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金魚cafe

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鍵の掛かった男

2017-05-26 22:28:09 | 読んだ本
有栖川有栖著 幻冬舎

有栖川センセーといえば犯罪社会学者の火村英生と推理小説化の有栖川有栖のコンビで謎を解くシリーズですが、今回は火村センセーが大学入試のため多忙なため有栖川センセー単独で調査という珍しいパターンです。

そして舞台は大阪の中之島にあるホテルでの出来事。

東京で受賞パーティに出席した有栖川センセーが大先輩の作家影浦浪子から彼女が執筆のためカンヅメになっていた大阪中之島のホテル銀星ホテルで親しくなった男性が自室で首をつって自殺してしまった。

ホテルに滞在中だけの知り合いなのだけれど自殺するような人とは思えない、他殺ではないかと疑惑をもった。

火村センセーの噂を聞いて調べてくれないかと。

警察も自殺で処理をしたこの件を先輩から断りきれなかったのと興味があったのでさっそく調べる有栖川センセー。

そのホテルというのが中之島にひっそりと佇み地元の大阪の人間でも知らない人もいるというその代わりに静けさを求める人にはピッタリで細やかなサービスと美味しい食事でリピーターが多いのです。

なんとな~くアガサ・クリスティの「バートラム・ホテル」を思いださせます。

亡くなった梨田稔さん69歳。

なんと5年もこのホテルで暮らしていたのです。

どこからきたのか?何をして生計をたてているのか?家族、親類はいるのか?すべて謎に包まれていた。

世間から隠れるようにひっそりと暮らしていたのです。

ホテルの関係者すべてに聞いても誰に恨まれるような人ではない、自殺するような人ではなかったと言います。

コツコツと調べていく有栖川センセー、やっぱり火村センセーがいないとなかなか苦戦しておりました。

中之島といえばバラ園とか中央公会堂ぐらいしか知りませんが本には中之島の簡単なmapが載っていてそれを見ると橋の多いところだなあと。
そして第二次世界大戦の空襲を逃れた歴史的な建物も多くあり、それを見に行くのも楽しそうです。

亡くなった梨田さんという人の過去を調べていくとある出来事が明らかになっていきます。

大学入試が終わってホテルにやってきた火村センセーと合流することで真実が明らかになるのでしょうか?

どんどん読み進めていきますと事件とは関係ないような、いやミステリーというのはどんなささいなことでも事件を解く鍵となりますからそれも大事なことなのだと思いましたが。

あるページでえ~~~~っ!!と私にとっては嬉しいことが書いてありました。

どんなことかと言いますとやっぱりミステリーですからこれは読んでいただいたほうが良いと思います。(本当にそうなのです。)

2015年に起こった事件というところが鍵でしょうか。

梨田さんの死の謎を解くことと、ある人にとっては嬉しすぎることが書いてあるページを見つけるという楽しみ。

あと中央公会堂のオムライスが食べたくなりました。


祈りの幕が下りる時

2017-01-11 22:19:38 | 読んだ本
東野圭吾著 講談社。

去年のクリスマスに書店で買いました。

年末年始は私事でなかなか全部読めなくてあれっ?前の話はどうだったかな?と戻って読んでまた読み進めてでやっと完読しました。

加賀恭一郎の日本橋シリーズの3部作といってもよいのではないでしょうか。

警視庁のバリバリの刑事である加賀恭一郎が日本橋署に移動となったのか原作よりテレビのドラマを観てそれが一番の謎でした。

西に住んでる私が訪れた日本橋は古き良き東京、というかお江戸の匂いが残っているような感じのするところで事件とは縁遠いところでありましたからここへ希望を出して移動してきたのか?

今まで謎のヴェールに包まれていた加賀恭一郎自身の謎が小菅のアパートで発見された女性の死体の事件ととともに明らかになっていきます。

日本橋三部作以外の作品でも加賀と父親の関係の複雑さがずっと描かれていました。

お互い憎いわけでもない、互いに尊重しあっているのに別々に暮らすことになった訳、それが事件と関係していたとは。

事件は日本橋で起きたわけではないのですがとても重要なポイントとなっておりました。

加賀恭一郎はここに来る運命であったのだなあと。

人間の愛で一番深い愛はなんなのだろうと考えさせられる話でここまで愛されたら幸せであるはずなのになぜ悲しいのだろうと。

これは絶対映画になるのかドラマになるのかわかりませんがされるであろうなあと思いました。

阿部寛さんふんする加賀恭一郎でぜひ観たいです。

悲しい真実をどんなふうに見つめるのか。

そして自分自身の謎にどのように決着をつけるのか。


希望荘

2016-11-23 00:10:42 | 読んだ本
宮部みゆき著 小学館。

「ペテロの葬列」のちょっとショッキングな終わり方から続く杉村三郎シリーズと言って良いのかわかりませんがその後の杉村さんは探偵となりました。

聖域、希望荘、砂男、二重身(ドッペルゲンガー)という四つの短編が載っております。

他に文庫本の「ソロモンの偽証」に書き下ろしであの涼子ちゃんとコラボの短編もあります。

今出家をでた杉村さんのその後の順番としては砂男、聖域、希望荘、二重身(ドッペルゲンガー)となります。

砂男では今出家を出て独り身となった杉村さんは故郷の山梨に戻りますがそこには彼の居場所はありませんでした。

そこで探偵となるきっかけとなる出来事と人と出会うわけですが、悪い人は出てくることは出てきますがごく普通の人たちのそれぐらいは許されるんじゃないかという一滴の毒のようなものが溜まっていきせき止められていたものがあふれ出すと悲劇が起こる。

四つの短編はそんなストーリーです。

全員が救われるわけではないけれど真実が明らかになることによって前に一歩踏み出せる人がいる。

そのために杉村さんは探偵になったのではないだろうかと。

杉村さんは自分は厄介ごとを引き寄せる体質なのではないかと悲観しているのですが、困っている人が杉村さんならばちゃんと話を聞いてくれるだろうと頼ってくるから巻き込まれるのではないかと。

真っ当な人で危険も察知できるし、言っていいことと悪いこともちゃんとわかっている人だけれでも人が良すぎるというかちょっと危ういところもあり、面倒見なくちゃと昔の職場のビルのなかに入っていた喫茶店「睡蓮」のマスターだったり、探偵事務所を始めるために借りた家の大家さんだったりとそういう人に囲まれているのが杉村さんにとって救いなのかなと。

これが宮部ワールドのお江戸ならばお天道様の下で毎日額に汗して働いて今日も一日無事過ごせておまんま食べられることに感謝してで済むのですが現代というのは便利なようでいろいろめんどくさいものだなあと。

続編が出たということはドラマも続編希望なのですが、今出コンツェルンの会長の役の平幹二朗さんが亡くなられたので難しいかなあと。



ねじまき片思い~おもちゃプランナー・宝子の冒険~

2016-07-21 21:50:56 | 読んだ本
柚木麻子著 東京創元社

「ランチのアッコちゃん」、「その手をにぎりたい」でおなじみの柚木センセーの小説。

東京創元社ってミステリーが多いのですがえっ?これもミステリーなのか??

業界最大手の玩具メーカー「ローレライ」に勤める富田宝子さん(おもちゃメーカーの名前が二つも入ってます)は企画したおもちゃがヒット作をを飛ばしているプランナー。

リバティプリントのふんわりしたワンピースが似合う可憐な容姿と仕事仲間にも恵まれ恋愛以外は順調そのもの。

そんな彼女が5年間も片思いし続けているデザイナーの西島さん。

せっせと差し入れを届けたりまめまめしくお世話しても彼女の気持ちには全然気づいていない様子。

宝子さんのルームメイトの玲奈さん(彼女がカッコイイのです。^^)はさっさと気持ちを伝えろと言われますがなかなか踏み切れません。

浅草に会社があり(おもちゃメーカーって浅草に本社のあるところが多いのですね。)勝鬨橋のそばに住んでる西島のマンションを眺めるためにわざわざ水上バスで通勤しているほどです。

自分の思いは伝えられなくて西島さんに付き合ってる人が現れたりしても諦めきれず片思いは続きます。

宝子さんは気づかれていないと思っているけれど彼女の職場の同僚皆が知っていて、報われない片思いに「何であんな男がいいのか?はぁ~~。」ってなっている。

数々ヒットを生み出す彼女が失恋で落ち込んだら仕事に影響が~というか「ローレライ」の会社の売り上げにもかかわってきちゃうからです。

彼のマンションからスカイツリーが見えていたのに突然さえぎられて見えなくなった、西島さんの彼女の様子がおかしいなど西島さんのために謎を解決するという限定で彼女は探偵となるのです。

西島さんへの思いがどうなるか?それよりももっと彼女には解決しなくちゃいけないことがありましてその辺が柚木センセーらしいなあと。

読んでいて宝子さんの片思いにじれったいなあとか思わなかったのは彼女がいじいじしたりする人ではなく自分をしっかり持ってる人だったからです。

読んだ後スッキリとした気持ちになりした。








上流階級 富久丸百貨店外商部

2016-07-12 23:22:37 | 読んだ本
高殿円著 光文社

私のイメージする百貨店というのはよそいき(すでに死語ですね)の服を着てよ~~く吟味して選んで買う(一生モノを選ぶことが多いから)そして食堂階のレストランでお食事する。

小さいときはそんなイメージでした。

自分が仕事をするようになってお給料をいただいたら今度はこれを買うぞ~~という感じで買い物をしなくても見るだけでも楽しい気持ちになりました。

今ではほぼデバ地下と特設会場の催し物があるときしか足を運ばなくなりました。

なぜかなあ。

断捨離という言葉が流行りだしてから物を増やすということに躊躇したしまうようになったからかもしれません。

自分たちが足を運んで行くところなのに、反対に百貨店のほうから顧客のところに足を運ぶ外商、聞いたことはありますがピンと来ませんでした。

私たちは自分でフロアを歩いて自分の欲しいものを探す。

そして「これだ!」と思ったもの出会えた時は嬉しいです。^^

外商を利用していらっしゃる方々は好みのものを百貨店側がチョイスして運び選んでもらう。

ゆりかごから墓場までできるかぎり顧客の要望に応える。

なんともうらやましい話です。

そのためには外商のカードを作るためには年間とんでもない値段のお買い物をしなくちゃいけないのですが、それがステータスなのですから。

その選ばれた方々の売り上げが百貨店を支えているのだと知った時はへぇ~~とびっくりいたしました。

私たちがデバ地下でちょっと奮発してスイーツや有名店のお惣菜をちょこっと買ったぐらいでは儲かってはいなかったのか~~と。

百貨店の裏事情が詳しくわかって面白かったのと上流と呼ばれる顧客の方々が個性が豊かで許されるような可愛らしいわがままからとんでもない無茶を言うなあという方までバラエティーに富んでいてやり取りが面白かったです。

そのわがままをなんとかする外商の方々の奮闘。

「できません」とは絶対に言えないこの職業、他の仕事でも絶対成功しそうだけどなあ。

毎日、毎日胃がキリキリ痛くなりそうなりながら顧客を回る。

お客様の喜ぶ顔がみたい、この仕事が好きでないと続けられないと思いました。

普通に道を歩いていても出会うことがないであろう百貨店の外商部の方を見てみたいです。