60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

読みと音声化

2008-04-01 23:01:51 | 言葉と文字

 普通の人は文字単語を見ればまずそれを読んで、その結果意味を想い浮かべます。
 これはアタマの中に脳内辞書のようなものがあって、ひとつの単語について文字、音声(読み)、意味がセットになっていると考えられます。
 脳内辞書の中で文字と音声と意味とがそれぞれ強く結びついていれば、文字を見たとき、音声(読み)を想いうかべてから意味を引き出す必要はなく、直接意味を思い浮かべることができるはずです。
 文字を見てまずそれを読むのは文字と意味の結びつきよりも、文字と読み(音声)の結びつきのほうが強いためです。
 
 人間が言葉を覚えるのは最初は話し言葉(音声)で、書き言葉(文字)はあとから音声と結び付けて覚えます。
 その結果、文字は文字単語は意味よりもまずなんと読むかということが先行します。
  音声言葉のほうが文字よりも意味と強く結びついているのは、次の例で考えればすぐにわかります。
 晴れた日に「ああいい天気だ」というふうにつぶやくことはありますが、「いい天気」という文字が頭に浮かぶということはまずありません。
 
 漢字の象形文字のようなものでも、見ればすぐに直感的にわかるものは皆無で、読みが教えられそれに伴って意味が教えられます。
 子供のときに覚える文字は、初歩的な言葉ですから読み方がわかれば意味が分かるので、読み方中心の教え方のようになりがちです。
 これがそのまま進むと、意味が分からなくてもともかく読み方を覚えれば一応満足してしまうというようなことになってしまいます。
 昔あった総ルビのようにフリガナがすべての漢字についていると、ともかく読みがわかるので意味が分からないままでいながら、分かったような気がしたり、音から意味を誤解したままというような弊害もあります。

 文字を読みなれてくれば、どんな文字も音声化するということは必要でなく、「日本」「世界」「天気」「こんにちは」など馴染みの多い言葉は音声化しなくても意味が頭に入ります。
 文章を読んでいるとき、黙読でも心の中で音読しているのが普通ですが、見て音声に置き換える前に頭に入ってしまう部分があれば、そのまま前に進んでしまうことがあります。
 音声に置き換えなくてすむ部分が多くなれば、それだけ読むスピードが速くなる可能性があるのですが、そのほかに目が疲れにくくなるというメリットがあります。
 文字を一つ一つ追うとほとんど目を動かさないような状態になるので、固視と同じことで眼が疲れてしまいます。
 眼を疲れさせないためには、なんでもすべて音読するという癖を取ッ他方がよいのです。