日本語のカナは、頭から文字を一つづつ読んでいけばとりあえず読むことは出来ます。
文字を覚えたての子供も、カナで書いてあれば意味が分からなくてもともかく読むことは出来ます。
そこで一つ一つの文字を音声に置き換えれば、文章を機械で音声化できるだろうと考えられたことがありました。
漢字のせいで日本語はコンピューターとは折り合いが悪いと思われていたのが、文章の音声化は英語などよりずっと早く実現しそうだと思われたのです。
じっさいは、文字をただ音声にすればよいということはなく、文字を結びつけて単語に置き換え、単語を結び付けて文にまとめ、文の意味からアクセントをきめたりしなければならないので、コンピューターで自動的に出来るものではないのです。
チンパンジーに言葉を教えようとしてうまくいかなかったのは、チンパンジーが人間の様な声帯を持たないためだというのが一般的な説です。
しかし、人間は声が出せない人でも言葉を覚えることが出来るのですから、声帯だけが原因であるとはいえません。
もし、チンパンジーが文字を組み合わせれば単語になり、その単語を組み合わせて文をつくるといったことが出来るなら、声が出せなくても文字を覚えることで言葉を使えるようになったのではないでしょうか。
英語の場合はスペリングと音声が直接対応しないので、文字の組み合わせによる単語の表現をチンパンジーに覚えさせる気も起きなかったでしょうが、日本語の場合カナを覚えさせようとしなかったのは不思議といえば不思議です。
コンピューターに音声化をさせようと考えたのであれば、チンパンジーにカナを覚えさせようと考えてもよかったはずです。
文字を組み合わせて単語として理解したり、単語を組み合わせて文として理解するといった統合作用は、人間しか今のところは出来ないようです。
文字のまとまりを一つのものとしてとらえ、さらに単語のまとまりを文としてとらえるといったことが文章を読む上で必要な基礎的能力なのです。
こうした能力を発揮するには、文字を一つづつ見ていってはダメで、文字のかたまりを読みに先立って見通すことが出来なければなりません。
日本語の場合は漢字が混ざることによって、単語のまとまりや、意味表示が助けられているので視野が広がれば読みがうまくいきます。
あとは単語を自動的に素早く理解することが、文のスムーズな理解につながるので、文章を読む上で、単語の自動認識能力が基礎として重要です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます