スタッフデータ
みどころ
なるべくストーリーは書かないようにしていますが多少のネタバレはあります
このエピソードは、原作の重要な改変があります。
原作の高畑は、この話の時点で、まだ魔美がエスパーであることを知りません。アニメの高畑は、魔美がエスパーであることを知っていて、テレポーテーション・ガンもプレゼントした後の話として描かれています。そのため、原作では必然的に、魔美だけが問題解決に奔走することになりますが、アニメでは高畑もしっかり協力しています。
ちなみに可代役を演じた北川智絵さんは、2年後の映画「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」(「のび太の日本誕生」の併映作)と、その前後のテレビシリーズでミニドラ役を演じています。私はこの映画を、何度も観た記憶があり、なんでかと思ったら、どうやら当時、映画「チンプイ」とカップリングでビデオが発売されたため、それを購入して繰り返し観ていたのが原因のようです。それにしても鬼ババとミニドラ・・・やっぱりプロ声優は何でも演じることができますね(^^);
ついでにいうと、この「ミニドラSOS!!!」の主題歌(「ハロー!ドラミちゃん」)を作詞したのが「Jupiter」の吉元由美さんだったりします。吉元さんは他にも「キテレツ大百科」「モジャ公」などの主題歌も手がけていて、あーや(平原綾香さん)と藤子アニメのリンクがこんなところに・・・って遠いリンクだなぁ(^^);
閑話休題・・・話が脱線しすぎ(笑)
今回の実質的な作画監督は富永さんだと思われます。
物語は、魔美パパの個展のため、高畑がつゆくさ画廊を訪ねてくるところから始まります。高畑はオフの日くらい普段着で良いと思いますが、何故か学生服で(笑)。つゆくさ画廊は、魔美パパがよく個展を開いている画廊で、ファンサイトMAMI WEBさんのイラスト投稿展示ページも、この名前から来ています。勝手にリンクしてごめんなさい(^^);
このシーン、原作では「1回1錠1日3回」の薬を「1回3錠」と間違えたと、これはこれで十分ひどいのですが(笑)、高畑はショックで(?)、すぐに帰ってしまいます。でもアニメの高畑は魔美と行動をともにするわけですから、帰らせない=トイレへ駆け込み絵の売れたことを言えないようにするための変更でしょう。高畑には災難だけど(笑)
さて、細かい筋書きははしょりますが、長野県の神里村で描かれたという1枚の絵を、高畑と魔美がそれぞれ別人に売ってしまいます。1人は立野正夫(原作では立野正治)、もう1人が「鬼ババ」こと狭間可代(原作では特に名前なし)です。
どうすれば良いかと相談された魔美パパは「やはり先着順だろうねぇ」と一言。可代の方に諦めてもらうべく、魔美と高畑が交渉に出向くことに・・・。魔美パパってば、仮にも中学生に、本当ならそんな大事なことを任せちゃいけません(^^);
可代には代わりの絵を見てもらうことにします。「これなんか、傑作だと思いますけど」と、自分が描かれた絵を勧める魔美は、よほど自分のプロポーションに自信があるのか・・・いやいや、もちろんパパの絵の方に自信があるのでした。だって芸術ですもの。
仕方がないので立野の方に頼むことにした二人。でも、立野もあの絵には並々ならぬ思い入れがあるらしく、頑として聞き入れてはくれません。
「それはならん!たとえ口約束でも先約は先約ですぞ!」
「なんとかお願い出来ませんか?」
「できれば・・・ほかの絵を・・・」
「わたしはあの絵が欲しいのだ。あの山、あの家、あの青桐の木・・・あの絵でなければ絶対に駄目だ!」
原作では困り果てた魔美が「グスン・・・」と泣き出して、困った優しい立野は、可代に直接交渉すると言ってくれるのですが、アニメでは高畑がいますから、一旦このときの交渉はここで終了。
「すぐに絵を渡さなくちゃならないわけじゃないから、もうしばらく考えてみようよ」
という高畑の言葉で泣かずに済み、一旦家に帰ることにした魔美。すると、可代が「話はついた」と魔美パパに嘘をつき、既に例の絵を持って帰ってしまったことが判明。魔美はびっくり。ベッドに入ると沸々と怒りが・・・
なお、原作でコンポコを連れて行くのは、飛び掛からせて社長室にテレポートするためなんですが、テレポート・ガンを持っているアニメ版では、この時点ではコンポコの意味なし(^^); ところがコンポコを同行させている=可代が見ていることは、後の第8話で重要な意味を持つのでした。(もしかしたら、絵を取りに来たときにも、コンポコの姿は見ているかもしれませんけど)
※9/10追記
あー・・・ここ、完全に勘違いしてました(^^);
可代が絵を取りに行った先は、あくまで「つゆくさ画廊」なんですよね。魔美の自宅に取りに来た訳じゃないんですね。だからコンポコを連れて行って姿を見せておかないとつじつまが合わなくなるんです。失礼しました(m_ _m)
この時点で視聴者は、ハザマ・ローンの社長の名前を聞いてはいません。1カットだけ映る領収書の宛名を見ていれば、目ざとい人は気付くでしょう。
まあ、ネタバレしなきゃレビューが進められませんので書きますが、つまりこの可代が立野の「好きな女の子」だったということです。2人がそれぞれの口から語る思い出話が共通していて、視聴者は話を聞くうち、次第にわかるという構成になっています。原作では立野側が思い出を語ることはありません。
「今では資産も何億あるか・・・欲しいものは何だって手に入れられる・・・でも・・・昔のあの日は買えやしない・・・」
可代は今では「鬼ババ」と呼ばれる金融屋をやっているわけですが、それには地獄の底からはい上がるため、血のにじむような思いでお金を貯めてきたという過去があったのです。
立野と高畑も話し続けます。立野は言います。
「不思議だ・・・あの絵の中の可代の家は、まるで人が住んでいるように綺麗じゃった・・・そんなはずはないのに・・・」
「それはきっと・・・佐倉さんが絵の中で、温かい家に甦らせたんですよ」
「なるほど・・・あの絵は確かに名画じゃよ」
「ぼくもそう思います!」
物語は、まもなく可代と立野が再会するであろうということを匂わせて終わっています。この余韻がたまらなく良いんです。
正直なところアニメ版では、少し補足しすぎな感じを受けなくもありませんが、この長い全120話の物語において、魔美は高畑と一緒に事件を解決していくというのが、ストーリー全体の骨子となっています。アニメ版で、その第1歩となったのがこの作品で、2人の今後の活躍を暗示する上でも、高畑と協力して解決していくという展開が必要だったのかもしれません。
そして、後に何度も登場する魔美の素敵な超能力・・・離ればなれになっていた人と人を結びつけるということの嚆矢となったのも、今回のお話なのです。
すっかり「鬼ババ」ではなくなった可代は、この後の第8話で再び登場します。
サブタイトル: | 名画と鬼ババ | ||||||||||||||||||||
原作: | コロコロ文庫(1) 名画(?)と鬼ババの巻 | ||||||||||||||||||||
脚本: | もとひら了 | ||||||||||||||||||||
演出: | 塚田庄英 | ||||||||||||||||||||
絵コンテ: | 高柳哲司 | ||||||||||||||||||||
作画監督: | 富永貞義 | ||||||||||||||||||||
作画監督補: | 堤 規至 | ||||||||||||||||||||
原画: | 北原プロダクション 長谷川仁/町田由美/野部駿夫/飯田和憲 | ||||||||||||||||||||
声の出演: |
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地上波放送日: | 1987年 5月 12日(藤子不二雄ワイド枠内) | ||||||||||||||||||||
関連商品: (Amazon.co.jp) | コロコロ文庫 エスパー魔美 (1) (小学館) エスパー魔美 DVD-BOX 上巻 (ジェネオン エンタテインメント) | ||||||||||||||||||||
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みどころ
なるべくストーリーは書かないようにしていますが多少のネタバレはあります
このエピソードは、原作の重要な改変があります。
原作の高畑は、この話の時点で、まだ魔美がエスパーであることを知りません。アニメの高畑は、魔美がエスパーであることを知っていて、テレポーテーション・ガンもプレゼントした後の話として描かれています。そのため、原作では必然的に、魔美だけが問題解決に奔走することになりますが、アニメでは高畑もしっかり協力しています。
ちなみに可代役を演じた北川智絵さんは、2年後の映画「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」(「のび太の日本誕生」の併映作)と、その前後のテレビシリーズでミニドラ役を演じています。私はこの映画を、何度も観た記憶があり、なんでかと思ったら、どうやら当時、映画「チンプイ」とカップリングでビデオが発売されたため、それを購入して繰り返し観ていたのが原因のようです。それにしても鬼ババとミニドラ・・・やっぱりプロ声優は何でも演じることができますね(^^);
ついでにいうと、この「ミニドラSOS!!!」の主題歌(「ハロー!ドラミちゃん」)を作詞したのが「Jupiter」の吉元由美さんだったりします。吉元さんは他にも「キテレツ大百科」「モジャ公」などの主題歌も手がけていて、あーや(平原綾香さん)と藤子アニメのリンクがこんなところに・・・って遠いリンクだなぁ(^^);
閑話休題・・・話が脱線しすぎ(笑)
今回の実質的な作画監督は富永さんだと思われます。
物語は、魔美パパの個展のため、高畑がつゆくさ画廊を訪ねてくるところから始まります。高畑はオフの日くらい普段着で良いと思いますが、何故か学生服で(笑)。つゆくさ画廊は、魔美パパがよく個展を開いている画廊で、ファンサイトMAMI WEBさんのイラスト投稿展示ページも、この名前から来ています。勝手にリンクしてごめんなさい(^^);
当然のごとく、魔美の絵も展示してあるわけで、それを見て高畑は例によって赤面硬直。魔美は例によって平気な顔(笑)。逃げようとする高畑をつかまえて「真面目に見てくれなきゃ、一生懸命描いたパパに失礼でしょ!」と、高畑に見せつけようとまでする魔美。だって芸術ですもの。 赤面した高畑を見て「風邪」だと思いこんだ魔美は、高畑の口に薬を放り込みます。先に何の薬か確かめれば良いのに・・・これは風邪薬ではありません。下剤です(笑)。魔美・・・ひどすぎ(^^); | |
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館 |
このシーン、原作では「1回1錠1日3回」の薬を「1回3錠」と間違えたと、これはこれで十分ひどいのですが(笑)、高畑はショックで(?)、すぐに帰ってしまいます。でもアニメの高畑は魔美と行動をともにするわけですから、帰らせない=トイレへ駆け込み絵の売れたことを言えないようにするための変更でしょう。高畑には災難だけど(笑)
さて、細かい筋書きははしょりますが、長野県の神里村で描かれたという1枚の絵を、高畑と魔美がそれぞれ別人に売ってしまいます。1人は立野正夫(原作では立野正治)、もう1人が「鬼ババ」こと狭間可代(原作では特に名前なし)です。
どうすれば良いかと相談された魔美パパは「やはり先着順だろうねぇ」と一言。可代の方に諦めてもらうべく、魔美と高畑が交渉に出向くことに・・・。魔美パパってば、仮にも中学生に、本当ならそんな大事なことを任せちゃいけません(^^);
可代の経営する会社「ハザマ・ローン」は金融・・・早くいえば金貸し。例によって例のごとく町工場のおじさんが延滞しちゃって、差し押さえ寸前で、あと1ヶ月待ってくれれば返済出来るって陳情中。気持ちわかるなぁ・・・痛いほどわかる(笑)。でも当然、待ってはくれないのでした。まさにナニワ金融道。ナニワじゃないけど(笑) | |
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館 |
可代には代わりの絵を見てもらうことにします。「これなんか、傑作だと思いますけど」と、自分が描かれた絵を勧める魔美は、よほど自分のプロポーションに自信があるのか・・・いやいや、もちろんパパの絵の方に自信があるのでした。だって芸術ですもの。
そんなの、もちろん金融屋・可代に通じるはずもなく(笑)。 「あのね、あたしゃこう見えても女なのよ!女が女の裸見て何が面白いのさ!男性ヌードなら買っても良いけどさ!ふはははは!!」 「まあ!あなたは芸術ってものを・・・悪いけどお断りします!あなたなんかに、ラクガキ1枚、売るもんですか!」 「おだまり!!法的手段に訴えてでも、あの絵は、もぎ取ってやるからね!!」 いきなり大喧嘩になるのでありました。 | |
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仕方がないので立野の方に頼むことにした二人。でも、立野もあの絵には並々ならぬ思い入れがあるらしく、頑として聞き入れてはくれません。
「それはならん!たとえ口約束でも先約は先約ですぞ!」
「なんとかお願い出来ませんか?」
「できれば・・・ほかの絵を・・・」
「わたしはあの絵が欲しいのだ。あの山、あの家、あの青桐の木・・・あの絵でなければ絶対に駄目だ!」
原作では困り果てた魔美が「グスン・・・」と泣き出して、困った優しい立野は、可代に直接交渉すると言ってくれるのですが、アニメでは高畑がいますから、一旦このときの交渉はここで終了。
「すぐに絵を渡さなくちゃならないわけじゃないから、もうしばらく考えてみようよ」
という高畑の言葉で泣かずに済み、一旦家に帰ることにした魔美。すると、可代が「話はついた」と魔美パパに嘘をつき、既に例の絵を持って帰ってしまったことが判明。魔美はびっくり。ベッドに入ると沸々と怒りが・・・
