月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

お気に入りシリーズの新刊

2008年10月20日 00時04分25秒 | 本(漫画以外)
金曜から大学の用事で博多へ行ってましたが、帰ると新刊が届いていました。



濱野京子さんの「天下無敵のお嬢さま!」シリーズも、ついに4巻目。最初は、こうの史代先生のイラストに惹かれて購入したんですが、実際に読んでみると、作品そのもののテイストが私のフィーリングにピッタリだったらしく、新刊が出るたび買っていたりします。この4巻目「柳館(やなぎやかた)のティーパーティー」は、まだ届いたばかりで読んでませんが、今度の休みにゆっくり楽しもうと思っています。

児童文学も、読んでいるとなかなか面白いです。なんとなく買ってみた森絵都さんの「宇宙のみなしご」が大好きになり、そのまま森さんの他の一般小説も読み始めて、ファンになったりしました。児童文学を読んでいると、昔は気づかなかったであろう意外な発見があったり、完全に忘れてしまっていた少年時代のことを思い起こさせたりしてくれます。

いろんな意味で「壁」にぶち当たっている月ですが、たまには初心(というか童心?)に返ってみるのもいいかもしれません。

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天下無敵のお嬢さま!(2) けやき御殿のふしぎな客人

2006年11月27日 06時12分05秒 | 本(漫画以外)
先日の記事で取り上げた第1巻に引き続き、第2巻も読んでみました。

うん、やっぱりこのシリーズって結構面白いです。少なくとも私の好みにはピッタリ合った作品です。

ここでカミングアウト(大げさな)しますが、私は結構「ファンタジー」や「SF」という分野は昔から苦手なんですよ(^^);

ジブリの「天空の城ラピュタ」や「千と千尋の神隠し」、あと藤子SF短篇が好きだとか書きながら、何を言ってるんだと思われそうですが、いわゆる「ハリーポッター」や「指輪物語」、それから「スターウォーズ」など、その系統のお話や映画が苦手なんです。なんだか状況把握がうまく出来ず、どうしても読み続ける&見続けることが出来ないのです。ジブリ映画でも「ハウルの動く城」は私には全く受け付けられませんでした。

ところが・・・「不思議なお話」は大好きなんです。ここまで書くと、このブログをご愛読頂いている皆様(笑)には、お分かり頂けるでしょう。・・・そう、私の好きなのは「ファンタジー」でも「サイエンス・フィクション」でもなく、「少し不思議な物語」なんです。この要素は逆に「ファンタジー」にも「SF」にも備わっているものです。

少し=S」「不思議=F」で「SF」なんだと提唱したのは、藤子・F・不二雄先生ですが、小学生の頃、「ドラえもん」のタイムマシンや宇宙などのお話は「SF」と呼ばれていて、これらは大好きなのに、「スターウォーズ」や「ガンダム」のような、同じ「SF」と呼ばれてる作品が好きになれないのは、どうしてなんだろう?という素朴な疑問を解き明かしてくれたのが、この「少し不思議=SF」という概念でした。(言うまでもなく藤子先生は、本来のSF=サイエンスフィクションへの造詣も深い人ですが、これらの要素をかみ砕き、SFというものに何か抵抗のある私のような読者にも「少し不思議」として、わかりやすく与えてくれたのです)

要するに「日常」という「」に足がついていないと、私にはダメなんですね。近未来SFともいえる「ふたつのスピカ」だって、普通の高校生と何も変わらない日常が繰り広げられているから、入りやすかったんだと思います。他に「ぼくの地球を守って」という名作も、最初は少し戸惑ったものの、読み進めるうち次第に作品世界が理解でき、そうなると面白くなり始めたりもしました。

~~~~余談のコーナー
もちろん、ファンタジーやSFが全く駄目というわけではなく、読み進めて作品世界に「入り込む」ことさえ成功すれば、あとはすんなり好きになれることもあります。ゲームになりますけど「ドラゴンクエスト」シリーズなんて、魔法は使うし魔物も出てくるし、いわばバリバリのファンタジーなのに、そのストーリーを含めて大好きだったりします。でも「ファイナルファンタジー」は、いまだに入ることが出来ておりません。つまり、その入り口の「」が非常に狭いというわけです。実をいうと「千と千尋」だって、作品世界を理解するには少し時間がかかりました。ところが何度か観ているうち、千尋やカオナシの気持ちなどが、あるときストンと心に落ちたのです。それからは大好きな作品になりました。でも「ハウル」はいまだに、ハウルもソフィーも荒れ地の魔女も理解できておりません(^^);
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えー、例によって前置きが長くなりましたが(笑)、この「天下無敵のお嬢さま!」シリーズは、はっきり言ってしまえばファンタジー的な要素を持った作品です。第2巻は突然SF的な要素まで出てきて、一瞬「えっ?」と思いましたが、意外に引っかかることもなく、すんなり読破することが出来ました。

おそらく前述したような意味で、私が入り込みやすかった要素がたくさんあったのでしょう。まず舞台が現代の日本という、しっかり地面に足のついた場所で、物語が展開されること。それからキャラクターの作り方がとても上手いのです。読んでいるうち、菜奈も芽衣もメリーさんも、登場人物の心情に共感し、すぐに好きになれたのです。

大人になってしまうと、子どもの世界なんて一種のファンタジーです。自分もかつて子どもだったくせに、その頃のことは忘れてしまっています。もちろん世代間で流行も学校で教えられる内容も全く違いますから、今の子どもが好きなことを100%理解できないのは当然です。でも、時間が流れても変わらない、普遍的な子どもの世界というのは、いつの時代にも必ず存在しているはずなんです。

「天下無敵のお嬢さま!」で描かれているのは、現代の子どもです。携帯電話だって持っているし、主人公の菜奈ちゃんは美少年が好きだし(笑)。だけど、どこか、私たちが子どもの頃に見た原風景的な懐かしさも感じるのです。これは言ってみれば「のび太たちの日常」に通じる面があるのかもしれません。

それに加えて、子どもたち、大人たち、それぞれの悩みもきちんと描かれています。

芽衣のお父さんは行方不明だし、お母さんは事故で意識不明のまま長く入院中。それで叔母さん(メリーさん)と暮らしているという、結構シビアな状況です。実際に登場の頃は、少し影を帯びたところがある女の子でした(それで菜奈が男の子と間違えて恋をしたわけですけど)。ところが菜奈たちと出会うことで、実は笑い上戸であったりといった本来の性格にも、次第に光が差してくるようになります。

主人公の菜奈も、お金持ちのお嬢さまでありながら、親戚がみんな通っている名門私立ではなく、何故か公立小学校に行っていたりします。弟の玲児は、そんな姉を「えせお嬢さま」なんて呼んでいて、第1巻の彼女はそんな弟を結構フワフワとかわしていますけど、第2巻では「自分なんていなくなっても誰も困らないんじゃないか」とまで思い詰めてしまうなど、普段はモノローグ(お話の語り手が彼女自身)でも、結構ストイックな子どもなのに、今回は色々な事件を経て、弟に吸い取られてしまった母の愛に飢えるような心情も描かれています。このあたりは、女性作者ならではの「母親的な温かさ」を感じました。

メリーさんだって、かつては○○○○○ーだったという過去があります(未読の方のために伏せます)。まだ物語では明かされていませんが、何か理由があって、それを引退したのかもしれません。芽衣の母親のお姉さんでもありますが、考えてみると少し不思議な存在でもあります。この後の巻で、彼女自身のことをもっと詳しく描かれていくのか、あくまで子どもたちを見守る立場として一歩引いた存在のままなのかはわかりません。

うーん・・・今回はレビューだか何だかわからない内容になってしまいましたが(笑)、このシリーズは今後も楽しみに読んでいきたいと思います。

私は、児童文学からは長い間離れていましたが、これは別に「子どもの読む本だから」などとバカにしていたわけではなく、単に読む機会がなかっただけです。今回も、たまたま好きな漫画家のこうの史代先生が挿絵を描いていたというキッカケがあって、この作品を知ることが出来たのですが、そうでなかったら、一生作品を知らないままだったと思います。

私は児童漫画の代表格である「ドラえもん」を含め、子ども向けに書かれた作品を読むことに何の抵抗もありませんし、読みもせずに「子ども向けじゃん」とバカにする人には、前から腹を立てたりもしていました(笑)。

もちろん、まだ物語を作る技術も稚拙な「子どもの書いた話」を読むのはキツいですよ(笑)。だけど、児童文学は「子ども向けに」書かれているだけであって、書いたのは当然大人なんです。これはもちろん漫画だって同じです。子ども向けの作品は、大人向けに書くよりも、書き手としては遙かに難しいのです。決して卑下されるいわれはないと考えております。

大人向けに書かれた「小難しい本」(うちの本棚にある本を母はよくこう呼ぶんです)だけを読んでいると、なかなか気付くことの出来ないようなことを、ある日子ども向けに書かれた作品を読んで「ハッ」となることって、確かにあるんですよ。今回取り上げた作品の第2巻で主人公が感じる「自分なんていなくなっても・・・」という何気ない悩みは、結局これを煎じ詰めていくと、昨今の子どもの自殺問題にも通じることですからね。菜奈のように、周りに支え合える友だち、親、兄弟、先生などがいれば良いんですが、実際には、そういう存在がいなくて悩む子どもも多いんだろうなと・・・そういうことも考えさせられました。

名作ドラマ「彼女たちの時代」でも、30歳を数年後に控えた主人公の深美(深津絵里さんが演じてます)が、冒頭で同様のことをモノローグで呟きます。これは決して、大人だけが感じる寂寞ではなくなってるのが現代社会なんです。自殺しようとする人の根本にあるのは、結局は自己存在の否定なんです。「自分がいなくなっても誰も困らない=自分という存在を消しても構わない」という考えに至らせてしまう(特に子どもに)のが大きな問題なんです。「いじめをなくす」の一言だけで片が付くとも思えません。自殺する人に、誰かが自分を必要としている=かけがえのない自分の肯定意識が欠落してしまっていること、そうさせてしまう社会の構造に問題があるのではないかと思います。

ちょっと(かなり)話がズレてしまいましたが、つまり児童文学を読んで、そんなことまで考えを及ばせてしまうこともあるということです(^^);

これからは、何か子ども向けに書かれたお話を、他にも探して読んでみようかなと思いました。自分でもいずれは書いてみたいですしね・・・そう・・・かつては児童漫画家を志していたこともあったのです。絵が下手で断念しましたけど(笑)。


作: 濱野京子/画: こうの史代
天下無敵のお嬢さま!〈2〉
けやき御殿のふしぎな客人

童心社
詳細
コメント (6)
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天下無敵のお嬢さま!(1) けやき御殿のメリーさん

2006年11月25日 11時36分26秒 | 本(漫画以外)
夕凪の街 桜の国」などで知られる漫画家・こうの史代先生が挿絵を描いておられるということで、前から少し気になってはいたんですが、例によってアマゾンでこうの先生の新刊を探してたら、このお話が2巻まで出ていたので、ちょっと買ってみることにしました。仮に自分に合わなくても、こうの先生の絵は大好きだし、まぁ、良いかなと軽い気持ちで・・・

そしたらこれが結構面白くて、今朝届いたんですけど、さっき布団の中で第1巻を一気に読了しました。児童文学の新作を読むなんて久しぶりです。もしかしたら中学生のとき以来かもしれません。

主人公の菜奈は自称「天下無敵のお嬢さま」。彼女は小学6年生。中国武術をたしなんでいるお金持ちのお嬢さんという設定で、物語は彼女が語り手となって進むのですが、終始お嬢さま口調でありながらも活発な女の子で、どこか憎めないキャラクターが魅力的です。

美少年好きな(笑)菜奈が、ハンサムな男の子と勘違い(このあたりの展開は少女漫画っぽいかも)して知り合った、のちに親友となる芽衣、そして芽衣のおば・通称「メリーさん」を中心に物語は展開します。「ゆうれい屋敷」と呼ばれている、けやきの木がある古い家に引っ越してきた芽衣とメリーさん。この家は菜奈によって「けやき御殿」と命名されます。けやき御殿を中心として、菜奈のいとこ・綾香(偶然あーやと同じ名前)の誘拐事件を解決していくのが、この第1巻の物語の中心になっています。

どうやら芽衣には何か秘密が隠されていそうです。事故に遭って意識不明のままになっている芽衣のお母さんのエピソードなど、少し不思議な要素も盛り込まれています。子どもならでは「良い子」でいなくてはならないというプレッシャーに対する悩みや葛藤、かつて子どもだった大人たちへの柔らかな視線などもあって、純粋にほのぼのとした読後感を味わうことが出来ました。

また、こうの先生の絵が作品にマッチしていて良いんです。こうの先生といえば「夕凪の街 桜の国」があまりにも有名で、基本的には大人向けの作品が多い人ですが、「こっこさん」というファミリー向けの名作もあります(以前、こちらで取り上げました)。温かみのある絵柄が児童向けのこの作品にもマッチしていて、この絵のままアニメ化しても面白いんじゃないかなと思いました(ただ、こうの先生の絵柄は、一枚絵としての魅力に溢れた画風ですから、この絵柄でアニメとして動くというイメージは、ちょっと今のところ掴みにくいかも)。

作者の濱野京子さんは、これがデビュー作なのだそうです。プロフィールによれば、1956年生まれと、私の母より少し若いくらいの年齢の方なんですが、1999年に毎日児童小説コンクールで優秀賞、2002年に同じく最優秀賞を取っています。50歳でデビュー作というのは、細々と小説を書く勉強をしている私にとっては希望の星です(笑)。

最後になりましたが、この本は「フォア文庫」として出ています。フォア文庫とは、岩崎書店、金の星社、童心社、理論社の4つの出版社が、子どもたちのための優れた本をという理念の元、協力出版して出している児童書のブランドです。私が小学生の頃、学校の図書室やクラスの書棚に、このフォア文庫がたくさん置いてあって、片っ端から読んでいました。基本的に漫画好きな子どもではありましたが、子ども向けの小説なども、このフォア文庫で度々読んでいました。今は内容はほとんど忘れてしまったものの「かぎばあさん」シリーズが好きだった覚えがありますし、「ガラスのうさぎ」という戦争の物語も読みました。他にも宮沢賢治などの名作もフォア文庫化されていて、このシリーズで読んでいた気がします。今もこのシリーズが続いていて、21世紀の子どもたちにも読み継がれていることは、とても嬉しく思います。


作: 濱野京子/画: こうの史代
天下無敵のお嬢さま!〈1〉
けやき御殿のメリーさん

童心社
詳細


※この日、一緒に買った志村貴子「青い花」(1) と二ノ宮知子「のだめカンタービレ」(1) も到着しました。「のだめ・・・」は最近の人気作品なので、ちょっと読んでみようかなと・・・。ドラマ等は全く知りません。まだ全然読んでないので、もし面白かったら何か書きます。いや、もし書かなくても面白くなかったとは限りません(^^);

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黒い自画像

2006年09月11日 15時39分30秒 | 本(漫画以外)
阿刀田高先生の小説です。角川文庫版が出ていたので読みました。
ショートショートよりは少し長め、15ページほどの短篇が15作収録されています。わりと面白かったです。

阿刀田高 著
黒い自画像
角川書店
詳細

ということで、一言ずつ簡単にコメント書いてみました。読んでない方には全く意味がわかりませんが、ご容赦ください(^^);

そうそう、この本の解説を茅野裕城子さんが書いてるんですが、阿刀田先生の笑い声に明るさと暗さが交互に感じられるということを書いていて、それを「ブライスという人形みたい」と形容していました。ブライス人形って、元妻がすごく好きだったから、以前はうちにたくさんあったんですよ。最初は「気持ち悪っ」と思いましたが(笑)、だんだん可愛くなってきたから不思議です。彼女たち元気かなぁ・・・

つげ義春先生の「無能の人」の1編「鳥師」を少し思い出しました。鳥の心・・・
阿刀田先生のエッセイなどを読んでいれば3ページ目でオチが読めるかも(^^);
香水
ラストが微笑ましい。でも主人公、ちょっと妄想しすぎ?(笑)
彫像
こういう夫って、一番タチが悪いなぁ(笑)。つげ作品にも出てきそう。まあ、つげ作品の男はこんなに鮮やかではないけど(笑)
青い靴
不思議なラスト。不思議な余韻・・・
水の底
なんだか情景が浮かぶ・・・怖いです(^^); シチュエーションは全く異なりますが、少し岡崎二郎先生の作品を思い出しました(タイトル失念!)。
夜の衣裳
こっわー(^^); 夜の公園に行きたくなくなりました(笑)
赤道奇談
阿刀田先生のエッセイで読んだ気がするネタ。でもラストは大人のテイスト(笑)
石見銀山
毒薬ネタは本当に阿刀田先生、お好きです(笑)
無表情
情景が目に浮かび、わけもなく怖い・・・
目撃者
モテるって羨ましくも聞こえるけど、実際こんなもんかもね(笑)
水葬
生きたまま棺桶に入れられるなんて想像するだけで怖い・・・
車輪
不思議な話・・・主人公は異次元に迷い込んだのか。
死体というのは肥料にもなるものです(笑)。このネタも結構読んだなぁ(^^);
子どもって結構怖いところもあるから、ありそうな話。残酷だけど清らかな心だけでは生きていけませんからね。

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「おとこ坂おんな坂」

2006年08月18日 01時51分39秒 | 本(漫画以外)
ずーっと漫画とかミュージカル、あーやのことばかり書いてきたので、いきなり
なんじゃいな って思われる方もいると思いますが(笑)

私は高校時代から、阿刀田高先生の大ファンなんです。

阿刀田作品は「奇妙な味」ってよく言われますが、ちょっと藤子A先生の
ブラックユーモアとも通じる部分があるような気がします。読み進めるうち、
起承転結でいえば「転」のところで走る背筋の凍る戦慄・・・そして「結」の
どんでん返し・・・たまりません(笑)

最初に読んだのが「早過ぎた予言者」。古書店でたまたま見つけました。

高校生が読むには、ちょっとエロすぎる描写もあったりしますが、当時は少し
ドキドキしながら読んでました(^^); 大人になればどーってことないです(笑)

占い師は小説家と同じだという発想から書かれた表題作、尾形光琳の「紅白梅
図屏風」を、「めっちゃエロい絵」(笑)として印象づけてくれた作品も、たしか
「早過ぎた予言者」の中の一編だった気がします。(タイトル失念)

そんな阿刀田先生の新刊が「おとこ坂おんな坂」です。

うちでは毎日新聞を取っていまして、日曜版に昨年1年間連載されていたん
ですが、つい読み忘れたり、読む前に元妻が間違えて捨てちゃったり(笑)、
そんなこともあって、通しては読んでいなかったため、1冊にまとまった機会
に購入しました。

阿刀田高 著
おとこ坂 おんな坂
毎日新聞社
詳細


実は、阿刀田先生の本を「文庫以外」で買うのは初めてなんです(笑)
ほとんどの作品が文庫で出ているもんだから、そっちの方が安いし、扱いやすいし、
たいていは文庫になるのを待ってから買っていました(^^); ゴメンナサイ(笑)

さて、この「おとこ坂おんな坂」。何か、なまめかしいタイトルではありますが、
別にそんなシーンは全然ありませんので、念のため(笑)

結論から言ってしまえば、やっぱり昔の短編の方が面白かったというのが、
正直な感想ですかね(^^);

もちろん全然面白くないわけではありませんよ。
私は阿刀田先生の、独特な文体にも強く惹きつけられていて、自分も実は、発表
するつもりも、そんなアテもない「小説」と称した駄文を書いたりしていますが(恥)、
阿刀田先生の文章の影響というのは、知らず知らずに自分の偽・小説の中にも
表れてしまい、ハッとすることが多々あります。
※自分の偽・小説は、このブログとは全く文体が違いますからね(^^);

「黄色い小びん」とか、連載中にも読んでいて印象的でした。何の証拠も残らない
毒薬・・・過去の阿刀田先生のいろんな作品やエッセイで使われたネタですが(笑)、
それを逆手に取ったオチが待っています。

「生き方の研究」も、登場人物のミリンダが、連載中も嫌いでしょうがなかったし(笑)、
「あやかしの町」も余韻の残る作品でした。「生まれ変わり」も良かったです。
佐々木喜善の話は、少し前に出た阿刀田先生のエッセイでも読んだ気がします。

阿刀田先生は、短編集「ナポレオン狂」で第81回直木賞を受賞しておられます。
この頃の先生の作品は、本当に背筋が凍るような戦慄と、キレのある見事なオチ
が印象的で、いま読み返しても、思わず溜息が出てしまいます。

近年の作品は、コクはあるけどキレがないっていうのが率直な印象ですね・・・
そのコクはワインのように熟成されていて、そちらが新たな魅力になっている
ことは否定しませんが、まだ若干文章は粗いけど「ナポレオン狂」前後の作品が、
やっぱり阿刀田先生の「奇妙な味」「どんでん返し」の最高潮だった気がします。

しかし阿刀田先生、御年71歳ですからね(^^);
今でも精力的に新作を発表してくれていること自体を喜ぶべきかもしれません。
エッセイや長編の方が増えちゃって、短編が減ってしまったのは、やっぱり年齢
なのかなぁと思います。

いまも現役で、バリバリ・・・とまではいかなくなったけど、新作を発表して
おられる藤子A先生とは、ほぼ同世代なんですね。A先生も、やっぱり若い頃の
作品の方が傑作が多いんですが、ファンとしては、これからも元気で活躍して
くれること自体が嬉しくなってしまう、なんとも不思議な心境ではあります。

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