60歳からの視覚能力

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注意の向け方で見え方が変わる

2006-07-12 23:03:29 | 視角と判断

 図は眼の断面図ですが、横から見たものと解釈しても、上から見たものと解釈してもかまいません。
 ものを見るときの焦点調節は、カメラのレンズに当たる水晶体の厚さを調節することによって可能になります。
 水晶体は普段は水晶体の周囲にある毛様体筋につながるチン氏帯という紐のようなもので引っ張られて薄い状態ですが、このとき毛様体筋はゆるんでいます。
 近くを見るときは毛様体筋が緊張してちぢむので間のチン氏帯がゆるみ周囲から引っ張られなくなった水晶体が膨らむということになります。
 歳をとれば水晶体が弾力を失っていて、チン氏帯がゆるみ周りからの引張りがなくなっても水晶体のふくらみが十分でなくなるので、近くのものが見えにくくなるのです。

 ところで、ものを見るときは程度の差はあっても毛様体筋を緊張させ、水晶体の厚さを変えて焦点をあわせようとします。
 このとき、毛様体筋のちぢみ具合が水晶体の上下左右で均等であるというのが普通ですが、上下に注意を向けたときと左右に注意を向けたときとでは少し差ができます。
 上下に注意を向ければ視野が上下に広がるだけでなく、上下の毛様体筋のほうがやや緊張するので、水晶体が上下方向に対して膨らむことが予想されます。
 その結果モノの見え方は上下方向に拡大されて見えることになります。
 もし左右の方向に注意を向ければ左右の毛様体筋がちぢみ、水晶体は水平方向に対してふくらみ、ものの見え方は水平方向に拡大されて見えることになります。

 右側にある図A、Bは同じ正方形なのですが、Aは横に長く、Bは縦に長く見えます。
  Aの場合は○印が正方形の左右にあるため、注意が左右に向けられ左右のほうがやや拡大されて見え、正方形は横長に見えるのです。
 これに対しBの場合は、正方形の上下に○印があるので、上下に注意が向かい上下が拡大され、正方形が縦長に見えるのです。
 このような調節は無意識のうちに行われるので、AとBが同じ正方形であるということに気がつかず、違う形の長方形だと思ってしまいます。
 普通はこれを錯覚だとするのですが、水晶体の変形によって網膜に映る像が変化するのであれば、それは錯覚ではありません。
 見方が変われば見え方が変わるということですから、変わって見えることが正常なのです。

 これは分かりやすい例としてあげたものですが、普段ものを見ているときでも上下に注意を向けたときと左右に注意を向けたときとでは見え方に違いがあります。
 只そのように意識してみない限り気がつかないということです。
 室内にある周りにあるものでも、戸外の車とか建物などでも上下と左右の注意の向け方で形が変わって見えることを確かめることができます。


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