月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

小林アトムさん死去

2011年03月03日 01時35分05秒 | ミュージカル/演劇
小林アトム氏(俳優)が死去(読売新聞) - goo ニュース

今日は深夜まで仕事が続き、帰宅後、ニュースで訃報に接しました。

ただただ、びっくりしました。。。
まだ56歳……お若いのに。。。

アトムさんがまだ四季にいた頃、確か「エビータ」全国公演でのリハーサル見学会だったかと思いますが、すぐ間近でお話を聞かせてもらったことを思い出します。

ディズニー映画「ライオンキング」の吹き替えでプンバァを演じられ、のちに舞台版でも同じ役を演じられました。もしかしたら、「ライオンキング」のアニメと映画の両方で同じ役を演じた方は、世界でもアトムさんだけなのではないでしょうか(ちなみにアトムさんが四季に入ってから収録された続編やテレビシリーズなどでのプンバァ役は、畠中洋さんが演じておられます)。とっても愛らしいプンバァでした。

退団後は、2008年に大阪で観た音楽座ミュージカル「七つの人形の恋物語」や、映画化された音楽座ミュージカル「メトロに乗って」などに出演されていて、そのお姿を拝見しました。そのときはお元気そうだったのに……本当に残念です。

小林アトムさんのご冥福を謹んでお祈り申し上げます。

あらためて「チンプイ」

2011年03月01日 02時18分08秒 | 藤子不二雄
藤子・F・不二雄大全集」第2期のラインナップとして「チンプイ」が刊行されました。
1997年の「完全版」発売から数えて14年ぶり!待望の復刊です。



もう数え切れないほど読み返してきた作品とはいえ、初出「藤子不二雄ランド」のB6判か、「F・Fランドスペシャル」の新書判サイズで読むことに慣れていましたから、コロコロコミックと同じA5判、しかも小学館特有の句読点つき写植(笑)。なんだか新鮮な気持ちで作品を楽しむことができました。

F先生の最高傑作は?という質問をすれば、多くの人が「ドラえもん」を挙げるだろうことは想像に難くないですが、私は一時期「チンプイ」を「ドラえもん」以上の傑作だと考えていたことがありました。もちろん「ドラえもん」が名作であり、F先生の最高傑作なのは言うまでもありませんが、F先生の児童向け作品のうち、「本流」としての最高傑作が「ドラえもん」だとすれば、「傍流」としての最高傑作は「チンプイ」だというような捉え方を現在はしています。

「傍流」というのは、一連の「ドラえもん」以外…すなわち「キテレツ大百科」「バウバウ大臣」「バケルくん」「みきおとミキオ」など、一般の知名度がそれほど高くなく(※)、連載期間が比較的短く、純粋に小学校中学年以下の「児童向け」に描かれた作品(そういう意味で「少年向け」であるSF短篇、「エスパー魔美」などは除外しています)の、いわば集大成的な位置づけを「チンプイ」は持っていると考えているためです。結果的に「チンプイ」は、「ドラえもん」を除く児童向けとしては最後の新作となり、そして足かけ6年という長期連載ともなりました。F先生がご病気をされてからは、「T・Pぼん」や「エスパー魔美」の連載を再開することがなかったのに、「チンプイ」だけは「大長編ドラえもん」と並行して連載を継続されていた点も、F先生の「チンプイ」に対する意気込みを窺い知れます。

※「キテレツ大百科」はアニメで有名になりましたが、アニメ化される以前、原作は決して知名度が高い作品ではありませんでした。

さて、私は以前「チンプイ」の最終回について考察した記事を書きました。

「チンプイ」未完結の理由を考察 (2006年10月17日)
「チンプイ」未完結の理由を考察 の補足 (2006年10月18日)

これらの記事には、今も多くのアクセスを頂いているのですが、今回の大全集の解説で、これらの考察を裏付けるような証言を、嶋中行雄さんがされているのです。

嶋中さんは「藤子不二雄ランド」編集長の肩書きで登場されていますが、当時の中央公論社では副社長も務め、のちに社長になり、退任されてからは新たに嶋中書店を立ち上げ、「T・Pぼん」コンビニ版の発刊にも携われた方です。「藤子不二雄ランド」発刊にあたって最大の功労者でもあり、「藤子不二雄Aランド」復刊の際にも協力してくださったと聞いております。藤子両先生とのパイプも深く、藤子ファンから見れば、隠れた名作の数々を世に出してくださり、さらにそれが復刊される手助けまでしてくれた、まさに恩人のような方です。

その嶋中さんが、F先生に「チンプイ」の結末について尋ねたところ、F先生は映画「エリさま活動大写真」の中で「結論じみたことは出している」と答えられたそうです。

映画「エリさま活動大写真」は、アニメオリジナルの作品で、桶谷顕さんの脚本ですから、これまでF先生はほとんどタッチしていないと、私はそう思っていたのですが、嶋中さんの証言によれば、シノプシスを提示したのはF先生ご本人だったそうです。そして最終回のポイントは、おそらく「もう一人のエリちゃん」だろうと推測されています。

そうなるとやっぱりクローン……?

今となっては、実際にどのような最終回をF先生が考えておられたかは、もはや知る由もありませんが、あの映画にヒントが隠されていると判明しただけでも大きな収穫です。

ちなみに私が初めて買ったアニメのセルビデオは、この「チンプイ エリさま活動大写真」と「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」がカップリングになって発売されていたもので、当時11,000円だったと記憶しています。お年玉をはたいて買いました(笑)。そしてこの映画は繰り返し何度も、本当にテープが擦り切れそうなほど観たものです。今ではDVDも2種類所有していますが(小学館から発売されたものと、「チンプイ」DVD-BOXに特典として収録されたもの)、F先生のシノプシスによるものとは全く知らずに観ていましたから、次に観るときは新たな気持ちで楽しめそうです。


さて、大全集版「チンプイ」ですが、改めて大きなサイズで読み返すと、第1話なんか、本当に絵が生き生きしているんですよね。1985年6月というと、ちょうど「のび太の宇宙小戦争」の映画公開が終了し、ちょうど今年リメイクされる「のび太と鉄人兵団」の構想を考えておられる頃だと思いますが、「チンプイ」開始当時のF先生は絶好調で、脂も乗り切っていた時期なんだなぁと、改めて感じました。私は当時、小学4年生でしたが、F先生の新作「チンプイ」が始まったことが心底嬉しくて、何度も何度も読み返した記憶があります。だから初出のF・Fランド版「ドラえもん」13巻はボロボロなんです(笑)

今の子どもたちは、当然「ドラえもん」しか知らないと思いますが、「ドラえもん」が大好きな子は、今回の復刊を機に、ぜひとも「チンプイ」も読んでみてほしいなぁと、かつて小4だったおじさんは思ったりするわけです。

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