ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

酒房“澤”

2007-05-15 05:20:00 | 大阪にて
会社が終わって帰宅、地下鉄を降りて、26号線沿いに我が家へ帰る途中にあるただ1軒の居酒屋と呼べる店です。

私が骨折で入院する前、この酒房“澤”は、ずっと休んでいました。

退院した時は開いていたので、暫くぶりにご挨拶に行ったのですが、若主人が一人で切り盛りしています。
他のお客さんに聞こえないように、私に「親父は昨年末に亡くなりました。」と囁いたのでした。

ちょっとビックリ、何も知らないで葬式にも行けなかったことに茫然自失です。

       

その店がここ3ヶ月ほど又々休んでいました。
若主人が病気になったとしても長すぎると思っていたら、店を閉めますとのこと。

見慣れたカウンターも見納めです。

       

あまり広くもない店でしたが、なかなか居心地は良かった。
強いて言えば、居酒屋の店主は客の愚痴を聞くのが商売のはずが、私はいつもマスターの愚痴を聞かされてお金を払っていました。

2人の息子と1人の娘、娘さんはなかなか美人で利発な子でしたが、上の2人の息子共が愚痴のタネ、ここの長男さんは、私の長男と次男に挟まれて同じ小学校・中学校・高校と通っていたので余計に私に話を振ってきたのでしょうか?

       

昔からあるメニュー、このメニューを見ることも注文することも、もうありません。

私が釣りから帰って、小さなグレを持って行ってあげると、たいそう喜んでいた主人。私は焼き魚をこしらえる一つの工夫をここの主人から学びました。

私の釣りは磯釣りなので危なく子供を釣りに連れて行きませんでしたが、ここの主人は子供達をあちこちの波止に連れて行っては「釣れへんねん」と言ってました。

1年ほど前になりますか、一旦病気になって長期に休んでいた頃があったのですが、復帰したときは一家5人総出でこの“澤”を盛り立てていました。
その時、店で全員の写真を撮ってあげようと思っていたのですが、実行できずじまいになってしまいました。

       

キープしている人は取りに来てくださいと貼り紙をし、お母さんが一人お客さんの来るのを待っています。こんなに常連がおったのかと、感心してしまいます。


       

私は返してもらいましたが、日付は出勤しだしてから2日目になっていました。だけどまだまだ沢山のキープされた焼酎が残ったままです。


       

店内に仕舞われたままの暖簾と看板、ここの店の三十年の歴史です。
私より3歳ほど年上のマスター、あらためてご冥福をお祈りいたします。

『合掌』