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あいまいな言葉

2006-08-27 23:01:29 | 言葉とイメージ

 図はReedという心理学者が顔の典型イメージが作る実験に使用したものです。
 下の二つの顔は、それぞれ上のA,B両グループの顔を基にして典型としてつくられたものです。
 顔の長さから、額の広さとか、目の間の距離、鼻の長さ、口の大きさなどをそれぞれのグループについて平均を計算して作り上げたものです。
 そうしたことを知らないで、下の顔を見せられた場合、それぞれがどちらのグループに属するかを聞かれて、90%以上はAがAグループ、BがBグループと答えるそうです。
 人間は同じ種類に属するものを多く見ていると、経験からその平均的イメージを作り上げそのグループの典型と考えるというのです。
 日本人なら日本人らしい顔とか、イギリス人ならイギリス人らしい顔とかいった典型イメージを経験によって持っているということになります。
 
 もちろんこれは仮説で、見た経験から平均的なイメージを作り出しているということを実際に証明できるわけではないので、直感的に納得しやすい説明に、模擬実験を加えたにすぎません。
 この実験は同じものを見せて経験を同じにすることでイメージを共通にしようとしています。
 経験から平均イメージが作られるというのであれば、個人ごとに経験の幅や種類が違うので日本人のイメージといっても、ひとによって描くイメージは違うということになります。
 じっさい、「犬」という動物のイメージにしても、座敷犬を飼っているような人が持つイメージと、猟犬を飼っている人が持つイメージでは隔たりがありますから、なかなか話が合わないかもしれません。
 そうなると「犬」という言葉にしても人によって持つイメージが異なってきますから、かなり多義的というかあいまいなものだと考えられます。

 以前、NHKの「ためしてガッテン」という番組では、私たちの脳は数千人分の顔を見た経験からその顔を平均化して、その平均顔のイメージを基準として持っているとしています。
 似顔絵はこの平均顔からの違いを強調すれば特長がハッキリしてくるので、描かれた顔は似て見えるというのです。
 平均顔とはどんな顔なのかは示されなかったのですが、説明を聞けばなるほどと思った人が多かったかもしれません。
 老若男女、地方別などを無視して平均顔というものがあるのかどうか分かりませんが、人によって経験が違うので、イメージとしての平均顔もかなり違うでしょう。
 そうすると、平均顔と違うといっても人によって平均顔の基準が違ってくるので、ある人はにていると思った似顔絵でも、別の人は似ていないと思うかもしれません。

 平均顔というのはどんなものかは、コンピューターで作られたような感じがありますが、実際は経験したものに対して、どこかしら似たような感じを持つイメージなのではないでしょうか。
 平均顔というものがあるとすれば、どの顔に対しても似た部分を持つということです。
 どんな顔でも平均顔と似た部分はあるのでしょうから、平均顔に近づきすぎると他のいろんな顔に似てしまうので、違いを際立たせなければ見分けがつかなくなるのです。
 言葉も言葉の示すものの平均のようなものだとすれば、意味はあいまいなので、具体的なものを表現するときは違いを際立たせる表現をしなければならないということになります。
 
 


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