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金魚cafe

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吉祥寺探偵物語 消えた少女

2016-06-27 22:51:31 | 読んだ本
五十嵐貴久著 双葉文庫

これが吉祥寺探偵物語シリーズの最初なのですが、途中から読み始めてしまってテンポの良さと吉祥寺(行ったことはありませんが)の街を愛しているのが伝わる面白さにハマりました。

バツイチ子持ちの探偵ものは結構多いです。

共通しているのが探偵役の親が探偵としては優秀なのですがダメダメで子供がしっかりしているというパターンですね~~。

子供がしっかりしてくれなくちゃ家のことを後回しにして人探し、猫探しはできないわけですし~~。

このシリーズの探偵さんは吉祥寺のコンビニでアルバイトをしながら小学五年生の息子健人クンを育てているのですが、コンビニの収入だけで養えるのかと思いますと、別れた奥さんが外科医で好きな人ができて別れたので奥さんからの慰謝料代わりにマンションをもらい、子供の養育費を奥さんが毎月振り込んでくれるのでなんとかやっていけるという情けな~~いというか子供が20歳になるまでの期限付きのお気楽な生活を送れるのはちょっとうらやましいような。

アルバイトが終わると子供の世話をして夜は自由だ~~と吉祥寺界隈を飲み歩いて知り合いが増えるといろいろ相談を持ち込まれるというお決まりのパターンです。

最初は猫探しに成功したから今度は行方不明になった小学生の女の子を捜してほしいと頼まれます。

警察が人員を動員して手がかりさえつかめないこの事件を川庄「自称おれ」が腕っぷしが強いわけでもないけれど「おかしいな」と思ったことは突き止めなければ気が済まない、この性格が事件の真相にせまっていくわけです。

探偵川庄「おれ」と息子健人クンのやり取りが、父はまだ息子とスキンシップを取りたいのに息子はどんどんオトナになって甘えるどころか逆に親に説教するところがテンポ良く面白いです。

軽くてチャライメージの川庄が「おれ」の目線でずっと描かれるストーリーは結構骨太のハードボイルドでした。






疾風ロンド

2016-06-08 00:03:54 | 読んだ本
東野圭吾著 実業之日本社文庫

今日はヤバイ妻の日なのに読みだすと止まらなくドラマも観ずに読んでしまいました。

あ~~録画が溜まっていく~~。

ある大学の研究室から生物兵器が盗まれて犯人から3億円要求されます。

大学の研究室から盗むというのはすぐ身内とわかっちゃうのですが、問題はそこからで、どこかのスキー場に埋めて隠してあるというのは犯人の脅迫状からわかるのですが、日本にスキー場がいったいどれぐらいあるのか数えきれません。

上司から探し出せと命じられた研究員の栗林は途方にくれますが、中学三年生の彼の息子の秀人がスノボをやっていたのでスキー場に詳しく、秀人の協力でなんとか場所に検討をつけ探しに行きますが~~。

いつもの東野センセーの小説だと父親というのは何も言わずただ家族のため、子供たちのためと自分で何もかも背負い込んでというパターンなのですが、この栗林さん家族思いなのでしょうがどっちを向いているかというと大学側のために動いてるわけでして、中学生の息子から見てもちょっと情けない父親でこれは新しいパターンの親子関係だわと。

父親がダメダメなので頑張るのが息子とスランプに陥った女子のスノーボード選手とスキー場のパトロール隊員。

生物兵器を見つけなくちゃという緊迫感があまり感じなくてゆる~~い感じで話は進んでいきますが、東野センセーのスキーやスノボをテーマにした作品の中で一番スカッとする話ではないかと思います。


荒神

2016-05-19 23:30:50 | 読んだ本
宮部みゆき著 朝日新聞出版

宮部センセーの時代もの。

今回はお江戸ではなく、東北の隣り合った小藩2つの物語。

主筋である永津野藩よりも薬草、香木の栽培で豊かになった家来筋の香山藩、山神様がいるという大平山を境に互いにけん制し合い互いに藩を乗っ取ろうとしています。

5代将軍綱吉が生類憐みの令を発令する前、もう戦もできず藩同士で争えばおとりつぶしになるかもしれずで見えないところで謀略を仕掛けています。

それでつらいめにあうのは両藩の村人たち、いつの世も上の人の考えることなんてなんだかなあです。

両藩が山神様とあがめる大平山で異変が起こります。

最初に気づいたのは山を渡り歩く狩人の源じい。

山と共に暮らしているから風の気配でだだならぬものを感じ孫の蓑吉に逃げろと教えます。

そこに現れたのがこの世のものではない怪物、村に侵入してきて村人を食べてしまいます。

進撃の〇○ではありませんが、ちょっとそういう雰囲気ありました。^^

怪物には矢も鉄砲も火も通用しません。

ここまで読んでいたら人間が勝手に山を切り開いて畑を作ったりするので神様がお怒りになったのかと思ってしまいますがそうではないようで、話は藩同士の、いや互いの藩の中での権力争いにそれが利用されることになったりで怪物より人間のほうがたちが悪いのではと。


