蓼食う人も

蓼食う虫も好き好き　そんな言葉があるようで
巨大な蛾を怖がるか　それとも興味をひかれるか
まさに好き好き　そんな蛾の世界は奥が深くて

撮影：クチバスズメ

夏の夜の

夏の夜のセミと抜け殻
新しい自分になるための　新しい本当の翼
夜を過ごし　朝に飛び立つその時を待つ

夜の闇から

ふと見つけ　はっと気づく
トゲトゲした黄色い体に　針のような毛
手で取るのをあきらめて　落ちていた枝を使う
それは毒蛾の一つ　チャドクガ　触らないように

撮影：チャドクガ

光あふれる

その場よりも今この場所で　見れば見るほど光あふれる
こぼれ落ちた赤い光が空を燃やす
雷雨に洗われて研ぎ澄まされた空で　その柔らかな光

気がつけば

気がつけばいつの間にかこんな時間
忙しさもなにもかも通り越して　日々がつながる
遠くへ行きたい　そんなことを言っても景色は変わらず

花火

咲いては消える　儚（はかな）き炎
夏の夜空を彩る　赤白青
とどろく轟音　ふるえる心根

撮影：紀北町燈籠祭

知らない

いつの間にか咲いた花は　ぼくの知らない花
誰かが植えたわけでもないのに　ひょっこりと花をつける
知らないを信じない　もっと世界は単純で

うしのひ

月曜日の歌謡ショー
火曜日の水道屋
水曜日の黙示録
木曜日の金環食
金曜日の土用波
土曜日でもないのに土用の丑の日

日曜日はお休みです

木の実

いつの間にか花が散って　木の実へと変わる
季節はいつも知らないうちに流れゆく
駆け足で去っていきそうな夏を　走って追いかけて

撮影：マテバシイの実

夜が来たりて

いつの間にか夜を迎え　太陽は山の向こうへ
さっきまでそこにあったはずなのに　夕暮れを忘れとっぷりと日が暮れる
時と時間に追いつけぬまま　追い越され　また次の朝を迎え