A図はよく出てくるミュラー.リヤー錯視図で、上の横線のほうが下の横線より短く見えます。
斜めの線が余分に加わっているためにおきる錯視ですが、この錯視図形も10歳以下の子供と老人の錯視量が多いとされています。
したがって錯視の理由を説明する場合は年齢によって、変化していることも説明できるほうが説得力があります。
高齢者の場合については感覚器の衰えによるというような説明もありますが、それでは子供の場合については説明できません。
また遠近法による説明もありますが、その場合は高齢者は遠近法を理解しないようで納得しにくい説明です。
比較的説得力のあるのは、横線が斜めの線を含めた全体の図形と一体化して、これを分離して見るのが難しいというものです。
子供や老人は周りの刺激の影響を排除して、全体の中の部分を見極める能力が劣ると解釈するのです。
B図はこの錯視図をわかりやすくしたもので、線を太くし、先端を赤丸にしてあります。
横線と斜めの線が交接する部分は赤丸が重なっていますから、斜めの線と交接していても横線を見極めることが簡単に出来ます。
こうして見ると上の横線も下の横線も、斜めの線と切り離してみることが出来、同じ長さであることが簡単に分かります。
もしこの線がすべて黒く塗りつぶされれば、赤丸の部分が線の中に埋没してしまうのでどこまでが横線の部分なのか分かりにくくなるだろうと予測できます。
それではどうすればA図で横線を全体から分離してみることができるでしょうか。
そのまえにC図のように、それぞれの図を半分にした場合を考えます。
この場合は斜めの線が片側にしかないので、横線は長さは上の図形の場合は下の部分、下の図形の場合は上の部分を見ればよいので、簡単に分かります。
そうしてこの二本の横線は同じ長さであることもはっきり分かります。
それではA図にもどって横線を見極めようとします。
このときC図のときのようにな半分の図形をイメージしながら見れば、最初にA図を見たときとは違って二本の横線は同じ長さに近づいて見えてきます。
直接には横線の先端は斜めの線と重なって見えないので、C図のような図形をイメージすることで先端を推理するわけです。そうすると見えない部分を見ることが出来ます。 直接的な見方が出来ない場合は、間接的な方法をとることを考える必要があるのです。
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