ある高校の野球部では左打者に右から左に書いた横書きの文章を読ませる訓練をしたそうです。
横書きの文章は左から右に読んでいくので、視線を左から右に動かす癖がついていて、右から左の動きを追うのが苦手になっている可能性があります。
右打者の場合、投手の投げた球は左から来るのでよいのですが、左打者の場合は右から来ることになるので、眼の動かし方が逆になります。
理屈では逆方向に書かれた文章を読むという訓練が打撃に効果的かもしれませんが、この場合は実際に打撃成績が向上したしそうです。
速読の訓練では文章を逆方向から読むというのがありますが、この場合は文章が逆方向から書かれているわけではなく、普通に書かれた文章です。
この場合は文章を左から右に読んでいき、次の行の行末から行の先頭に向かって読めれば効率が良いと考えるからのようです。
効率はともかくとして、逆方向から文章を読むというのは別の効用があります。
文章を読むとき、端から一文字づつ読むのではなく、文章の句や文をひと目で読み取るレルようになれば眼が疲れず、また文章の意味も把握しやすくなります。
読みを習うときは一つ一つの文字を端から順に読んで単語を把握し、さらに文章の意味を理解していくのですが、これはあくまでも習い始めのときのやり方です。
眼には7文字以上の文字がはっきりとひと目で見えるのですから、慣れてくれば一文字づつ読み取らなくても良いはずです。
たとえば図のように「参議院選挙、投票しましたか?」というような短文を読むときひと目で読み取れても良いのですが、順に読む癖が抜けないとひと目では読み取れません。
はじめの「参議院」ぐらいはひと目で読み取れてもそのとき「選挙」のほうは眼にはいらなかったりします。
ところが後ろのほうから読むと、「選挙」を読み取ろうとしたとき「参議院」が自然に眼に入ります。
「投票しましたか?」を読むときも後ろから読もうとするときは、「投票」まで目に入るので、全体を人目で見ることができるようになります。
逆から読む場合は文字を一つ一つ順に読んでいっては、意味が読み取りにくいので、どうしてもひとまとまりの文字をとらえて意味を読み取ろうとするので、自然に文字をかたまりで読み取ろうとするようになるのです。
文字が逆方向に書かれていた場合は、順方向から一文字づつ読んでは読み取りにくいだけでなく、逆方向からでも一文字づつ順に読んでは意味が理解できません。
どうしても文字をひとまとまりにして見ないと意味がとりにくいのです。
文字をひとまとまりにして読もうとすれば、視線の動きが大きくなり固視をしなくなるので眼は疲れにくくなります。
逆方向の読みは一つづつ文字を読む癖をなくすのに役に立つのです。
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