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月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

エスパー魔美DVDレビュー (8) 一千万円・三時間

2006年10月09日 19時21分37秒 | エスパー魔美DVDレビュー
スタッフデータ

サブタイトル:一千万円・三時間
原作:コロコロ文庫(1) 1千万円・3時間の巻
脚本:もとひら了
演出:塚田庄英
絵コンテ:井上 修
作画監督:富永貞義
堤 規至
原画:動画工房
石黒めぐむ/嘉村弘之/佐藤 文
声の出演:
魔美:横沢啓子高畑:柴本広之
パパ:増岡 弘ママ:榊原良子
コンポコ:小粥よう子大阪の男:大山 豊
狭間可代:北川智絵構内アナウンス:菅原正志
地上波放送日:1987年 5月 26日(藤子不二雄ワイド枠内)
関連商品:
(Amazon.co.jp)
コロコロ文庫 エスパー魔美 (1) (小学館)
エスパー魔美 DVD-BOX 上巻 (ジェネオン エンタテインメント)
※お願い: スタッフデータに誤りがある場合は、コメント欄でご指摘ください。

みどころ

なるべくストーリーは書かないようにしていますが多少のネタバレはあります

冒頭、遅刻しそうになって走る魔美は、一人の男とすれ違います。突然その男は札束を落っことし、魔美が拾って声を掛けます。すると男は血相を変えて「そ、それ、わしのやねん!」と叫ぶと、札束を魔美の手から引ったくり、走り去っていきます。これが今回のプロローグ。

それより、このオッサン髪型が気になった方はいませんか~?(^^); 私は最後まで気になって気になって(笑)。なんて名前だったっけ?とクレジットを確認したら「大阪の男」・・・このうえ名無しかいっ この先「オッサン」と呼ばせて頂きます(笑)。ワテ、元は関西人やねん
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

さて学校が終わってから、頼みたいことがあると魔美の家に来た高畑は、あるワザを披露。耳を自分の意思でピクピクと動かすことが出来るのです。私はこの話で「随意筋」という言葉を(以下略)。魔美も挑戦しますが、テレキネシスで物体は動かせても、さすがにまでは動かせないようです(^^);

高畑説によると、本来は自分の意思で動かせるはずの耳を動かせなくなったように、超能力も本来は人間に備わっている能力で、それが眠っているだけではないか?ということです。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

それで高畑は、自分にも超能力が眠っているかもしれないと思い、それを引き出すトレーニングをしていたら、家の前で工事が始まり精神統一が出来なくなってしまったと・・・だから、静かな魔美の部屋でトレーニングがしたいというのが、魔美への頼み事でした。

しかし・・・魔美の部屋には、もっと精神統一できなくなるファクター多数展示中(笑)。
先日(第6話)の個展で売れ残った絵を、自分の部屋に飾っていたのでした。相変わらず魔美のあっけらかんぶりが笑えます(^^);
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

高畑は「いい場所がある!」と、学校近くにある取り壊し寸前のアパートを提案します。原作ではアパートの存在を教えるのは魔美の方ですが、アニメではアレンジされていました。また原作では魔美の部屋から直接テレポートしますが、アニメではアパートの外までは徒歩で行ったようです。

当然、玄関は釘付けされてますから入れません。ここで魔美のテレポートの出番となるのですが・・・

「じゃ、あたしにつかまって!」
と、やはりあっけらかんと言う魔美に対して、高畑は意識しまくり(笑)。
深呼吸までして、つかまろうとしますが、いきなり魔美のに(笑)

「いやだ、もうちょっと下・・・うわっ・・・上!上!不器用ねェ!!

ひゃああ・・・ほとんど痴漢ニャリン!」※
と、唐突に影千代にご登場頂きましたところで(笑)、先に進みましょう(^^);
※忍者ハットリくん #645「忍法夢盗みは至難の技でござるの巻」でのセリフ
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

この後も高畑との面白いシーンが繰り広げられるんですが、これ以上画像を使うと字数制限がヤバいので割愛します(^^);
とりあえず、高畑の真剣な表情に惚れ惚れと見入る魔美のみどうぞ(笑)。今回の実質的な作監は富永さんですねぇ。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

この後、魔美はすすり泣く声を聞きます。これは原作では、高畑と一緒の場所で聞き、高畑には聞こえていないことから、どうやら一種の思考波ではないかと考えられます(原作では、この話は「どこかでだれかがの巻」より前に描かれています)。アニメでは高畑と同じ場所では聞いていないので、物理的に聞こえた可能性もあります。(コンポコも気配を感じ取っています)

声の方へ行くと、自殺寸前のオッサンを発見!
どうにか魔美はテレキネシスで救出しますが、今朝の少女だと気付いたオッサンに、あろうことか殺されそうになります。コンポコの噛みつき攻撃で魔美は助かり、オッサンは正気に・・・魔美は自殺しようとした理由を聞き出します。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

オッサンは、会社の金を1000万円も持ち逃げしていました。給料は安いが、これと言って不満があるわけでもない。カミさんは口やかましいが結構気の良いヤツ。アニメでは「なんぞ土産買うてくるさかいな」と、にこやかに玄関を出る姿なども描かれていて、原作より平和な家庭っぽさが出されています。人生に空しさを感じたオッサンは、まさしく「魔が差した」としか言いようのない状況で持ち逃げを・・・実際にありそうな話です。