藩のためにと思ってしたことが悪いことと知りつつもやらなければこちらがやられてしまうからと皆悪人ではないのです。


権力争いの恨み、それも怪物が現れた原因の一つではないかと思うですが、読んでいくと怪物が現れる運命だったのかなあと。

ここに出てくる人たちは皆決められた定めがあってそれは避けて通れず受け入れなければないのだと。

善だけでも悪だけでもだめでそれが上手く調和が取れて平和なのだと。

狩人の源じいや孫の蓑吉が大活躍で真っ当に生きる人を応援する宮部センセーらしさが出ているなあと思いました。

これを読んでぜひ映画にしてほしいなあと思ったのですが、怪物をCGで作ったりするのは難しそうです。









小説土佐堀川 広岡浅子の生涯

2016-04-08 23:41:19 | 読んだ本
古川智映子著 講談社

朝ドラ「あさが来た」が終わり「とと姉ちゃん」が始まっております。

ドラマが終わってから原作を読んでみました。

ドラマのあささんは良家のお嬢様という雰囲気を残しつついろんな事業を起こしていく、もちろん彼女だけではできることではなく、信次郎さんという「な~んにもわからしまへんけど」と言いつつ本当はあささんよりも才覚があるかもしれない人に見守られてというものでした。

実際の広岡浅子さんはそれまでの女性というものは、妻というものはという慣習にとらわれず誰もやらないことをやってやろうというバイタリティーの塊にような人だなあと。

ドラマではお父様に一言多くて、やんちゃすぎて「コラ~~!!」とおしりペンペンされていましたが実際は息子より商売の話を熱心に聞くあささんを可愛がっていたようです。

ドラマとは違うのがドラマでも信次郎さんにあささんの代わりの女性が出てくるのだろうかと最初ざわざわしておりましたが結局それはないことになりました。

ドラマだとそれがうめさんになるから信次郎さんとうめさんがそれはないわ~~となりますものね。

あささんの実家から連れてきた小藤さんという人があささんが仕事で飛び回っている間信次郎さんのお世話をすることになるのですが、それはあささんから言いだしたことであり、そこまで信用される小藤さんという方ができた方であっただろうからだと思います。

小説ではあささんと小藤さんと二人で広岡浅子だったのではないだろうかと。

仕事と家庭の両立という考えはまだなかったのでしょうか、仕事を優先するためにあささん自身が信次郎さんにしてあげたいことを小藤さんに頼む。

そしてドラマでは加納屋でしたが加島屋のために後継者が必要である。

小藤さんの産んだ子ならば自分の子供と一緒である。

だからこの3人の関係は上手くいったのではないかと勝手に思っちゃったりしたのです。

このような感覚はあささん自身、三井家が母親の違う兄弟がいっぱいいて一緒に育ってきたからそれが普通だったのではなかったのでしょうか。

人生立ち止まることもなくずっと走り切ったあささん、特別なことよりも人として当たり前のことをずっと続けていくことの大事さをおしえてくれました。



トラブルクッキング

2016-03-15 22:33:20 | 読んだ本
群ようこ 集英社

この本は小説すばる1992年5月号から1993年5月号、1994年4月号から1995年3月号に連載されていたのを書籍化されたものです。

今から26年前の群さん、ひとり暮らしを始めるにあたり料理の本を100冊読破した。

和、洋、中、自然食品まで読みまくり、「いくら料理の本を読んでも料理はうまくならない。」だそうで、まあ読むだけでは実践ですよね~~。

この本でいろんな料理に挑戦されています。

特別なメニューはなく、餃子、肉じゃが、オムレツなどなど。

料理の本のとおりにきちんと作っているにもかかわらずなぜかちょっと違う。

味が良ければ見た目が見た目が良ければ味がと悪戦苦闘を楽しく読ませていただきました。

これを読むまでは「パンとスープとネコ日和」などでシンプルだけど美味しい料理を描かれていたので群さんご本人も料理上手なのかと思って読んでおりました。

最初からそうではなかったのだなあと。



餃子は上手くできたけれど上品すぎて淡白なお味、ラタトゥイユもコクがないなど。

失敗ではないけれど成功とも言えない。

成功しても失敗しても仕上げた料理は責任持って食べる。

そこがいいなあと。

私も家で餃子を作るときにどうしても次の日臭いが気になってニンニク、ニラを控えめにしてしまい、フライパンで上手く焼けず皮がパリッとしないビミョーな餃子になってしまいます。

ラタトゥイユもやはりニンニク控えめにするのとコリアンダーなどのスパイスがなかったりでただのトマトの味の勝った煮込み料理になりがちです。

同じような失敗をされるんだ~。読みながらそうそうと思いながら読んでおりました。

現在の群さんは料理の腕はどうなったのでしょうか?

そこが気になります。