60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

音声と文字の区切り

2008-04-26 22:47:15 | 言葉と文字

 図の一番上は「four score and seven years ago」を中国系アメリカ人の言語学者の発音の音波だそうです。
 その下は発音記号。
 次はアルファベットによる英文で、その下の行は日本語によるカタカナ書き、その下は日本語によるローマ字表記です。
 こうして見ると、アルファベットによる英文や、日本語によるカタカナ表記やローマ字表記は、いずれも各文字が一つづつ分かれているように見えますが、音波のほうはこれらに対応してハッキリ分かれているわけではありません。
 発音記号は音声を一つ一つの要素に分けて表記していますが、発音されている音声のほうでは発音記号の区切りに一つ一つ対応しているわけではありません。
 発音のほうは連続していて、区切りがあるように見えてもその区切りは発音の要素の区切りとは一致しません。
 発音記号による区分というのは人工的な、理論的にこしらえられたもので、実際の音声の中に区切りがあるわけではないのです。

 同じ文でももっと区切りがハッキリしない発音の人もいますから、音声の要素の区切りは実際はこの例よりもさらにあいまいです。
 日本人が英語の聞き取りが不得意というのは、英語の発音に慣れていないからとか、発音ができないからだとかいわれていますが、それだけではありません。
 英語を習うとき、文字とセットで習うので、単語や発音の区切りがあるものとして頭の中にイメージされています。
 音声を聞くとき、頭の中にある区切られた音声の要素と、実際には連続している発音とを照合しようとするのでうまくいかないのです。

 アメリカ人の子供でも、言葉の聞き取りができず、発音もうまくできないと言葉をうまく覚えられない場合があるそうです。
 知能が遅れていなくても言葉が遅れるために、知能が劣るように見えるのですが、言葉の訓練で知能の遅れも解消できるのだそうです。
 この場合ゆっくりと区切りのある発音から訓練して、段階的にスピードを上げ、区切りの分らない段階にまで慣れさせるそうです。
 発音のスピードを上げていって、一つ一つの音素と発音を対応を意識しなくてすむようになれば自然に聞き取れ、意味が分かるようになるのです。

 文字を読む場合も一つ一つの文字と単語や文との対応を意識しているうちは、理解がうまくいきません。
 文字を覚え始めの段階では、文字と単語の対応を意識しなければなりませんが、単語を読み取るスピードを上げていって、対応関係を意識しなくても読み取れるようになる訓練をする必要があります。
 学校の教育ではたいていこうした訓練をしないので、文字の読取がうまくいかない生徒が置き去りにされてしまうのです。
 単語を見てスムースに頭に入るような訓練を意図的にすべきなのです。

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