原作でのオッサンは、
金のつかい道なんて、その気になれば、いくらでもありますなあ。
と語りますが、アニメでは、
けど、貧乏性なんですな。1000万円なんて、とても使い切れるもんやない。半分も使えんかった
と語ります。どっちがそれらしいかといえば、ケースにもよるでしょうが、案外大金を持ったことのない人間だと、やはり使い切れないんじゃないかと思います。自分だって貧乏性ですから、天から1000万円降ってきて、事業や貯金や投資以外の用途で3日で使い切れと言われても、よほど周到な計画でも立てない限り、無理な気がします(^^);

で、オッサンは結局、半分残った金を元手に、競輪で使った分だけ取り返そうという無謀なことを考えて、まぁよくある話ですが、当然みんなスッてしまったと(^^);

アニメでは、退職金が約1000万円あって、こんなことをしなければ、それを貰えたのに、という話が加わっています。つまり、魔美が後に工面する1000万円を、おそらく貰った退職金からオッサンが返したであろう、という含みを残しているんですね。この件については後ほど・・・

この1000万円を何とか明日朝までに金庫に戻しておくことができれば、オッサンの罪は不問、退職金も問題なく貰える、というわけです。魔美は諦めきったオッサンの代わりに、どうにか1000万円を作ろうと奔走するのです。中学生の少女が、1000万を3時間で・・・いかなる奇跡が起きようとも、絶対に無理です。でも魔美には何か「予感」があったのです。

さて、お話はいきなりラストへすっ飛ばしますが、予感は的中。この絶対に無理な状況を、魔美は見事に打開してしまいます。それは救世主が現れたから・・・第6話で登場した狭間可代です。

第6話で張られていた伏線・・・可代がコンポコの姿を見ていたことと、このレビューでは字数の都合で触れませんでしたが、少し前にコンポコと魔美がケンカして、コンポコが家の外へ飛び出していたことが重なり合った奇跡でした。コンポコの姿を見かけた可代は魔美の自宅を知り、あのときの・・・すぐ後に正ちゃんに再会できた・・・御礼をしたいと、やって来たのです。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

偶然と偶然が重なって、何か素敵な奇跡が起こる・・・というのは、魔美やSF/異色短篇ではよく見られるシチュエーションです。その最たるものが異色短篇「一千年後の再会」ですね。この短篇は「盲亀の浮木」という古い中国の諺を出し、その諺のように、とうてい起こり得ないほどの偶然の積み重なりによって再会できた2人の男女を描く、史上最大のスケールの愛の物語です。

可代は、魔美が描かれた絵を譲って欲しいと言います。
「あたしたちを幸せにしてくれた、可愛い天使の思い出にね」
喜んで!という魔美に可代は現ナマ金を差し出します。
「じゃ、少ないかもしれないけど、この1000万円で」
イッセンマンエン?!
魔美もビックリですが、観てる方もビックリです(^^);
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

とりあえず高畑が忘れ去られていることは、あっちへ置いといて・・・(笑)

さて・・・大変素敵なお話なので、それに水を差すようなことは言いたくないのですが、このレビューが自称「ツッコミ系レビュー」である以上、やはり小学生の頃から疑問に思っていたツッコミを入れるしかありません(^^);

まず、1000万円を受け取った魔美が、何のためらいもなくオッサンのところへ全額を持って行ったこと・・・「それが魔美の優しさだ」と言ってしまえばそれまでなんですが、金額が金額だけに、普通なら多少は戸惑うんじゃないかと思いますし、両親にも「どうしよう~!?」と、まずは相談してしかるべきでしょう。魔美のような善良な中学生にとっての1000万円って、あまりにも実感の沸かなさすぎる金額だと思いますよ(^^);

次に、この1000万円の帰属の問題・・・魔美はパパに絵を「もらったの」と言ってますから、一応の所有権は魔美に移っているにしても、未成年ですし、一般的にこの1000万円は、佐倉十朗氏のものとなるような気がします。もっと無粋なことを言えば税金はどうなるんだとか(^^);

さらに絵の価格・・・佐倉氏の絵の相場はわかりませんが、1000万円は、いくら可代が魔美に恩義を感じたとしても、ちょっと法外すぎる気がします。100万円なら、まだわかるんですが、タイトルが「百万円・三時間」じゃ、何か迫力に欠けますもんね(笑)。

最後にオッサンの方・・・中学生の少女が持ってきた1000万円を、すんなりと受け取れるのかということ・・・普通なら何か犯罪を疑いませんか?(^^); 仮に受け取ったとしても、本当に退職金をもらったら返せるのかどうか。つまり退職金ですから、それを全額返してしまうと、その日からオッサン、どうやって食べていくんでしょう(笑)。年金もらえるまでは再就職を探すしかなさそうですね~(^^);

魔美は可代を見送るとき、
おばさん。その絵はプレゼントします。お金は後で、きっとお返ししますから!
なんて心で呟いてしまっていますが、なんとなくその可能性は薄そうな気配・・・(笑)。

なんか、夢もチボーもないこと書いちゃって、ごめんなさい(笑)。
もちろんお話としては、とても良いお話だと思うんですよ(^^);
ただ、ついつい余計なことを考えてしまうんですよね。大人って大人って~(^-^);


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