「ドラえもん」最終話、勝手に出版した男性が謝罪(朝日新聞) - goo ニュース
13000部も「売って」しまったら、これは仕方ないですね(^^);
刑事告訴に至らなかっただけ、まだ良かったんじゃないでしょうか。
ちなみに私は、この「冊子」そのものは目にしたことがありません。作者名は聞いたことがありますが、本を探してみたことすらないので、旧ドラ特集が載った「映画秘宝」7月号で、初めて表紙を見ました。ところで田嶋・T・安恵さんって男性だったのか…(笑)。
藤子プロ・伊藤社長のコメントでは、
ファンが仲間うちでやることはまだ許容範囲と考えている
とされていますが、この種のファンによる「二次創作」が、果たしてどこまで許容されるのかというのは、今後の大きな課題でしょうね。それが面白い「作品」だったら、たとえ当初は「仲間うち」のつもりでも、作者の手を離れてどんどん広まってしまうこともあるでしょうし…。もちろん藤子作品に限らず、二次創作の同人誌を作って「売っている」人は、規模の大小にかかわらず、権利者によっては権利侵害だと訴えられるリスクを抱えていることくらいは認識しておくべきでしょう。
※ちょっと補足しておきますと、パロディ、オマージュなど、法律的な解釈とは別に、有名作品であればあるほど著作権者側が「寛容」すべき性格のものもあるでしょう。しかし今回のケースは、正規の「最終回」と見間違えられそうな装丁、内容であったこと、販売部数などを含めて問題にされたのではないかと感じています。その辺の線引きは難しいところではありますが…。一般出版物でも、田中圭一さんの「神罰」など、よく手塚プロが公認(?)したなぁと思えるような(笑)、すさまじいものもあったりしますし、結局は権利者の裁量によるところが大きい分野ではあります。
真偽のほどは知りませんが、かつてプールの底にミッキーマウスか何かを描いた小学生にディズニーが警告したとか、そんな話を聞いたことがあります。ネットなどなかった時代の話でしょうね。いまホームページに二次創作されたキャライラストを載せる程度では、もちろん私の「らくがき倉庫」も含めて、確かにグレーゾーンではあるのですが、それで儲けたりしていない限り、実際に目くじらを立てる企業は少ないでしょう。他にも、家族がディズニーランドで撮った写真にミッキーの着ぐるみが写っていて、それをブログに載せたことをディズニーが訴えたりしていちゃ、それこそお笑い種です。
著作権というのは本来、著作者が著作物の不正利用による不利益を受けないことが、まず第一の目的だったはずです。その目的に照らし合わせた場合、上のニュースにおいては、藤子プロが権利を持つキャラクターを無断で使用し、それによって田嶋・T・安恵さんが実際に利益を受けているのですから、それが不当と判断されるのは当然のことです。冒頭で「仕方ない」と述べた所以です。物語の内容が優れている、いないの問題ではなく、明らかに一線を越えてしまったケースですね。
それでは、この「冊子」を「販売」ではなく「無料配布」していたら、もしくはネット上で公開していたら、どうだったでしょうか。二次創作と断ってのことなら、あるいは藤子プロも黙認していたかもしれません。ただし、このあたりは権利者がいかようにも「解釈」できる部分ですので、実際のところどうなっていたかは分かりませんけどね。
しかし「解釈」は、ときに「拡大解釈」を呼びます。例えば、本の表紙画像をホームページに載せることを「著作権侵害」としてしまうことは、私自身は「拡大解釈」の一つだと思っています。本の中身をまるごとネットに掲載されては、その本が売れなくなりますから、著作者には確かに不利益を生じます。しかし本の表紙を掲載することは、それを見て本を購入する人がいる可能性もあるわけで、著作者に利益をもたらすことはあっても、決して「不利益」とは言えないと考えます。今でこそ、アマゾンなどから配信される表紙画像を、合法的に掲載することも出来ますし、表紙を撮影した画像を掲載されて目くじらを立てる企業も少ないでしょうけど、一時は著作権的にグレーゾーンとされていたこともあるのです。
さて音楽の分野では、最近JASRACによるとんでもない「拡大解釈」を、なんと東京地裁が認めてしまうという事件がありました。個人的に、これは由々しき事態だと感じています。
音楽ストレージサービスには音楽著作物の利用許諾が必要~東京地裁
ストレージサービスというのは、かいつまんで言いますと、ネット上に自分のデータを保存しておく領域を借りるサービスです。たとえば、自分のPCにあるデータが100GBを超えてしまい、HDDが一杯になってしまった。HDDを増設したり、CDやDVDにバックアップするという方法もあるものの、予算にも限りがあるし、もっと手軽に自分のデータを呼び出せる形で保存しておきたい。そういうときに利用するサービスです。
ただし、ネット上で保存したデータを、他人が簡単にダウンロードできるようでは問題です。当然ながら「鍵」をかけて、つまりパスワードなどでロックして、自分自身でなければ、アップロードもダウンロードも出来なくします。問題になっているサービスは、音楽データをネット上に保存し、「自分だけが」いつでもそれを携帯電話にダウンロードできるという、そういう趣旨のものです。コインロッカーにCDを放り込んでおくような感覚、といえば分かりやすいでしょうか。
「他人が簡単にダウンロードできる」場合、それは「公衆送信が可能な状態」ということですから、そういう領域にCDなどから取り込んだデータを置くと、これは違法にあたります。つまりホームページなどをアップし、公開するのと同じ領域に、CDから取り込んだMP3などのデータを置くと、誰でもダウンロード出来てしまいます。この状態にすれば、JASRACに訴えられても仕方がありません。
しかし、このサービスは「自分だけが」保存したデータを利用できるサービスです。確かにデータのサーバーへのコピー、あるいはサーバーから携帯電話へのコピーは伴いますが、これはどう考えても著作権法で認められた「私的複製」の範疇に含まれるものと考えられますし(これがダメというなら、PC→iPodのコピーもダメということになります)、公衆送信だって前述の通り出来ない状態なのですが、何故かJASRACは複製権と公衆送信権を持ち出して、イメージシティ社に許諾契約を迫ったようです。
えー…JASRACのやってることって、以前の記事で書いた、街の喫茶店をいじめまくっている悪質なケースも含めて、まるでどこかのヤ○ザ屋さんに近いと感じるのは私だけでしょうか(^^); ショバ代が重要な収入源なんですかねぇ…JASRACって(笑)
このままJASRACの暴走を放っておくと、コインロッカーにCDを預けることまで、コインロッカー業者はJASRACと契約を結びなさいとか何とか、冗談じゃなく言い出しかねない雰囲気ですよ(^^); 「コインロッカー業者が貸与した鍵を用いて開けられた、同社の管理・所有するコインロッカーに蔵置され、そのコインロッカーから各会員ユーザーがCDを取り出していることから、その管理主体はコインロッカー業者であると判断する」…とか何とかの詭弁で(笑)。この例では公衆送信も複製もないですけど、なんか突拍子もない理屈をくっつけてきそうな気がします。本当に街なかでの口笛すら「著作権侵害」で吹けない時代がやってくるかも知れません。
それにしても、JASRACの言いぶんにも呆れましたが、こんな判決を下してしまった東京地裁の判事は、よほどネットやコンピュータに対する知識が欠落していると思わざるを得ません。知財高裁では、もう少しまっとうな判断を下してくれるように祈りたいものです。
13000部も「売って」しまったら、これは仕方ないですね(^^);
刑事告訴に至らなかっただけ、まだ良かったんじゃないでしょうか。
ちなみに私は、この「冊子」そのものは目にしたことがありません。作者名は聞いたことがありますが、本を探してみたことすらないので、旧ドラ特集が載った「映画秘宝」7月号で、初めて表紙を見ました。ところで田嶋・T・安恵さんって男性だったのか…(笑)。
藤子プロ・伊藤社長のコメントでは、
ファンが仲間うちでやることはまだ許容範囲と考えている
とされていますが、この種のファンによる「二次創作」が、果たしてどこまで許容されるのかというのは、今後の大きな課題でしょうね。それが面白い「作品」だったら、たとえ当初は「仲間うち」のつもりでも、作者の手を離れてどんどん広まってしまうこともあるでしょうし…。もちろん藤子作品に限らず、二次創作の同人誌を作って「売っている」人は、規模の大小にかかわらず、権利者によっては権利侵害だと訴えられるリスクを抱えていることくらいは認識しておくべきでしょう。
※ちょっと補足しておきますと、パロディ、オマージュなど、法律的な解釈とは別に、有名作品であればあるほど著作権者側が「寛容」すべき性格のものもあるでしょう。しかし今回のケースは、正規の「最終回」と見間違えられそうな装丁、内容であったこと、販売部数などを含めて問題にされたのではないかと感じています。その辺の線引きは難しいところではありますが…。一般出版物でも、田中圭一さんの「神罰」など、よく手塚プロが公認(?)したなぁと思えるような(笑)、すさまじいものもあったりしますし、結局は権利者の裁量によるところが大きい分野ではあります。
真偽のほどは知りませんが、かつてプールの底にミッキーマウスか何かを描いた小学生にディズニーが警告したとか、そんな話を聞いたことがあります。ネットなどなかった時代の話でしょうね。いまホームページに二次創作されたキャライラストを載せる程度では、もちろん私の「らくがき倉庫」も含めて、確かにグレーゾーンではあるのですが、それで儲けたりしていない限り、実際に目くじらを立てる企業は少ないでしょう。他にも、家族がディズニーランドで撮った写真にミッキーの着ぐるみが写っていて、それをブログに載せたことをディズニーが訴えたりしていちゃ、それこそお笑い種です。
著作権というのは本来、著作者が著作物の不正利用による不利益を受けないことが、まず第一の目的だったはずです。その目的に照らし合わせた場合、上のニュースにおいては、藤子プロが権利を持つキャラクターを無断で使用し、それによって田嶋・T・安恵さんが実際に利益を受けているのですから、それが不当と判断されるのは当然のことです。冒頭で「仕方ない」と述べた所以です。物語の内容が優れている、いないの問題ではなく、明らかに一線を越えてしまったケースですね。
それでは、この「冊子」を「販売」ではなく「無料配布」していたら、もしくはネット上で公開していたら、どうだったでしょうか。二次創作と断ってのことなら、あるいは藤子プロも黙認していたかもしれません。ただし、このあたりは権利者がいかようにも「解釈」できる部分ですので、実際のところどうなっていたかは分かりませんけどね。
しかし「解釈」は、ときに「拡大解釈」を呼びます。例えば、本の表紙画像をホームページに載せることを「著作権侵害」としてしまうことは、私自身は「拡大解釈」の一つだと思っています。本の中身をまるごとネットに掲載されては、その本が売れなくなりますから、著作者には確かに不利益を生じます。しかし本の表紙を掲載することは、それを見て本を購入する人がいる可能性もあるわけで、著作者に利益をもたらすことはあっても、決して「不利益」とは言えないと考えます。今でこそ、アマゾンなどから配信される表紙画像を、合法的に掲載することも出来ますし、表紙を撮影した画像を掲載されて目くじらを立てる企業も少ないでしょうけど、一時は著作権的にグレーゾーンとされていたこともあるのです。
さて音楽の分野では、最近JASRACによるとんでもない「拡大解釈」を、なんと東京地裁が認めてしまうという事件がありました。個人的に、これは由々しき事態だと感じています。
音楽ストレージサービスには音楽著作物の利用許諾が必要~東京地裁
ストレージサービスというのは、かいつまんで言いますと、ネット上に自分のデータを保存しておく領域を借りるサービスです。たとえば、自分のPCにあるデータが100GBを超えてしまい、HDDが一杯になってしまった。HDDを増設したり、CDやDVDにバックアップするという方法もあるものの、予算にも限りがあるし、もっと手軽に自分のデータを呼び出せる形で保存しておきたい。そういうときに利用するサービスです。
ただし、ネット上で保存したデータを、他人が簡単にダウンロードできるようでは問題です。当然ながら「鍵」をかけて、つまりパスワードなどでロックして、自分自身でなければ、アップロードもダウンロードも出来なくします。問題になっているサービスは、音楽データをネット上に保存し、「自分だけが」いつでもそれを携帯電話にダウンロードできるという、そういう趣旨のものです。コインロッカーにCDを放り込んでおくような感覚、といえば分かりやすいでしょうか。
「他人が簡単にダウンロードできる」場合、それは「公衆送信が可能な状態」ということですから、そういう領域にCDなどから取り込んだデータを置くと、これは違法にあたります。つまりホームページなどをアップし、公開するのと同じ領域に、CDから取り込んだMP3などのデータを置くと、誰でもダウンロード出来てしまいます。この状態にすれば、JASRACに訴えられても仕方がありません。
しかし、このサービスは「自分だけが」保存したデータを利用できるサービスです。確かにデータのサーバーへのコピー、あるいはサーバーから携帯電話へのコピーは伴いますが、これはどう考えても著作権法で認められた「私的複製」の範疇に含まれるものと考えられますし(これがダメというなら、PC→iPodのコピーもダメということになります)、公衆送信だって前述の通り出来ない状態なのですが、何故かJASRACは複製権と公衆送信権を持ち出して、イメージシティ社に許諾契約を迫ったようです。
えー…JASRACのやってることって、以前の記事で書いた、街の喫茶店をいじめまくっている悪質なケースも含めて、まるでどこかのヤ○ザ屋さんに近いと感じるのは私だけでしょうか(^^); ショバ代が重要な収入源なんですかねぇ…JASRACって(笑)
このままJASRACの暴走を放っておくと、コインロッカーにCDを預けることまで、コインロッカー業者はJASRACと契約を結びなさいとか何とか、冗談じゃなく言い出しかねない雰囲気ですよ(^^); 「コインロッカー業者が貸与した鍵を用いて開けられた、同社の管理・所有するコインロッカーに蔵置され、そのコインロッカーから各会員ユーザーがCDを取り出していることから、その管理主体はコインロッカー業者であると判断する」…とか何とかの詭弁で(笑)。この例では公衆送信も複製もないですけど、なんか突拍子もない理屈をくっつけてきそうな気がします。本当に街なかでの口笛すら「著作権侵害」で吹けない時代がやってくるかも知れません。
それにしても、JASRACの言いぶんにも呆れましたが、こんな判決を下してしまった東京地裁の判事は、よほどネットやコンピュータに対する知識が欠落していると思わざるを得ません。知財高裁では、もう少しまっとうな判断を下してくれるように祈りたいものです。