久遠の絃

-くおんのいと-
since 2003/9/1
キレイな写真なんていらない。もっと本当の姿が見たい

ついった

いろいろ

にほんブログ村 ポエムブログ 写真詩へ
にほんブログ村

原点

2007年10月31日 23時33分43秒 | 久遠
忘れるほどには遠くなく 思い出すにはなつかしく
変わらないこの場所で過ごしたあの頃へ
見上げる校舎はいつのまにか小さくなったように
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どこにでも

2007年10月30日 22時19分58秒 | 久遠
花はどこにでも咲くようで
振り返った道端で小さく花を広げる
人には見つけられなくとも 虫たちは必ず集まり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なないろ

2007年10月29日 23時45分48秒 | 久遠
七色に光る水滴
さっきまで降っていた雨は 秋の日差しに変わり
穏やかな空へと姿を変えて
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月下

2007年10月28日 23時10分00秒 | ことばのうみ
「人はいつから空を見上げなくなったのかな? 今日の月はこんなにも綺麗。なのに人は家で明かりをつけて過ごしている。外にはもっと違う世界があるはずなのにね」
 急に彼女がつぶやいて、ぼくらはふたりで空を見上げた。
 本当は暗いはずの夜なのに、あたりにはくっきりと影が出来ている。丸くて強い月の光が、なにもないこの場所を照らしている。
「人は空をあたりまえに思ってる。いつ見ても変わらないと思ってるんじゃないかな。 当たり前のことなんだけど、昼間は明るくて夕方には暗くなって、夜はただくらいだけ。それか街の明かりが灯ってる。そのうち夜がやってくるってさ。
 みんな時計を見ながら生活してるから、空の色もなにも時間で夜と朝を分けちゃってる。今日の空は今日しか見られないのにね」
 ぼくらの下に出来上がった影はくっきりとしているのにずいぶん小さい。月はちょうど頭の上にある。聞こえるのは波の音。ふたりが歩く足音と時々木の葉をゆらす風の音だけ。

 秋の季節は暦ではなく、山と風の色づきで決まる。だからこそ時々こうやって歩いてみる。車では早すぎて見られない、自転車でも通り過ぎてしまう。自分の足で歩くからこそ見えてくるものもある。
 彼女が言う。
「月の明かりはいつもは見えないものを見せてくれるのね。昼間の太陽では明るすぎて、まぶしすぎて見えなくなってしまうもの。
 こんな月の光だから、今日のこんな風だから、もしかしたらそんな会話も出来るのかもね」
「昼間は遮るものが多いからね。こんな夜だからこそこうやってぼくらは散歩出来るんだね。もしかしたら月の光は人を哲学者にするのかもね」
 そう言ってふたりで笑う。
 誰にもじゃまされない場所。誰もいなくなった公園。ただ波の音と風の音が響くところ。そうしてまた強い風が吹く。
「ねぇ、この風に手紙を載せたらさ、いつか誰かに届くのかな?」
 長い髪の毛を風になびかせて彼女がつぶやく。
「日本の上には偏西風が吹いてるから東の方へなら届くのかな?」
 空に星は見つからない。すべて月によって飲み込まれてしまった。
「でもその手紙はきっと遠い遠い旅になるんだろうね」
 この風に乗ることが出来たならどこまで行けるんだろう。日本を飛び越して知らない国へも行くことが出来るだろう。かつてこの空を旅したリンドバーグのように。遠く高く。
「いつかこの風に乗って旅をしてみたいな。もっともっと遠くへ」
 夜はふけていても、明るい夜空はたぶんそのままで。
 少しだけ長くなった影と見え始めた街の明かりを前に、彼女がそんなことをつぶやいた。
 夜の散歩は終わろうとしている。街の明かりを浴びてしまえば月明かりの色を忘れてしまう。だから僕は立ち止まった。
「どうしたの?」振り返る彼女。
「やっぱりぼくらは明かりの中に帰るんだね」
「そうね。もう人は暗い夜には戻れないのかもしれないね」
 また歩き出して街灯の明かりがだんだんと強くなって、街の明かりが鮮やかに揺れ始める。
「そうだ、今度キャンプに行こう。静かな時期をねらってさ」
 そう言って彼女の手を取ってみた。きゅっと握り返す彼女の指は秋の風に冷えていたが暖かかった。
「月の出る日がいいね。暗くて明るくて、また今日みたいな月が出るといいね」
 彼女の言葉に月がそっと顔を隠す。小さな雲が流れ出してふたりを包む。
 僕はそっと彼女に唇を寄せた。


ブログランキング・にほんブログ村へ
(ブログランキングです。月の下での物語)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

咲いた

2007年10月28日 22時37分55秒 | 久遠
嵐過ぎ去ったあとの秋晴れ
軽やかに舞い上がる風と 雲のない空と
夕方の静かな時間の中で
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光まぶしく

2007年10月27日 23時42分06秒 | 久遠
光りまぶしく 過ぎゆく嵐を見送る
朝から降り続いていた雨がやみ 雲の隙間
溶け出していく黒い雲と 色づく夕の香りと
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とっくり

2007年10月26日 23時31分19秒 | 久遠
いつの間にか出来上がっていたとっくり
新しい命がこの中で生まれ育つ
静かに見え隠れする弱肉強食の世界
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

立ち止まる

2007年10月25日 23時02分13秒 | 久遠
いつもは流れていく景色も 立ち止まれば静かに見える
少しだけ雨が降った地面が じんわりと湿っているようで
人のいる場所があたりまえで ふと動くもののない世界がそこに出来て
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜を写す

2007年10月24日 22時53分17秒 | 久遠
カメラの中に夜を映し出す
いつのまにか暮れていた空は 夜の色へ
夜の色は深まり また朝を迎えるために
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

葉っぱに

2007年10月23日 23時26分25秒 | 久遠
葉っぱに足が生えてじっと動かない
壁に張り付いて どっちが頭かもわからずに
自然では見つけることが出来ないくらい じっと葉っぱを演じて

撮影:アカエグリバ
科:ヤガ科(Noctuidae) (エグリバ類)(Calpinae)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする