夜に空いた穴

見上げれば　ぽっかりと夜空に穴が開いていた
台風が大きく風をかき回した時に　きっと剥がれてしまったんだ
やってくれたな台風　また黒い布貼り直さなきゃ

相変わらず

相変わらず鹿がよく出てくる
辛夷の実を食べているのか　バリボリと音が聞こえる
そんな不思議そうな顔でこっち見んなって

さんま

秋の風は秋刀魚の香りを運んでくる
ただ七輪の上に乗るのは二匹だけ
去年は当たり前のように三匹いたんだけどな
何が本当なのかわからない　父が居なくなったことさえ冗談にも思える
秋刀魚の油は涙の代わりか　煙になって飛んでいくんだ

ふと考える

気がつけば今日は家の外に出ていないかもしれない
夕方から読み始めた本は　やっと三分の二を通り過ぎた
たまにはこんな休日があってもいい　でもなんだか肩がこったな

広い海と空がそこにありました

秋風の吹く山の上　乾いた風に一筋の汗
見渡す限りの景色に　思わずカメラを向ける
誰にも邪魔されない　広い海と空がそこにありました

夏の抜け殻

夏はこのセミの抜け殻のように　形だけを残して去っていった
じりじりと焼けつくような太陽は　いつの間にか夕方の影を伸ばした
風は少しずつさらりとして　聞こえる蝉の声はもう風前の灯

なんだか

なんだかカメラに手が伸びない時ってあるよね
そんな時はとりあえずの写真でごまかしてみるけど
色々撮りたいものはあったはずなのに　タイミングと気分なのかな

雨上がりの午後

朝から降っていた雨を忘れた空が　長い影を作った
差し込む西からの光　風はいつもの秋風に戻る
風に香りがあるわけでもない　だけど感じる秋の香り

旅をする

種は綿毛を開いて旅をする
たどり着く先がどこになるかなんて　風次第
どこに行っても後悔はしない　きっと後悔なんて出来ない
そこには新しい世界がきっとあるから

ヤママユガ

地面でのたのたと葉っぱのようなものが動いていた
なにかと思い視線を向ければ　力を貯めるヤママユガ
やっとのことで飛び出して　木の葉に掴まり一休み