設計事務所の裏窓

夫は建築士。設計事務所をやってます。
裏から眺めた感想、日々の独り言。
不定期便で頑張ります~!

家造りと家族造り

2004年10月18日 14時53分31秒 | 独り言
人がそれぞれ個性があるように 家族も本当に各家族の色がある。
我が家での 個人住宅の設計は初めての打ち合わせから 
本当に「これでお終り 引き渡しです」となるまでの期間は
一年半位の歳月が かかる。打ち合わせ期間が長いので その位の時間を
お施主さんと共有していく事になる。

人間 大体3回位 会って話をすれば その相手の人間性なり性格なりは掴めていく。
それはお互い様なのだが 個人住宅の打ち合わせの中心となる家族についても
本当に いろいろな家族の個性やカラーが色濃く出されていく。
専門屋(夫)は数多く重ねた打ち合わせなどで そんな家族カラーを
少しずつ「家造り」に反映させていっているようである。

家族での話し合いで 勿論中心となるのは夫と妻である。
異性ゆえなのか なぜなのか。家に対する思い考えが 夫婦なのに正反対
という事は よくある。
「そんな事を思っていたのか!」という驚きの目でお互いを見る事もあれば
「専門屋(夫)さんも そう思いますよね?!」
なぜか 詰まっている専門屋(夫)に対して なんとか自分の意見の
正当性を主張する事も しばしば・・・・・・
玄人としての考え 意見は率直に述べ まとめていくのも専門屋(夫)の
仕事でもあるが 中には お施主さんの中で「どちらか!?」と選択肢する問題もある。
そんな夫婦真っ二つに割れた問題が持ち上がると 打ち合わせの席は
今までの活気は どこへやら・・・・みょーに気まずい雰囲気が漂ってしまう・・・・

「家造り」が終わるまでに そんな「みょーな雰囲気」は何度も繰り返される。
それでも不思議な事に 次の打ち合わせでは 前回話し合った「みょーな雰囲気」は
いつの間にか家族の中で消化されている。

そして いよいよ完成した家を見上げる時は 
「やっぱり あそこは大揉めに揉めただけあって これで良かったよね」
などと「みょーな雰囲気」での打ち合わせを 笑顔で懐かしく語りあえる
家族となっている。それはまるで「家造り」の進行と共に 家族の価値観や
思い 考えを一つにまとめ お互い認識しあう「家族造り」も一緒に進行
しているようである。

設計料だけを考えれば 確かに設計事務所にとっては個人住宅は
「小さい仕事」に入るかもしれない。でも お施主さんと共有する
「家造り」と「家族造り」の時間は 他のどんな「大きい仕事」にも
ないものである。

今後 我が家で何回 個人住宅の仕事が出来るか わからないが
関係ないながら お施主さん家族を裏から応援している裏窓である。