ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

人生何が起こるかわからない~“つぼやき”も名称変更~

2010年03月31日 | 高等教育
この前のブログで、鈴大の卒業式の日の桜のつぼみが膨らんだ写真をご紹介しましたが、同じ木の写真を、入学式の前日である今日(3月31日)撮ったら満開になっていました。3月4月は人事異動の季節ですが、桜花は別れと出会いにピッタリの花のような気がします。読者の皆さんの中にも、明日から新しい職場に移られる人がいらっしゃると思います。

さて、突然なのですが、4月1日から東京へ単身赴任することになりました。(独)国立大学財務・経営センター(以下財経センターと略します)の理事長に就任することになったからです。

財経センターといっても一般の皆さんにはわからないと思いますので、ちょっとだけ説明しておきましょう。

財経センターは2004年に国立大学の法人化に伴ってできた独立行政法人で、何をやっているかというと、財政融資資金や債権発行により、国立大学にお金を貸し付けることや、建物の修繕費を交付すること、そして国立大学の財務・経営についての調査や研究をしているんです。特に大学病院の再開発には巨額のお金が要るので低い金利で長期の融資をしてくれる財経センターは、なくてはならない存在です。また、法人化後の国立大学の財務や経営の調査や研究は、国立大学がきちんと国民が期待する使命を果たすことが出来ているかどうかを検証する上でとても大切です。財務や経営がきちんとしていないと何もできませんからね。

財経センターは文部科学省が管轄する独立行政法人なのですが、役人の“天下り”や“わたり”が問題となり、今回から理事長職は公募となりました。新聞報道によると17人の方々が応募されたようです。2月24日、鈴鹿医療科学大と三重大との連携協議会が行われた日の夕方、私も東京へ出向いて面接を受けました。面接委員の方々の鋭いご質問に対する返答は、後になって考えるとうまく答えられなかったことも多く、60点くらいだったかなと感じていました。3月中旬に結果を通知するということだったのですが、うんともすんとも連絡がないので、やっぱりだめだったかと思っていたら、3月17日に閣議にかけるという一報が入り、19日の午前中の閣議で承認され、その日の夕刊に名前が発表されました。

私が選ばれた理由としては、たぶん、今まで国立大学協会の病院経営小委員会の委員長として、特に国立大学附属病院の経営問題についてコツコツとデータを集めて分析し、その危機的状況を国民に訴えてきたことが評価されたのではないかと思っています。

公表後は、引っ越しの準備、挨拶回り、送別会、三重県でやっている役職の辞退など、いろんな手続きでバタバタと慌ただしい日が続き、ブログを書くのも、ぎりぎりの3月31日になってしまったというわけです。

4月からは、鈴鹿医療科学大学の副学長を辞して、非常勤の“顧問”ということになります。鈴大の改善・改革には引き続きアドバイスをさせていただきたいと思っています。

何しろ“長”のつく役職はやめなければならないということなので、三重県文化振興事業団の理事長も、昨年7月に拝命したばかりなのですが、急遽降りさせていただくことになり、関係の皆さんにはたいへんご迷惑をおかけすることになりました。同様に三重県文化振興事業団の理事長も降りさせていただきました。

“三重大学学長顧問”という役職も、今後は私が国立大学に対して、お金を貸したり交付したりする立場になるので、国立大学の役職はまずいだろうということで返上しました。“利益相反”というやつですね。同様の考えで“国立大学附属病院長会議事務局顧問”という役職も、辞退させていただきました。“鈴鹿医療科学大学顧問”については、鈴大は私立の学校法人で利害関係者ではないのでOKとのことです。

財経センターの理事長としての私の最初の仕事は、“事業仕分け”に対応することです。4月~6月にかけて、独立行政法人は事業仕分けにかかるんですね。地域への人材供給やイノベーションの創造、そして地域医療の確保に大きな役割を果たしている国立大学を下支えしているのが財経センターです。国立大学の機能が低下すれば、日本の国および地域の成長、そして医療の確保ができません。こんな大切な役割をしている財経センターがつぶされては、結局は国民や地域が困ることになるので、私は、声を大にして財経センターの重要性を訴えるつもりです。

明日午前中に文部科学大臣からの辞令交付があるので、今日の夕方、鈴大の桜花を後にして東京に出発します。

それにしても、人生何が起こるかわからないなあというのが正直な感想ですね。41歳で三重大の教授になった時も、53歳で学長になった時もそう感じましたが、それが3回も起こるとは。

そうそう、“ある地方大学副学長のつぼやき”というタイトルも変えないといけませんね。“ある独立行政法人理事長のつぼやき”というのも支障が出るように思いますし、どうしますかね。“ある地方大学顧問のつぼやき”かな?

コメント (2)
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