文字を読む場合、横書きなら左から、縦書きなら上から見ていくというのが普通で、眼は無意識のうちに方向付けられます。
そのため、文字を先頭から順に読んでいくという癖が取れず、ひとかたまりの文字をひと目で読み取ろうとしても、つい先頭から読もうとしてしまいがちです。
普通の文字を読んでいるときは、上からあるいは左から見ていくということが習慣づけられているという意識はありません。
しかし図のように文字が斜めにならべられると、方向によって読みにくさが違いますから、習慣づけられた方行と、習慣付けられていない方向があることがわかります。
カナ漢字文の場合、A、B、E、Fのうちもっとも読みやすいのはFで、最も読みにくいのはEです。
Aは左から右上に向かっているので、上から下に読むことに慣れている人にとっては読みにくいでしょう。
これにたいし、Bは右上から下に向かっているので、左から横に読むことに慣れている人にとっては読みにくくなっています。
Eが最も読みにくいのは、上からも、左からも文の方向が逆になっているからです。
ここで文字を10秒ほど見てから画面を見ないで、文を先頭からでなく最後から一文字づつ思い出して紙に書くとします。
もし頭の中に映像として記憶されているとすれば、記憶イメージどおりに逆に書いていけばよいのでEが最もやりやすい可能性があります。
文を映像として記憶するというのはなかなか難しいので、たいていの人は文を読んで覚え、覚えた文の最後のほうから思い出して書こうとするでしょう。
「漢字と日本語」と読んで「漢、字、と、日、本、語」と分解し、後ろのほうから一つづつ思い出して書こうとするのですが、簡単にはいきません。
まず「語」と書いて次の「本」は「漢字と日本、語」と思い出して「本」と書くように、前のほうから順に思い出してきてたどり着きます。
文の場合は文字が6文字程度あっても、文として簡単に覚えられるので、視覚的にハッキリと記憶していなくてもそのことに気がつきません。
そこで「764283」といった数字列を見て記憶し、紙に「382467」というように逆に書き出そうとします。
この場合数字列を読まないで視覚的に記憶できれば、頭の中に記憶された視覚イメージを逆に読んで紙に順番に書けば良いので簡単です。
この場合数字を音読して覚えても、最後の「3」を書いて次の数字を想いだそうとしても、字を書いている間に忘れてしまったりします。
文と違って数字列は意味がないので忘れやすいためです。
そこで数字を読まず映像として記憶しようとするとき、後ろから想いだそうとする時に有利なのはCよりもDです。
同時に見えるといってもなれた方向に眼が動き、数字を読むことによって記憶しようと
するので、Dのほうが後ろからの文字列の並びを記憶しやすいのです。
読むのでなく、視覚的に記憶しようとするならば、読みにくい方向の文字列あるいは数字列を見るのが有効なのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます