60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

単語の読みと意味処理

2007-12-18 22:58:57 | 文字を読む

 文字を読むとき、たいていの人は音読しなくても、頭の中で文字を音声に変換していわゆる内読をしています。
 文字を見て意味がそのまま分かるのであれば、わざわざ音声に変換しなくてもよいはずです。
 わざわざ音声に変換するのは、そのほうが意味が分かりやすいためで、もともと言葉を覚えるときは文字でなく音声によって覚えているからです。
 文字は後から学習し、文字の読みという形で、音声と結び付けて覚えていますから、文字を見れば自動的に音声化するようになっています。
 たとえば「鳩」という漢字は「鳩」の写真とか実物と結び付けて覚えるのではなく、「ハト」という読みをおぼえます。
 そうして「ハト」という読みを覚えれば、「鳩」という文字を見て「ハト」という読みをして「鳩」の意味をうけとるのです。

 「鳩」という文字を音に変換して読み、トリの「鳩」だと意味を理解するという経験が重なれば、文字を見ただけで音声化しなくても意味が分かるようになるはずです。
 それなのにどうしても心の中で音声化してしまうのは、文字→音声のほうが文字→意味という処理よりも時間が短いせいです。
 音声→意味という処理は言葉を覚え始めてからの処理方法で、文字を覚える以前からのものですから自動化され処理時間が短いものです。
 文字→音声という処理は、文字を覚えるときの処理方法なので訓練によって半ば自動化され短時間で処理されます。

 文字を見るというのは光の速度ですから一瞬に見て取れるのですが、見て意味を理解するという処理は自動化されていないので、処理時間が長くなってしまうのです。
 そのため自動化され、処理時間が速くなっている音声化を、無意識にしてしまうのです。
 したがって、もし見るだけで音声化しないで読む「視読」をしようとするならば、音読に何らかの方法でブレーキをかける必要があります。
 ひとつの方法は、音読をする前に視線を先に動かしてしまう方法で、もうひとつは同時にいくつかの語を見る方法です。
 
 視線を速く動かす意味が把握できないうちに、先に進んでしまうのでほとんど意味が分りません。
 それでも視線を速く動かす訓練を続ければ、脳が順応して意味が読み取れるようになるというのですが、そういう段階に達するまで意味が分からない状態で訓練を続けなければなりません。
 とりあえずはいくつかの単語を同時に見るという方法が、よりストレスが少なく、意味が把握しやすいので良いと思います。
 とくに漢字は音声化の時間が仮名やアルファベットに比べ長く、読みや意味が前後の文脈で変わるので、同時にいくつかの語を視野に入れる読み方が適していると思われます。
 


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