうが字形が複雑なので、記憶との照合が手間取るということが予想されるのですが、厳密な照合をするわけではないので、案外に速く認識できるのです。
図の例では「豊中」という文字を読み取りやすくしたウソ字になっているのですが、たいていの人はそのことに気がつかず「豊中」として読んでいます。
多少間違っていたり、おかしな字体であってもそれを苦にしないでパッと読み取ることができるのは、イメージ記憶というものは結構あいまいで、記憶との照合もアバウトだからスピーディにできるのです。
ひらがなやローマ字は文字の一部分を略したり、変形したりすると何の字かわからなくなったりするのですが、漢字は余分な部分が多いためか安定しているのでかえって大雑把な把握ができるという面があります。
略字化など字形の変更などがかなり乱暴なやり方でされても、多くの人があまり気にせず字が速く読めるというのも漢字の長所というか、短所というか特徴のひとつです。
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