「やり方が汚いわ!パパの絵が、これからずうっと、あんな鬼ババみたいな人の手元にあるかと思うと・・・エスパーおマミが、このまま引っ込んでられますか!」 原作の魔美は、コンポコを連れて夜の町を走りますが、アニメは既にテレポート・ガンを持ってますから、パパッとテレポート。 | |
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館 |
なお、原作でコンポコを連れて行くのは、飛び掛からせて社長室にテレポートするためなんですが、テレポート・ガンを持っているアニメ版では、この時点ではコンポコの意味なし(^^); ところがコンポコを同行させている=可代が見ていることは、後の第8話で重要な意味を持つのでした。(もしかしたら、絵を取りに来たときにも、コンポコの姿は見ているかもしれませんけど)
※9/10追記
あー・・・ここ、完全に勘違いしてました(^^);
可代が絵を取りに行った先は、あくまで「つゆくさ画廊」なんですよね。魔美の自宅に取りに来た訳じゃないんですね。だからコンポコを連れて行って姿を見せておかないとつじつまが合わなくなるんです。失礼しました(m_ _m)
高畑の方は、魔美を安心させて家に帰した後、もう一度立野の方に一人で交渉に赴きます。こっちのシーンはアニメオリジナル。高畑は、立野に「あの子は君の恋人かね?」などと訊かれて、またドギマギする羽目に陥るのですが(笑)、「わしも君くらいの年の時に好きな女の子がおってな。可代という名前じゃった」と、このお話の核心に触れ始めます。 | |
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館 |
この時点で視聴者は、ハザマ・ローンの社長の名前を聞いてはいません。1カットだけ映る領収書の宛名を見ていれば、目ざとい人は気付くでしょう。
まあ、ネタバレしなきゃレビューが進められませんので書きますが、つまりこの可代が立野の「好きな女の子」だったということです。2人がそれぞれの口から語る思い出話が共通していて、視聴者は話を聞くうち、次第にわかるという構成になっています。原作では立野側が思い出を語ることはありません。
かわいい寝顔です(笑)。鬼の目にも・・・(略) このとき魔美は、情景が自分の目に映る視覚的なテレパシーを感じています。原作では思考波すら感じていない段階で、こんなに高度な超能力を既に無意識に使ってしまっています。旧ソ連とかで真剣にテレパスの軍事目的の研究をしていた方々なんかは、ビックリするような超能力者ぶりです(笑)。 アニメの回想シーンでは「正ちゃん」を「まさちゃん」と呼んでいます。これは立野の名前が「正夫」だからでしょう。原作では「しょうちゃん」です。「正治」で「まさはる」とも読めますが、「しょうじ」とルビが振ってあります。どういう理由でアニメ化の際に名前を変えたのかは不明です。 原作では「一口でいえば地獄だよ」という可代の台詞はあるものの、具体的にどんな「地獄」だったのかは言及されていません。アニメではそれが「戦争」をきっかけに生み出されたものとされています。立野は戦地に召集され、可代とはそれきり離ればなれ・・・というストーリーになっています。 | |
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館 |
「今では資産も何億あるか・・・欲しいものは何だって手に入れられる・・・でも・・・昔のあの日は買えやしない・・・」
可代は今では「鬼ババ」と呼ばれる金融屋をやっているわけですが、それには地獄の底からはい上がるため、血のにじむような思いでお金を貯めてきたという過去があったのです。
立野と高畑も話し続けます。立野は言います。
「不思議だ・・・あの絵の中の可代の家は、まるで人が住んでいるように綺麗じゃった・・・そんなはずはないのに・・・」
「それはきっと・・・佐倉さんが絵の中で、温かい家に甦らせたんですよ」
「なるほど・・・あの絵は確かに名画じゃよ」
「ぼくもそう思います!」
物語は、まもなく可代と立野が再会するであろうということを匂わせて終わっています。この余韻がたまらなく良いんです。
正直なところアニメ版では、少し補足しすぎな感じを受けなくもありませんが、この長い全120話の物語において、魔美は高畑と一緒に事件を解決していくというのが、ストーリー全体の骨子となっています。アニメ版で、その第1歩となったのがこの作品で、2人の今後の活躍を暗示する上でも、高畑と協力して解決していくという展開が必要だったのかもしれません。
そして、後に何度も登場する魔美の素敵な超能力・・・離ればなれになっていた人と人を結びつけるということの嚆矢となったのも、今回のお話なのです。
すっかり「鬼ババ」ではなくなった可代は、この後の第8話で再び登場します。