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設計事務所の裏窓

夫は建築士。設計事務所をやってます。
裏から眺めた感想、日々の独り言。
不定期便で頑張ります~!

「のどもと過ぎれば」ではなく

2004年10月11日 11時36分48秒 | 独り言
子供が小さい頃は 雨の日が大敵であった。
今でこそ
「買い物 行ってくるね~~」
「バイバ~イ」と 子供が留守番できるまでに進歩したが まさか
0歳児や1歳児前にして 「留守番よろしくね~~」は出来ない。

そうなると どこへいくのも当たり前だが 子供持参。
歩けない子供というのは 一つの大きな荷物同様だ。
これが雨の日などになると最悪で 片手に傘 片手に買い物したスーパーの袋
おんぶか抱っこで 子供がぶらさがるという構図になる。
これが嫌で子供が小さい頃は 明日の天気が雨なら今日中に銀行行って 
あそこに行ってと 天気に左右されて予定を組まなければならなかった。
自分一人で行動していた頃は たかが天気に左右されるとは!
思ってもみなかった、、、、、、

これは天気だけに言える事ではなく 例えば町のいたるところに存在する
数センチの段差も 子供をベビーカーに乗せて初めてわかった困り物であった。

「今日は電車に乗って出かけるぞ!」
張り切って ベビーカーで駅に向かったところ まず改札へと登る階段に
ぐったりして諦めた事もあった。そびえ立つ階段が なんだか
「ここは 普通の人だけが使うところだ!」
そう胸を張って 子供連れの自分を拒絶しているかのように感じられた。

「のど元過ぎればなんとやら」で 今の自分は 数センチの段差も駅の急な階段も
そこで行動がストップされる制限はない。
それに新しく建てられている建物は ユニバーサルデザインだとかバリアフリーを
うたい文句に 少しは以前より改善はされてきている。
車イスの老人の方達の 外出姿も以前よりは増えてきてる。
それでも 今住んでいる自分の町は変わったかといえば 何も変わってはいない。
相変わらず 数センチの段差は至る所に存在するし ベビーカーや車イスが
通れないほど歩道には 放置自転車があふれている事もある。

結局 生活してる殆どの人達に「のどもと通る」という現状にならないと
この現実を感じないのかもしれない。
でも 今は「のどもと過ぎた」自分だが 将来は絶対また「のどもと通る」
自分になるのは確実だ。
老いて車イスを利用するかもしれないし 車イスを利用しなくても 
たった数センチの段差さえ 足が上がらない状態になるのかもしれない。

「他人を思いやりましょう。」
子供に向かって こんな偉そうな事を言っている大人達が 平気で
歩道に放置自転車をする。車イス用の出入り口に自転車を止める。

「心のバリアフリーを解くのは難しい」
何かの本で読んだことがある。
便利な建物が増える。補助が増える。それだけでは 結局 根本は変わらない。
偉そうな事をいえる大人でない事は 自分が一番よく知っている。
それでも
「子供が小さい頃は 外出が大変だった。でも過去の話。今は楽。」
こう「のど元過ぎれば」になっているだけでなく 
「あの頃の大変さを常に忘れないでいること」
それが こんな小さな自分に出来る「心のバリアフリー」の一つなのかもしれない。